【4,5歳児おすすめ絵本】さくら【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】
「さくら」は私が”桜を美しいと感じ、桜や自然に興味を示してほしい””絵を楽しみながら四季を認識したり、季節の移ろいを感じて欲しい”というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。
- 桜に興味を持ち、実際に見て触れたいと思う
- 季節を認識し、季節の訪れを楽しみにする
- 絵をじっくり見る楽しさを感じ、自然物の美しさに気付く
作品紹介
「さくら」はこんな絵本!
「さくら」ってどんな内容の絵本?
そんな疑問にお答えするために「さくら」を簡単にまとめてみました。
- 桜の一年が繊細な描写と共に描かれている美しい作品
- 季節の移ろいやそれに伴う自然物の変化が感じられる
- 落ち着いた言葉の響きが心地良く、ゆったりと楽しめる
まるわかりQ&A
あらすじ・ストーリー・内容
桜と自然の美しさ、四季の移ろいが感じられる美しい絵本です。
一本の大きな木。名前はソメイヨシノ。もうすぐ花が咲きます。ページをめくると満開の桜!綺麗に咲いたので鳥にも花の蜜をおすそ分け。暫くすると花は散り、地面には花びらの雪が積もります。
花が散った後はどんどん出てくる緑の葉っぱ。ぐんぐん伸びて、葉は大きく、そして赤い小さなさくらんぼもできます。やがて雨が降り、天の水は葉を一層大きく、深い緑にさせる。
夏が来ると虫が葉を食べ、幹には蝉。生き物に分け与え、生き物は元気になる。秋が来ると葉っぱは衣替え。赤や黄色におめかしします。
北風が吹くと葉は落ちるけど枝の先には小さい粒々。花の赤ちゃんがもう眠ってる。そして冬。寒さの中で静かに生きている。やがて来る春を待っている。
春風が吹いてくると芽からピンクの顔が見えてきた。つぼみになり、ぐんぐん伸びる。一つの芽から沢山の花が咲いてきた。春が訪れ、ソメイヨシノはまた満開になります。
桜の美しさ、力強さが感じられる春に外せない一冊です。
こんな方におすすめ
以下の項目に当てはまる方に「さくら」はぴったりの絵本です!購入を検討してみましょう。
- 落ち着いた雰囲気のある桜に関する絵本を探している
- 丁寧に描かれた自然物の描写が特徴で視覚で十分に楽しめる絵本を探している
絵本比較!あなたに合った絵本を探そう!
「さくら」は探している絵本とは違った…。そんなあなたにはこちらをおすすめ!
春が訪れた喜びが感じられる「たんぽぽはたんぽぽ」
たんぽぽや蟻、猫などの植物・生物が力強く躍動する様子が描かれた作品。「たんぽぽはたんぽぽ」「ありんこはありんこ」といった言葉が繰り返されており、「自分は自分で良いんだ」と自然と力がみなぎってくる文も魅力的です。
楽しく、明るい春の訪れを感じたい時にはこちらをおすすめ。
細かい描写が楽しめる「チビねずくんのながーいよる」
身の回りの音が気になって中々眠る事が出来ないチビねずくん。風や水の音を聞くたびに色々な事を想像してしまい益々眠れません。頼りになるオオねずくんとの何気ない会話も楽しめます。音から想像する面白さも楽しめる一冊。
音の楽しさや「さくら」とは違った描写の細やかさを楽しみたい時にはこちらをおすすめ。
目的・ねらい
絵本はそれぞれ作者の願いや思いが込められています。その思いを汲み取り、絵本を読むときに目的やねらいを持つ事をおすすめします。以下の「目的・ねらい」はRyuが読み聞かせをするときに大切にしている事です。参考にしてみてください。
- 桜に興味を示し、見たり触れたいと感じる
- 季節を認識して、それぞれの季節に思いを馳せる
目的・ねらい1
実際に桜と見比べたくなる繊細な描写が魅力的。
「さくら」は、まるで本物の桜を見ているかのような丁寧且つ繊細な描写が特徴的な作品。遠くからでは気付きにくい小さな特徴などがしっかりと描かれています。
本作を読む中で気付いた小さな特徴などに対して「本物はどうなっているんだろう」と自然と感じられます。繊細に描かれているからこそ、絵本の先の実体験に繋がりやすい作品となっています。
目的・ねらい2
季節を動かしているような感覚で楽しめます。
桜というと春のイメージが付きものですが、「さくら」は春だけでなく桜の一年を通した姿が描かれています。季節によって全く違う姿が見られる様子は季節の移ろいがよく感じられます。
既に何回か経験しているそれぞれの季節のことを思い出しながら読み進められますし、ページを進めたり、戻ったりする中で自由に季節を行き来できるような感覚で楽しむ事ができるのも本作の大きな魅力の1つです。
チェックポイント
現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。
年齢 | 4,5歳児、特に4歳児 |
季節 | 春など |
行事 | 関係なく楽しめる |
対象年齢
4歳児以降におすすめです。
物語のような大きな展開ではなく、ありのままの自然が描かれたゆったりとした展開や文字量などを考えると4歳児頃でないと最後まで集中するのが難しい事が予想されます。
また、それぞれの季節の事を思い出す事で季節の移ろいも味わえる作品となっているので、季節の認識ができてからでないと「さくら」の魅力を100%感じられない恐れもあります。
時期・季節・行事
自然物への探求心が深まってきた頃がおすすめです。
生き物や植物に興味を示すだけでなく、それらを深く知ろうとする姿などが見られた頃に合わせて読むことで、単に桜への興味だけでなく、身の回りの自然物全般への関心が深まる事が予測されます。
図鑑や様々なツールを用いて物事を調べようとする姿勢が見られた時に何気なく一緒に読んでみるといいでしょう。
全体を通して1本の桜にフォーカスしている作品なので、桜が花開く春に合わせて読むのが一般的です。しかし、一年を通した桜の姿も描かれているので季節ごとの桜を楽しむ意味でも四季それぞれで読むのもおすすめです。
行事との関連する描写はなく桜が咲いている期間を通して楽しめます。もしお花見会などがある場合は、合わせて読むのにもぴったりです。
読み聞かせのポイント
「さくら」を読み聞かせをする中で意識しているポイントです。読み方を少し意識するだけで内容がぐっと伝わりやすくなります。読み聞かせをする中で自分なりのポイントも探してみるのも面白いですよ。
- ゆったりと落ち着いた声色、雰囲気で読みましょう
- 1ページをじっくり見せ、時には聞き手とやり取りをしてみましょう
ポイント1
非常に落ち着いた雰囲気のある作品です。
桜の一年を読み進めて行く内容となっているので大きな展開や急かすような描写はなく、自然の雄大さすら感じられるほどゆったりとしています。
文章もどこか成熟した人が語っているような構成となっているので、余裕があり、優しさが感じられる声色を少し意識するだけで本作の持つ雰囲気を一層引き立てることができます。
ポイント2
温かな雰囲気でのやり取りも楽しめます。
「さくら」は決して参加型絵本のような活発なやり取りが生まれる絵本ではありませんが、読む中で聞き手が桜の姿を見て反応をしたり、質問が生まれる内容です。
話の流れも重視したい作品ではありますが、例えば聞き手が「綺麗!」と反応したら「綺麗だね」と返したり、ちょっとした質問があったら話の合間に応える等をしながら読み進める事をおすすめします。
活発なやり取りではありませんが、作品に合ったようなじっくりとしたやり取りを「さくら」を通じて行うことができ、読んだ後、聞き手との距離も一層縮まるような感覚を覚えます。
まとめ・Ryuの感想
素朴な美しさと共に桜を楽しむことができる一冊です。
初めて「さくら」を見た時に感じた事は「綺麗な作品」でした。桜以外の要素は殆どなく、最後まで一本の桜が繊細なタッチで描かれている作品は本作を除くと殆どないでしょう。
また、その桜の美しさと落ち着きのある文章がマッチして、作品全体のどこか優雅さすら覚える雰囲気が生まれています。まさに”見とれてしまう美しさ”が絵本でも味わう事ができるのです。
実際に読み聞かせをすると、聞き手も美しい絵をじっくりと見るので自然と「この粒々何?」といった疑問が生まれてきたり、「綺麗だね」と反応が生まれます。
読んだ後、実際に桜を見に行くと同じ桜でも今までとは見え方・感じ方が違ってきます。ただ美しいだけでなく、探求心が深まる等、その後にも繋がる作品です。
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