【3,4歳児おすすめ絵本】いつもいっしょに【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】
「いつもいっしょに」は私が”何が一番嬉しいのかを考えるきっかけになって欲しい””言葉で言わないと伝わらない事もある事を感じて欲しい”というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。
作品紹介
「いつもいっしょに」はこんな絵本!
「いつもいっしょに」ってどんな内容の絵本?
そんな疑問にお答えするために「いつもいっしょに」を簡単にまとめてみました。
- 心の豊かさや相手への思いやりが深まる心が動く絵本。
- 本当に大切なもの・ことに気付くきっかけになる。
- 思っているだけでは伝わらない場合もある事が分かる。
まるわかりQ&A
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あらすじ・ストーリー・内容
本当の幸せに気付くことができるクマとうさぎのストーリー。
森の中に独りぼっちのクマがいました。ご飯を食べるのも一人。寝るのも一人。ですが、ある日「トン!トン!」と誰かが扉を叩き、開けてみるとそこには可愛いうさぎが寒そうに立っていました。
クマはうさぎの為に温かいスープを作りました。誰かのためにご飯を作る日が来るなんて思っていなかったクマは何だかウキウキしていました。
夜はクマのベッドで一緒に寝ました。うさぎの可愛い寝顔を見ながらクマはぐっすり眠る事ができました。
クマは料理をするのが楽しみになっていましたし、一緒に栗拾いに行ったりするのが大好きでした。でも、クマが何を訪ねてもうさぎはニコニコするだけ…。クマは少し気がかりになってきました。
クマは自分が色々してあげているのにどうして何も言ってくれないのか、本当はクマの事をどう思っているのかが心配になり眠れなくなってしまいました。
そしてとうとう「どうして黙っているの?僕の事好き?嫌い?」「何とか言ってよ!」と大声を出してしまいました。うさぎは目に涙を溜めながらクマを見ていました。そして、次の朝うさぎの姿はなくなっていました。
クマはまた独りぼっち。「君がいるだけで幸せだったのに」と言いながら、いっぱい泣きました。自分の泣き声で目が覚めると、うさぎが横ですやすや眠っています。そう、夢だったのです。
クマは泣きながらうさぎを抱きしめました。
喜怒哀楽、様々な感情と幸せが詰まった作品です。
こんな方におすすめ
- 身近な人やモノの大切さを考えるきっかけになる絵本を探している
- 言葉にすることで伝わる思いもある事が分かる絵本を探している
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相手の事を考える温かさが描かれた「ぎょうれつのできるパンやさん」
森の奥に出来たパン屋さんの優しさが噂を呼び、少しずつ繁盛、そして最後は行列ができるまでになる温かいストーリー。パン屋さんの目の前の人を笑顔にしたい思いが人や動物を繋いでいく温かさが感じられます。
ストーリーと共に本当に大切な事が見つかる一冊です。
分け合う良さ、思いやる心が感じられる「どうぞのいす」
「どうぞのいす」といううさぎが作った椅子から始まる優しさ溢れるストーリー。どうぞのいすに置いてあるものを動物たちは食べてしまいますが、後の動物の事を考えて代わりのものを置いていくのが繰り返されます。
優しさが紡がれていく名作です。
目的・ねらい
- 自分にとって大切な人やモノに気付き、大切にしようとする
- 自分の思いを言葉で伝えようとする
目的・ねらい1
大切な存在に気付くきっかけになります。
「いつもいっしょに」は、大まかに言うと身近な存在(うさぎ)を失いそうになったところで、その大切さにクマが気付くという展開になっています。
一見、子どもにとっては少し難しいテーマのように感じられるかもしれませんが、子どもも自分が大切にしている人やモノは各々存在しており、ハッキリと「〇〇が大切だから大切にしよう!」と認識する事は難しいですが、「〇〇が好きだから大事にしよう」とぼんやりと感じる事は子どもでも十分にできます。
いる・あるのが当たり前すぎて大切さに中々気付くことが出来ないものの大切さをストーリーを通して気付くきっかけになり得る作品です。
目的・ねらい2
相手への感謝を伝えるきっかけになり得ます。
クマと一緒に過ごす事を嬉しい・楽しいと感じていたであろううさぎですが、その思いを言葉で伝える事はありませんでした。
言葉で伝えなかったことが原因でクマは心配になってしまい、夢の中でうさぎに大声を出してしまう事に繋がったのです。
そんなこと言葉に出して伝えなくても感じ取るべきなのかもしれませんが、存外自分の思いというものは言葉に出さないと伝わりません。
自分の思いを言葉にする事は相手から強要されるべきではありませんが、感謝や好意などは相手にしっかり言葉で伝えた方が良い場合もある事を暗に伝えてくれています。
チェックポイント
現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。
年齢 | 幼児期、特に4歳児 |
季節 | 一年中 |
行事 | 関係なく楽しめる |
対象年齢
幼児期以降がおすすめです。
文の量などは比較的少なく読み易い作品ではありますが、”身近な人やモノの大切さに気付くこと”や”言葉で伝える大切さ”など理解力が必要な内容となっています。
なので、理解力が十分に身についている事が予想される幼児期以降特に周りの人にまで思いを向けられるようになる4歳児頃におすすめです。
時期・季節・行事
友だちとの関係が深まったり、言葉や気持ちでの喧嘩が見られるようになった時期がおすすめです。
幼児期以降になると言葉のやり取りなどを通じてお互いの気持ちを理解し始める一方で単なる叩き合いの喧嘩ではなく、言葉や気持ちの面での喧嘩も増えてくる時期があります。
友だちとのすれ違いがあった時に大人が成敗や良し悪しを判断するのではなく、「いつもいっしょに」を読んで子どもが自発的に関わりについて何かを感じられるように寄り添ってあげたいですね。
季節や行事との関連はないので、子どもの様子を見ながら一年を通して読むことができます。
読み聞かせのポイント
- 感情を分かりやすく表現しましょう
- 読んだ後に感想は求めないようにしましょう
ポイント1
喜怒哀楽をしっかりと表現しましょう。
「いつもいっしょに」の文構成はその殆どがナレーションのようになっていて、会話部分が少ない構成。
ですが、場面によってクマの寂しさやうさぎと過ごせる喜び、声を荒げる場面での怒りなど話の展開の中で感情も大きく動いているのが特徴の1つです。
会話のみに感情を込めて後は淡々と読むのも1つですが、ストーリー全体で心の動きが感じられるようにナレーション部分も感情を込めて場面毎の感情を聞き手が感じやすいように工夫してみるのも良いでしょう。
ポイント2
教訓・教育的な絵本ではありません。
「周りの人を大切にしよう」「自分の気持ちは言葉で伝えよう」などのメッセージは確かに感じられるものの、これらは大人が教訓のように伝えるものではありません。
「いつもいっしょに」を楽しんだ中で聞き手が自分で感じて初めて意味を成すものであり、一方的に伝えてしまうのは押し付け以外の何物でもないのです。
本作を読んだ後に「どうだった?」と感想を求めたり、「人を大切にしないとだめだね」などの読み手の感想を伝える事は避けた方がいいでしょう。
まとめ・Ryuの感想
心が動く、心が豊かになる、心のための絵本。
多少の展開はあるものの大きな展開が待ち受けていたり、大笑いするような面白さはありませんが、本作を読むと心が動かされる感覚を覚えます。
クマとうさぎのやり取りや優しさ、温かさ、そして怒りや悲しみを見ることで単なる「面白い」では片付けられない何かを感じる事ができます。
私もこの何かを言葉にするのは難しいのですが、きっと本作から得られるものを一言でまとめると「心が豊かになる」なんだと思います。
読み聞かせの時も笑ったりする様なことはありませんが、みんな真剣に聞いていて、クマやうさぎに感情移入をすることが特に多く、子どもたちも自然と心で様々な事を感じているのだと見ていて分かります。
「幸せとは何なのか」「自分の気持ちは言葉でしか伝えられないのか」「怒ることは悪なのか」など様々なことが感じられる作品。
私はこれからも子どもの心の成長のために読み続けていきたいと思う一冊です。
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