【3,4歳児おすすめ絵本】おばけのてんぷら【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】
「おばけのてんぷら」は私が”展開を楽しむ中でユーモアや面白さ・可笑しさに気付いて欲しい””食べ物やおばけに親しみを感じて欲しい”というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。
- 面白さや可笑しさ、ユーモアを感じる
- 食べ物の種類を知り、親しみを持つ
- おばけに魅力を感じ、親しみを感じる
作品紹介
作・絵 | せな けいこ |
出版社 | ポプラ社 |
発行日 | 1976 | /11
値段 | ¥1430 |
大きさ・ページ数 | 24.5×21cm | /32P
「おばけのてんぷら」はこんな絵本!
「おばけのてんぷら」ってどんな内容の絵本?
そんな疑問にお答えするために「おばけのてんぷら」を簡単にまとめてみました。
- おばけと食の魅力が掛け合わさったベストセラー作品
- ユーモア溢れる展開で笑いながら楽しめる展開が魅力的
- 楽しむ中で食べ物やおばけに親しみが持てる
まるわかりQ&A
あらすじ・ストーリー・内容
うさことおばけのユーモア溢れる展開が楽しめます。
食べる事が大好きなうさこは山にサラダにしたり、おみおつけにするための草摘みに行きました。そこでお弁当を食べていたこねこに出会い、天ぷらを分けてもらいました。その天ぷらの美味しいこと!
こねこに天ぷらの作り方が書いてある本を借りてうさこも作ってみる事にしました。まずは、材料。人参、お芋、さやえんどうにカボチャ、玉ねぎ…それから小麦粉に油を買いました。
家に着くと早速作り始めて、まずはお野菜を切ったり、衣を作ります。野菜に衣をつけて油で揚げて途中で裏返す。途中で玉ねぎを切るのを忘れているのに気づき、玉ねぎを切りますが、目が染みるのでつけていた眼鏡を外しました。その際に間違えて眼鏡を衣にぽちゃん!
揚げたての天ぷらを食べながら作っていると、その匂いを嗅ぎつけたおばけが山から下りてきました。体を小さくして家の中に入ったおばけはうさこの天ぷらをつまみ食い。ところが油で滑っておばけも衣にぽちゃん!
危うくうさこに油の中に入れられそうになりましたが何とか逃げる事が出来ました。さて、うさこが最後の天ぷらを揚げて食べると「がりん」と固くて噛めません。
その天ぷらは眼鏡の天ぷら!でも、うさこはおばけも天ぷらにしそうだったことは気付いていないようです。
面白い展開と共に食べ物やおばけにも親しみが持てる名作です。
こんな方におすすめ
以下の項目に当てはまる方に「おばけのてんぷら」はぴったりの絵本です!購入を検討してみましょう。
- ユーモアや面白さの感性が豊かになる絵本を探している
- 食べ物とおばけに同時に親しみが持てる絵本を探している
絵本比較!あなたに合った絵本を探そう!
「おばけのてんぷら」は探している絵本とは違った…。そんなあなたにはこちらをおすすめ!
言葉のユーモアが面白さが詰まった絵本「わにさんどきっはいしゃさんどきっ」
ワニが歯医者に行って虫歯を治療するのですが、その言葉の掛け合いが面白い絵本。二人が同じ言葉のみを使い話が展開していく見事な文構成が特徴です。
読み易く、言葉の響きと共にユーモアを感じたい時におすすめの一冊。
想像しながらユーモアが感じられる「つきよのかいじゅう」
湖に現れる不思議な怪獣を静かな雰囲気と共に面白く描いた作品。ドキドキ感を生むような静けさや次の展開を考えたくなるような想像に導く描写・言葉が魅力的なシュールで笑える絵本です。
想像力を豊かにしながら面白さを感じられる絵本を探している時にはこちらをおすすめ。
目的・ねらい
絵本はそれぞれ作者の願いや思いが込められています。その思いを汲み取り、絵本を読むときに目的やねらいを持つ事をおすすめします。以下の「目的・ねらい」はRyuが読み聞かせをするときに大切にしている事です。参考にしてみてください。
- 面白さとは何かに気付き、自分でも面白い事をしてみたいと思う
- これまで興味のなかったものに親しみを持つ楽しさに気付く
目的・ねらい1
予想外の事が起こる面白さが詰まっています。
「おばけのてんぷら」では、うさこが眼鏡を衣につけてしまう場面やおばけが危うく天ぷらにされてしまう所、実際に眼鏡の天ぷらを食べる所など、予想していなかった事が起こる事での笑いが楽しめます。
予想を裏切る事が面白さを生むことを理解すると自分でも試したくなり、人を楽しませたくなるのが大人だけでなく子どもの性。読み終えた後はどのような事が面白いのかを自然と考えたくなります。
本作を通じて面白さやユーモアとは何かを感じると共に笑いへの感性も豊かになります。
目的・ねらい2
天ぷらとおばけという絶妙の組み合わせが魅力的です。
子どもにとって馴染みがありそうでなさそうな天ぷらという食べ物やおばけの存在。その2つ魅力的に掛け合わさっていることで興味を持つきっかけとなり得ますし、親しみも感じられるようになります。
天ぷらとおばけに興味や親しみを持つ事で親しみを持つ事の良さを感じ、この2つに限らずこれまで興味や親しみを持つことがなかったモノへの興味や親しみにも繋がる事が予測されます。
そんな身の回りの様々なモノへの関心へと繋がる作品にもなっています。
チェックポイント
現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。
年齢 | 幼児期、特に3歳児 |
季節 | 一年中 |
行事 | 関係なく楽しめる |
対象年齢
3歳児前後がおすすめです。
文の量やページ数、またユーモアを感じながら楽しむ内容ということを考慮すると幼児期に読みたい一冊です。
おばけや食べ物が出てくるので乳児でも引き込まれる内容ではありますが肝心な“面白さ”を感じるのが難しいので、ユーモアを理解できてくる年齢である3歳児頃に読むといいでしょう。
時期・季節・行事
周りの人を楽しませようとして面白い言葉や行動をするようになった時期がおすすめです。
あえて変な言動をすることで周りの人を笑わそうとすることが出来るのは、人はどういった言動が面白いと感じるのかを理解し始めている証拠です。
わざと間違った言葉を言ったり、おどけたて人を笑わそうとする様子が見られるようになったら「おばけのてんぷら」の面白さも十分に感じる事ができるようになっています。
季節や行事と関連する描写などはないので一年中いつでも楽しむ事ができます。
読み聞かせのポイント
「おばけのてんぷら」を読み聞かせをする中で意識しているポイントです。読み方を少し意識するだけで内容がぐっと伝わりやすくなります。読み聞かせをする中で自分なりのポイントも探してみるのも面白いですよ。
- セリフの部分は気持ちをしっかり込めて読みましょう
- 表情でも驚きを表現して読みましょう
ポイント1
気持ちを込める事で笑いも生まれやすくなります。
「おばけのてんぷら」はどこか落ち着きのあるナレーション部分とうさこやおばけの感情豊かな言葉のギャップが本作の面白さを引き立ててくれます。
基本的にはナレーション部分は淡々と台詞の部分はそのキャラクターになりきって読むようにすると、聞き手にキャラクターの気持ちの動きが伝わりやすくなるので意識するといいでしょう。
しかし、「おばけのてんぷら」は派手な展開で大盛り上がりするものではなく、静けさも感じられる中でのクスっと笑える面白さが魅力の作品。大げさに気持ちを込めると作品の雰囲気が失われてしまう可能性もあります。
ポイント2
表情を作って笑いやすい雰囲気作りを!
主に表情を作って驚きを表現する場面は、うさこが誤って眼鏡を衣に入れてしまう所とおばけが衣の中に入ってしまう所。
両場面とも「ぽちゃん!」という言葉が書いてあるので言葉に合わせて驚いたような表情を作ると、聞き手も眼鏡とおばけが衣の中に入ってしまった意外性や驚きを感じやすくなります。
また、驚きではありませんが最後の眼鏡をかじってしまう所は「あれっ。」の言葉と共に首を傾げたりすると、聞き手も一緒に首をかしげて最後のオチの楽しさが膨れ上がります。
まとめ・Ryuの感想
笑い・ユーモアの感性が豊かになる意外性の詰まったどこかシュールな名作。
せなけいこさんがおばけを題材として描いているという事で「ねないこだれだ」をイメージしてどこか怖そうなイメージをしがちですが、実は面白さが詰まった笑える作品。それだけでもどこか意外性が感じられます。
読み聞かせをするときも”おばけ”という言葉を聞くと子どもたちもどこか身構えていますが、話が進むにつれて硬い表情が柔らかくなり、段々と笑いも聞こえてくるようになります。
子どもも大人と同じように意外性に面白さを感じている事が分かり、眼鏡を衣につけてしまったり、眼鏡を食べてしまう場面では「えー!」と言いながら笑っています。
ユーモアも生きていく上で絶対にあった方が良いものの1つ。「おばけのてんぷら」でユーモアとは何なのかを感じる事ができます。
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