【2,3歳児おすすめ絵本】おふくさん【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】
「おふくさん」は私が”鬼に親しみを感じて欲しい””読み手と笑いながら楽しい気持ちを共有して欲しい”というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。
- 鬼に対して怖さだけでなく、親しみを感じる
- 「面白かった」という気持ちを身近な大人と共有し、安心する
作品紹介
「おふくさん」はこんな絵本!
「おふくさん」ってどんな内容の絵本?
そんな疑問にお答えするために「おふくさん」を簡単にまとめてみました。
- 愉快で面白い展開が楽しめる「おふくさん」シリーズの第一弾
- 鬼が怖い存在として描かれてなく、親しみが感じられる
- 聞き手と読み手で「面白い」「楽しい」気持ちを共有しやすい
まるわかりQ&A
あらすじ・ストーリー・内容
おふくさんたちと鬼の面白い関わりが描かれています。
山の奥深くに住んでいるおくふさん達は毎日にこにこ仲良く暮らしています。ところがある日、鬼が「怖がらせてやるから覚悟しろ!」と突然現れました。
でも、おふくさん達はへっちゃら。怖い顔をしている鬼をどのように笑わせたらいいのかを皆で考えます。まずは着せ替えごっこで、鬼に似合う服を探しますが、鬼は素敵な鬼のパンツが台無しと言って着せ替えごっこは失敗!
お次は豆大福をいっぱいあげて笑わせようとしますが…鬼は豆が大嫌い。これまた失敗。そうしたらおふくさん達は頭を寄せ合ってひそひそと話し合い「にらめっこしましょ わらうとたのし、あっぷっ…」と声を掛けます。
「ぷ!」とおふくさん達は面白い顔を鬼に見せると「ぷ!?」と鬼も驚き、立て続けに「ぷー!」と更に面白い顔を見せると鬼は笑いを堪え始め、「ぷくー!」と最後の一押しをすると鬼はとうとう大声で笑いました。
最後はみんなで笑い合い楽しく過ごしました。笑う門には福来る。
思わず笑顔になってしまうふんわりとした笑いが楽しめる一冊です。
こんな方におすすめ
以下の項目に当てはまる方に「おふくさん」はぴったりの絵本です!購入を検討してみましょう。
- 鬼が怖くなく、親しみが感じられるような絵本を探している
- 読み手と聞き手で一緒に楽しみが共有できる絵本を探している
絵本比較!あなたに合った絵本を探そう!
「おふくさん」は探している絵本とは違った…。そんなあなたにはこちらをおすすめ!
教訓を感じながら笑えるストーリーが楽しめる「こぶとりじいさん」
ほっぺにあるこぶをひょんなことから鬼に取ってもらったおじいさんと、それを羨んだおじいさんとの対比が面白く描かれた作品。描写や展開が楽しく、笑いながらも教訓を感じる事ができます。
鬼が登場する読み易い昔話を探している時はこちらをおすすめ。
善悪の判断、知識の使い方が感じられる「パンどろぼう」
パンが大好きなパン泥棒があるパン屋さんとの出会いをきっかけに改心し、パン職人になるストーリー。ストーリーがとても面白いだけでなく、教訓あり、笑いあり、感動ありの中身がぎゅっと詰まった作品です。
よりストーリーを重視した聞き手と気持ちを共有しやすい絵本を探している時はこちらをおすすめ。
目的・ねらい
絵本はそれぞれ作者の願いや思いが込められています。その思いを汲み取り、絵本を読むときに目的やねらいを持つ事をおすすめします。以下の「目的・ねらい」はRyuが読み聞かせをするときに大切にしている事です。参考にしてみてください。
- 鬼が怖いだけの存在ではない事を知り、親しみを感じる
- 身近な大人と面白さや楽しさの気持ちを共有する心地良さを感じる
目的・ねらい1
鬼のイメージが変わる一冊です。
鬼と聞くとどうしても怖いイメージがつきものですが、本来鬼は不思議と魅力を持っている存在。それをただの怖い対象としてだけ捉えてしまうのはどこか勿体なさがあります。
「おふくさん」を読むことで、鬼への怖さが全てなくなる訳ではありませんが怖いイメージだけでなくユーモアもあり、時には笑う存在なのだと感じさせてくれます。
ストーリーを楽しむ中で鬼の新しい一面に気付かせてくれる作品です。
目的・ねらい2
温かな雰囲気に包み込まれるような作品です。
本作は最初こそ怖い形相をして鬼が現れますが、おふくさん達の笑顔や行動がその怖さを中和し、最後は面白い顔の描写などを通して笑いながら楽しめます。
登場人物につられてどこかにこやかな表情で作品を楽しめますし、最後のにらめっこでは笑いながら読む中で自然と聞き手も読み手も笑顔になっています。
そのような温かい雰囲気の中で「楽しいね」「面白いね」という気持ちが言葉に出さなくても聞き手と読み手で共有・共感できる一冊です。
チェックポイント
現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。
年齢 | 2,3歳児、特に3歳児 |
季節 | 冬から春頃 |
行事 | 節分など |
対象年齢
3歳児頃がおすすめです。
文も長くなく、後半には笑って楽しめる展開が待っていて最後まで飽きることなく楽しみ易い作品です。
3歳児頃が一番反応が良い事が多いのですが、絵だけでも十分に楽しむ事が出来るので2歳児頃から読んでも笑って楽しめるでしょう。
時期・季節・行事
にらめっこが楽しめるようになった頃がおすすめです。
「おふくさん」の最後はにらめっこをする展開になっています。相手の面白い顔を見て笑えるようになったり、にらめっこの意味を理解してから読むことで本作の楽しさを更に感じる事ができます。
作品の冒頭に雪が積もっていたり、最後には桜らしき花も咲いているので読む季節は冬から春頃まで、鬼が登場するので節分に合わせて読んでも良いですが、直接的な節分に関する描写はないので、節分に拘る必要もありません。
読み聞かせのポイント
「おふくさん」を読み聞かせをする中で意識しているポイントです。読み方を少し意識するだけで内容がぐっと伝わりやすくなります。読み聞かせをする中で自分なりのポイントも探してみるのも面白いですよ。
- にらめっこのページはじっくり見せる事を意識しましょう
- 聞き手の目を見ながら読むことを意識しましょう
ポイント1
一番の見せ場が分かりやすいのも本作の魅力!
「おふくさん」のストーリーの中で一番の見せ場となるのは間違いなく、おふくさん達と鬼がにらめっこをするシーン。
文字も「ぷ」の一文字だけで絵の迫力もあるので、絵の楽しさを存分に感じられるように意識的に時間を掛けて見せるようにする事をおすすめします。
面白い顔の描写に笑いが起こるので、その笑いが一通り終わり始めた頃を見計らって次のページに行くと、作品全体の流れが途切れることもなく、絵も楽しむ事ができます。
ポイント2
聞き手と読み手で心のやり取りも楽しめます。
参加型のような絵本ではないのですが、にらめっこのシーンでは聞き手と読み手での心や言葉のやり取りも楽しめるのが本作の大きな魅力の1つ。
にらめっこをしているシーンをただ読むのも良いのですが、余裕があれば聞き手の方を見て読むことで目が自然と合って微笑み合ったり、言葉のやり取りも生まれます。
折角の楽しい絵本で時間と空間を共有しているので、より心も近づけるように工夫して読む事をおすすめします。
まとめ・Ryuの感想
鬼が出るけど怖くない。聞き手と読み手の心が近くなる絵本です。
「おふくさん」の特徴として怒っている鬼が登場しますが、決して怖くなく、寧ろ最後には大笑いしている描写もあり、どこか親しみが感じられるような内容です。
まだ鬼に怖いイメージがついている子も本作を読むことで鬼に対するイメージが変わっていくことが予想されます。鬼に怖いイメージを持つ事は悪い事ではありませんが、怖いだけの存在になってしまっては勿体ないと考えています。
実際に読み聞かせをすると、にらめっこのシーンで聞き手との距離がグッと縮まっていくような感覚があり、聞き手も読み手も笑いながらにらめっこを楽しむ事ができます。
一対一でも大人数に対してでも楽しめる内容になっていますし、何より絵本を通して心が近くづく感覚が得られるのが本作の素敵なポイントだと感じます。
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