【3歳,4歳児おすすめ絵本】くれよんのくろくん【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】
「くれよんのくろくん」は私が”自分の良い所に気付くきっかけになって欲しい””他者の気持ちを想像してほしい”というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。
- 自分のことについて考える
- 自分の良い所を知り、自信を持つ
- 相手の気持ちを考えようとする
作品紹介
「くれよんのくろくん」はこんな絵本!
「くれよんのくろくん」ってどんな内容の絵本?
そんな疑問にお答えするために「くれよんのくろくん」を簡単にまとめてみました。
- 累計発行部数200万部を超える「くれよんのくろくん」シリーズの代表作
- 自分の個性、長所を考えるきっかけになる
- 相手の気持ちを考えようとすることができる
まるわかりQ&A
あらすじ・ストーリー・内容
くれよんシリーズ第一弾!必要ないものなどないことを伝えてくれます。
新品のクレヨンたちが退屈そうにしています。そして、黄色くんはたまらず箱から抜け出してしまいます。
するとそこには真っ白な紙が。黄色くんが蝶々を描き、他の色も自分の好きなものを描いていきます。ところが、黒くんだけは汚くなるからと入れてもらえません。
しかし、みんなが好き勝手に描いていると喧嘩が始まります。そこでシャーペンのお兄さんが黒くんに全部真っ黒にしてしまうことを伝えます。
黒くんが真っ黒にした上からシャーペンで削ると、あっという間に綺麗な花火が!みんなも黒くんの大切さに気付いて、仲直りをすることができました。
個性の大切さを伝えてくれる、現代の価値観に合った絵本です。
こんな方におすすめ
以下の項目に当てはまる方に「くれよんのくろくん」はぴったりの絵本です!購入を検討してみましょう。
- 個性について考えられる絵本を探している
- 協調性を感じられる絵本を探している
絵本比較!あなたに合った絵本を探そう!
「くれよんのくろくん」は探している絵本とは違った…。そんなあなたにはこちらをおすすめ!
多様性、勇気…様々なメッセージが詰まっている名作「スイミー」
兄弟の中で一匹だけ黒い魚のスイミー。ある日、大きなマグロに兄弟が食べられてしまったけれど、スイミーの個性を活かし、勇気を持ってマグロを追い払うストーリーが魅力的です。
秀逸なストーリーの中と共に大切な事を教えてくれる一冊です。
みんな違ってみんな良いが感じられる「世界とであうえほん」
世界の人種と文化を分かりやすく紹介している絵本。肌の色、食べるもの、遊び、住居、スポーツ…同じ地球に暮らしているけど、皆、それぞれ違っている。当たり前だと思っている事が実は当たり前じゃない事に気付くことができます。
これからの時代を生きる子どもに読みたい一冊です。
目的・ねらい
絵本はそれぞれ作者の願いや思いが込められています。その思いを汲み取り、絵本を読むときに目的やねらいを持つ事をおすすめします。以下の「目的・ねらい」はRyuが読み聞かせをするときに大切にしている事です。参考にしてみてください。
- それぞれの役割があることを感じる
- 他者の気持ちを考えようとする
目的・ねらい1
一人ひとりの個性があることをクレヨンを通じて感じることができます。
黄色は蝶々、青は空、赤・ピンクは花、茶色は木、緑は草など、それぞれの色にしか出せない色や表現があります。
人間も全く同じで、同じ人はおらず、それぞれの個性があり、それらを表現していくことが大切です。特に現代では、それぞれの個性を大切にしようという動きが活発になっています。
「くれよんのくろくん」を読むことで、他人と一緒でなくてもいい事、自分の活躍できる場所があることを感じることができるでしょう。
目的・ねらい2
子どもによくある言い合いが描かれています。
それぞれの思いがぶつかってしまい言い合いになってしまうシーンがありますが、子どもたちの世界では、日常茶飯事。本作でも黒くんに対して「綺麗に描いた絵を黒くされたらたまらないよ」と、冷たい言葉を他のクレヨンは言ってしまいます。
そんな黒くんの様子を見て、聞き手は「可哀想」と感じたり、黒くんにも思いがあることに気付くことができるでしょう。
現実の世界においても友達の気持ちに気付かず、冷たい言葉を言ってしまい、言い合いになることもあるかと思いますが、 そんな言い合いから他者の気持ちを徐々に理解し始めます。
他者の思いに気付くきっかけにもなる作品です。
チェックポイント
現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。
年齢 | 3,4歳児、特に3歳児 |
季節 | 一年中 |
行事 | 発表会、劇など |
対象年齢
3歳以降がおすすめです。
3歳以降になると、自分だけの世界から他者の世界にも関わりを広げることができます。自分だけの世界では全てが自分基準でしたが、他者の世界が交わるとそういうわけにもいきません。
他者にも個性や思いがあることを気付くことができるこの年齢に是非読みたい一冊です。
時期・季節・行事
友達と一緒に遊べるようになる頃がいいでしょう。
一緒に遊んでいるように見えて違うことをしている平行遊びから一歩進んで、一緒の物事を一緒に楽しむ遊びができるようになると、他者の気持ちに触れる機会も多くなります。
そうした時期に「くれよんのくろくん」を読むことで、他者にも一人ひとり違った良さがあることに気付くきっかけになるでしょう。
季節感や行事感はありませんが、気に入れば発表会での劇などにしても面白いと思います。
読み聞かせのポイント
「くれよんのくろくん」を読み聞かせをする中で意識しているポイントです。読み方を少し意識するだけで内容がぐっと伝わりやすくなります。読み聞かせをする中で自分なりのポイントも探してみるのも面白いですよ。
- 感情を込めて、気持ちをぶつけるように読みましょう
- 絵を楽しめるように間を作りましょう
ポイント1
クレヨンたちの感情を考えて、言葉に感情を乗せましょう。
黄色くんが紙に絵を描いた時には「なんて良い書き心地!最高だよ」というセリフがあるのですが、この時は喜びを表現したり、クレヨンたちが「くろくんは間に合ってるよ」と言うときは意地悪な気持ちで読むなど、感情をいつもよりもはっきり表現するといいでしょう。
物語の中では、クレヨンたちの感情がよく表現されています。
感情をしっかり言葉で伝えることで、聞き手も飽きませんし、クレヨンそれぞれに感情や個性があることを理解することができます。実際の会話よりも少し大げさに表現するとより感情が伝わるでしょう。
ポイント2
色彩豊かな絵を楽しみましょう。
クレヨンの描いている絵やシャーペンがスクラッチで描いた花火の絵などは、色彩がとても綺麗です。そんな綺麗な絵を隅々まで見ることができるように文を読む前後に少しだけ間を空けることをおすすめします。
時間にすると3秒ほど空けることで、聞き手が絵を楽しむ余裕が生まれるので、読む前に三秒、読んだ後にも三秒ほど空けることを意識しましょう。
「くれよんのくろくん」は終始、背景がシンプルで、色彩もとても映えていて、色の良さに気付けるように配慮されています。
まとめ・Ryuの感想
個性と協調性を感じることができる名作です。
人間同士・子ども同士のぶつかり合いをクレヨンを使ってうまく表現されています。
クレヨンと同様に人間にもそれぞれの色がありますが、その色を出しすぎても周りとうまくやっていけないこと、他者の価値・存在を認めることで協調性が生まれることなどが優しいタッチながらもしっかりと描かれています。
私も三歳児以降の子には、必ず読むようにしている一冊です。子どもにとって個性や強調性という概念は難しいかもしれませんが、「みんな違っていい」「くろくんが可哀想」といった思いを持てるだけでも読む価値は十分にあると思います。
「くれよんのくろくん」を見て感じた思いが、後々大きくなった時に個性の尊重や他者の気持ちの理解に育っていくのだと思います。
これからの時代の価値観にもぴったりな絵本です。
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