【3,4歳おすすめ】パンどろぼう【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】

「パンどろぼう」は私が”身近な人と気持ちを共有する楽しさを感じて欲しい””善悪の判断や知識の使い方について考えるきっかけになって欲しい”というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。
作品紹介
「パンどろぼう」はこんな絵本!
「パンどろぼう」ってどんな内容の絵本?
そんな疑問にお答えするために「パンどろぼう」を簡単にまとめてみました。
- 累計発行部数130万部を超えるパンどろぼうシリーズ第一弾。
- 子どもと大人、友だちで「美味しそう」の気持ちを共有できる。
- 善悪について、知識の使い方について知るきっかけになる。
まるわかりQ&A
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あらすじ・ストーリー・内容


笑って楽しめるパンだらけな、でも素敵なストーリー。
町のパン屋からパンがパンを担いで逃げている。美味しいパンを探し求める大泥棒、パン泥棒です。
持ち帰ったパンをお家でパクリ。もっちりふんわりでパン泥棒も大満足。家はパンのインテリアでいっぱい!
ある日、パン泥棒は森の中で「せかいいちおいしい もりのパンや」を見つけ早速中に入り泥棒開始…。中には美味しそうなパンがいっぱいあります。
コッソリと隠れながら狙いのパンを担いだらあっという間に逃げていきます。家について早速大きなお口で「いただきまーす!!…まずい」
カンカンに怒ったパン泥棒はパン屋のおじさんに文句を言いに行きます。しかし、おじいさんは「盗みはいけないよ」と優しく諭し、「美味しいパンが食べたいなら一緒に作るのはどうだろう」と提案します。
これまで世界中の美味しいパンを食べてきたパン泥棒は何日も何日も考え、自分でパンをこね、夢中でパンを作り…ついにぴかぴかに輝くふわふわしっとりもちもちの最高のパンが出来上がりました。
森のパン屋さんはお客さんで溢れ、本当に世界一美味しいパン屋さんになりました。そして、パン泥棒は立派なパン職人になったのです。
ストーリー、笑い、教訓…多くのモノが詰まっている名作です。
こんな方におすすめ


- 食べ物を通して子どもと気持ちを共有できる絵本を探している
- 善悪についてや知識の活用について考えるきっかけとなる絵本を探している
絵本比較!あなたに合った絵本を探そう!
「パンどろぼう」は探している絵本とは違った…。そんなあなたにはこちらをおすすめ!


善悪とは何かを考えさせられる「すてきな三にんぐみ」
お金持ちから泥棒をする所謂”悪者”。ですが、ある女の子との出会いをきっかけに三人の気持ちが変化し、恵まれない子たちを助ける素敵な三人組になっていきます。
他者の為に行動する尊さが分かる幼児期に読みたい一冊です。
目的・ねらい


- ストーリーを楽しむ中で、大人や友だちと気持ちを共有する喜びを感じる
- 経験や知識を基に新しいもの・オリジナルものを作ろうとしてみる
目的・ねらい1
身近な人、友だちと気持ちを共有しやすい絵本です。
ストーリーも起承転結のある分かりやすい構成、笑いの様子もあり集中力が切れない、質問形式の文もあり子どもが参加できるなど、子どもが絵本を楽める条件が揃っており、絵本の世界に入り込みやすい作品です。
それだけでなく、様々な美味しそうなパンが登場し、興味を持って食べる真似をして楽しむ中で近くにいる友だちや読み手の大人と「美味しそう」「美味しいね」といった気持ちも共有する事ができます。
同じ気持ちを感じ、共有する事は子どもも大人も嬉しい事。そんな温かい時間を作ってくれます。
目的・ねらい2
自分の持っている、知っているものの活かし方が分かります。
「パンどろぼう」のストーリーの中で、これまで泥棒という悪い事をしてきた中でも悪い事だけに着目せず、世界中のパンを食べてきたという良い点に目を向けて、そこから最高のパンを作る展開があります。
子どもも同じで、これまでの経験の中で何かしら必ず得たものや知識があるはずです。その得たものに着目して、それを活かす大切さが絵本を楽しむ中で感じる事ができるでしょう。
自分の持っているものがいかに素晴らしいかに気付き、自分に自信を持つ、自己肯定感が増すきっかけにもなり得る絵本です。
チェックポイント


現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。
年齢 | 幼児期、特に4歳児 |
季節 | 一年中 |
行事 | 関係なく楽しめる |
対象年齢
4歳児頃がおすすめです。
文字数やページ数などを考えると乳児期には少し長い作品となっているので、最後まで集中力が続きにくいです。
ストーリーやねずみの表情、パンの美味しそうな見た目などだけを楽しむなら2,3歳児でも楽しめますが、泥棒をするという善悪の判断や自分の得た知識の使い方などのメッセージもストーリーと併せて伝えたい作品ではあるので、それらの難しい事も少しずつ理解できるようになる幼児期、特に4歳児がいいでしょう。
時期・季節・行事
善悪の判断について自分なりの基準を持ち始めた頃がおすすめです。
パンどろぼうであるねずみが行ったことに対して、子どもが持つ善悪の基準から考えてどう思うのかという点も本作の魅力の1つです。
盗みはやってはいけない事だと認識できるようになる教訓的な意味合いも持ち合わせる作品なので、善悪の判断や教訓の理解も出来るようになってくる時期がいいでしょう。
終始パンの話がメインになるので、季節感や行事に関する描写はありません。
読み聞かせのポイント


- 聞き手と共に楽しむ部分を意識して作りましょう
- 声色を変えたり、感情を込めてストーリー性を持たせましょう
ポイント1
気持ちの共有、共感を意識すると更に楽しめます。
特に意識するのはパン泥棒が世界一美味しいパン屋さんに入って他のパンに交じって隠れているページ。
クリームパン、カレーパン、コロッケパンなどの王道のパンの他にもパンダパン、しろくまパン、うさぎパンなど美味しそうなパンがいっぱい描いてあります。
そのページを時間を掛けて見る事で、「美味しそう」という気持ちを聞き手と読み手で共有してみましょう。
また、同じページには他のパンに紛れてパン泥棒が隠れみの術をしており、「どこにいるのでしょう?」という文と共に聞き手がパン泥棒を探しを楽しめるようになっています。
このページで一気に子どもとの一体感を高めるとストーリー後半の子どもの集中力が違ってきます。
ポイント2
分かりやすくも楽しい秀逸なストーリー伝えましょう。
「パンどろぼう」は”パンを盗んでいたパン好きのねずみがパン屋さんのおじさんと出会い改心してパン職人になる”という分かりやすいストーリーになっています。
その中に面白い描写などが織り交ぜられていて、子どもの気持ちを離さず最後まで楽しめる魅力的な作品です。
その魅力的なストーリーをしっかりと伝えられるように会話部分などは声を変えたり、感情を込めながら読み、展開や盛り上がりを聞き手が感じられるようにすることで、更にストーリーを楽しむことが出来るように意識する事をおすすめします。
まとめ・Ryuの感想


幼児期に一度は読みたい絵本です。
ストーリーが楽しい事や途中で子どもが参加できる場所がったり、面白い描写があり笑いながら楽しめる、また教訓的な要素もある「パンどろぼう」は個人的に幼児期に必ず読みたい絵本の1冊だと思っています。
これほどの要素がたっぷり詰まりながらもその重たさを感じさせない程の明るいストーリーが上手く調和して、本名作を生みだしたのだと考えています。
子どもの反応も非常に良く、まずパン泥棒の見た目で笑ったり、パン屋さんでパン泥棒を一生懸命探したり…パンを食べた時の「まずい」は毎回大爆笑です。
最後の終わり方も素敵で、盗みがいけない事や自分の経験や知識の活かし方なども自然と学ぶことができます。
幼児期の子どもがいる方に是非読んで欲しい一冊です。



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