【4,5歳児おすすめ絵本】おにはそと!ふくはうち!【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】
「おにはそと!ふくはうち!」は私が”節分の由来を知り、節分への理解を深めて欲しい””登場するキャラクターの感情や気持ちを想像しながらストーリーを楽しんで欲しい”というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。
- 節分に関する話を知り興味を深めようとする
- 行事や物事の背景を知ろうとする
- 相手の気持ちなどを想像しようとする
作品紹介
「おにはそと!ふくはうち!」はこんな絵本!
「おにはそと!ふくはうち!」ってどんな内容の絵本?
そんな疑問にお答えするために「おにはそと!ふくはうち!」を簡単にまとめてみました。
- 節分の由来が描かれた少しシリアスな物語
- ストーリーを通じて節分に関する知識や興味を深める事ができる
- 人によって感じ方が様々な内容・結末が魅力的
まるわかりQ&A
あらすじ・ストーリー・内容
節分の由来となった切ない物語が描かれています。
昔々まだ高い山に鬼が住んでいた頃の話。日照りが続き田んぼの稲が枯れ始めていました。小さい女の子の”おふく”のお母さんは「雨を降らせてくれたらおふくを嫁にやってもいい」と呟いてしまいました。
その声を聞きつけ山から大きな鬼が駆け付けてきました。おふくのお母さんは鬼が雨を降らせ村中の稲が実ったらおふくを渡すと約束してしまいます。
鬼が山に帰り暫くすると本当に雨が降り、枯れそうだった稲も元気を取り戻し、秋には稲が立派に実りました。そうするとおふくの家に鬼がやってきておふくを本当に貰いにきたのです。
お母さんはおふくに稲を渡し、少しずつ道にまきながら行くこと、春には金色の花が咲いて道しるべになる事を伝えます。おふくは言われた通り稲を撒きながら鬼の城に行きました。
秋が訪れ、冬を越え、春になると外には金色の道筋が見えます。おふくは鬼の城から逃げ出し懸命に金色の道を走ります。鬼が後ろから追いかけてきますが何とか家まで辿りつけました。
お母さんは家の外にいる鬼に煎り豆を投げ、種を撒いて花が咲いたらおふくをまた渡してやると言い放ちました。山に帰った鬼は煎り豆を撒き、今でも芽が出てくるのを待っています。
節分の裏にあるストーリーを深く知る事が出来る一冊です。
こんな方におすすめ
以下の項目に当てはまる方に「おにはそと!ふくはうち!」はぴったりの絵本です!購入を検討してみましょう。
- 節分の由来に関する昔話を探している
- 登場人物の気持ちや感情への共感をしたくなる展開や善悪の判断などを考えさせられる絵本を探している
絵本比較!あなたに合った絵本を探そう!
「おにはそと!ふくはうち!」は探している絵本とは違った…。そんなあなたにはこちらをおすすめ!
善悪とは何かを考えさせられる「すてきな三にんぐみ」
お金持ちから泥棒をする所謂”悪者”。ですが、ある女の子との出会いをきっかけに三人の気持ちが変化し、恵まれない子たちを助ける素敵な三人組になっていきます。
行事などとは関係のないストーリーで善悪などを考えさせられる絵本を探している時にはこちらをおすすめ。
有名童謡の続きを歌いながら楽しめる「おにのパンツのそのあとは…」
童謡「おにのパンツ」のその後のストーリーが描かれた歌絵本。おにのパンツの歌のリズムのまま最後まで読むことができ、まさかの展開も楽しめる思わず歌いたくなる一冊です。
歌と共に楽しく鬼や触れたり、節分を感じたい時にはこちらをおすすめ。
目的・ねらい
絵本はそれぞれ作者の願いや思いが込められています。その思いを汲み取り、絵本を読むときに目的やねらいを持つ事をおすすめします。以下の「目的・ねらい」はRyuが読み聞かせをするときに大切にしている事です。参考にしてみてください。
- 節分の背景や由来を知り、興味を深める楽しさを感じる
- 登場人物の気持ちを想像しながらストーリーを楽しもうとする
目的・ねらい1
物事の背景を知る楽しさも感じられます。
「おにはそと!ふくはうち!」は、節分の由来や背景にあるストーリーを描いた作品です。本作を読むことでこれまでは節分と聞くと「鬼が来る日」「豆を投げる、食べる日」といった印象しかなかった子も、どうして「鬼は外、福は内」と言うのか、鬼と豆の関係性の理解など、節分を深く知るきっかけになるでしょう。
また、節分だけでなく、その他の行事や身の回りの様々な物事の背景を考えることにも繋がります。
目的・ねらい2
気持ちや思いを想像することで楽しさが深まるストーリーも魅力的です。
本作に登場する人物や鬼は、1つ1つの言動に対する理由が明確にあります。どうしてその行動をしたのか、なぜその言葉を言ったのかなどを理由を考える楽しさも感じられる内容です。
「おにはそと!ふくはうち!」だけでなく、他の作品でも言動の理由や気持ちを考える楽しさは味わえます。しかし、本作は各々の人物の気持ちが想像しやすく、共感もし易いので、そうした楽しみを感じるきっかけにぴったりの作品となっています。
チェックポイント
現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。
年齢 | 4,5歳児、特に5歳児 |
季節 | 冬 |
行事 | 節分 |
対象年齢
4歳児以降におすすめです。
「おにはそと!ふくはうち!」は、節分の背景にある昔話を描いた作品。節分という行事を理解してから読むことで更に楽しめるようになる作品なので、行事の理解が深まる4,5歳児、内容を考えると特に5歳児におすすめです。
時期・季節・行事
節分にやる事やどのような行事かのイメージができた後がおすすめです。
節分に何をするのかということを理解するきっかけとなるような絵本ではなく、節分に関連するストーリーを理解して、節分をより深く知ることを楽しむ作品。
なので、節分に関する基礎的な知識はある程度知った上で読むことで、すんなりと内容も入ってきやすくなるでしょう。
節分に関する絵本なので、季節は冬、行事はもちろん節分に合わせて読むことをおすすめします。
読み聞かせのポイント
「おにはそと!ふくはうち!」を読み聞かせをする中で意識しているポイントです。読み方を少し意識するだけで内容がぐっと伝わりやすくなります。読み聞かせをする中で自分なりのポイントも探してみるのも面白いですよ。
- 大げさに読む事は避けましょう
- 善悪の判断を決めつけて伝えるのは止めましょう
ポイント1
静かな雰囲気を大切にしたい作品です。
「おにはそと!ふくはうち!」は、鬼が出てきて戸を叩いたりするシーンもあり一見派手な作品にも感じますが、作品全体で考えるとどこか静けさすら感じられます。
鬼が叫んでいる言葉は多少強く読んでも問題ありませんが、あまり怖がらせるような読み方をしたり、強弱をつけすぎると作品の雰囲気を壊す事に繋がりかねません。
昔話のように少し淡々と読むようなイメージを持って読むと雰囲気が作りやすくなるのでおすすめです。
ポイント2
「鬼は悪い」のイメージを植え付けないように!
鬼と言うとやはりどこかで悪いイメージが付きまとってしまうのはある種の事実かもしれません。本作でも一見、おふくをさらって行ったかのように感じられますが、よくよく見ると悪いのは鬼ではないことに気付けます。
寧ろ鬼が可哀想に思えてくるようなストーリーで鬼の気持ちに寄り添いながら楽しむ子もいる作品です。なので、読み手や大人の都合で勝手に”鬼=怖い、悪い”というようなイメージを事前に伝える事は避けましょう。
あくまでそれらを感じたり、決めるのは聞き手の感じ取り方次第です。
まとめ・Ryuの感想
節分をより深く知る為には外せない絵本!
節分の絵本と聞くと鬼が来て豆を撒いたり、関連するモノの由来などを紹介する絵本が多いのですが、「おにはそと!ふくはうち!」は、節分にまつわる昔話を描いた作品なので、読むことで節分を違う視点からも楽しめるようになる一冊です。
また、節分の事だけではなく、登場人物への共感がしやすかったり、善悪を感じるきっかけになったりと、昔話らしく様々な学びもある作品となっています。
実際に読み聞かせをするとストーリーを真剣に聞く中でおふくや鬼への感情移入をして「かわいそう」といった反応が多くあります。中には「お母さんが意地悪」という感想を持つ子もいました。
聞き手次第によって様々な感じ方で楽しむことができ、節分の背景も知る事ができる、そんな節分の為だけに読むのが勿体ないと思える一冊です。
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