【2,3歳児おすすめ絵本】おにはうち!【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】
「おにはうち!」は私が”見た目などで人を判断しない大切さを感じて欲しい””節分をする理由や背景を知って欲しい”というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。
- 鬼の中にも良い鬼がいるかもしれないと感じる
- 節分と豆や鬼の関連を知り興味を持つ
作品紹介
「おにはうち!」はこんな絵本!
「おにはうち!」ってどんな内容の絵本?
そんな疑問にお答えするために「おにはうち!」を簡単にまとめてみました。
- 行事や優しさが描かれた「ピーマン村」シリーズの節分編
- 身の回りの人やモノを名称や見た目で判断しない大切さが感じられる
- 読み易いストーリーと共に節分に関連するモノの由来も知る事ができる
まるわかりQ&A
あらすじ・ストーリー・内容
偏見のないありのままの姿を受け入れる大切さが感じられる節分絵本です。
子どもたちが野球をしているのを遠くから眺めている子がいました。先生が声を掛けて名前を聞くと「にお」と言い、野球に誘いました。
におは難しい打球も取れるし、バットが滑り園長先生に当たりそうになった時にも素早く動いて守ってくれました。園長先生はにおを命の恩人として抱きしめました。鬼という事に気付きましたが園長先生はあえて言いません。
先生が豆まきをする事を伝えると、におは走り去ってしまいました。先生が昔の人は悪いことが起こると鬼のせいにした事を説明します。皆は鬼の存在を信じなかったり、怖がっています。
そして、園長先生が豆まきの合図をします。「おにはーそとー!」「いい、おにはーうちー!」。子どもたちは良い鬼なんかいるのかを聞きますが、園長先生はきっと良い鬼もいること、本当は人間と仲良くしたいのかもしれないと伝えます。
皆が外を見ると、におが木の陰に隠れているのを見つけまた野球に誘い、一緒に楽しみました。
節分の雰囲気を感じながら心も温かくなる作品です。
こんな方におすすめ
以下の項目に当てはまる方に「おにはうち!」はぴったりの絵本です!購入を検討してみましょう。
- 読み易いストーリーと共に豆や鬼の由来を知る事が出来る節分絵本を探している
- 人やモノを見た目などで判断しない大切さが感じられる絵本を探している
絵本比較!あなたに合った絵本を探そう!
「おにはうち!」は探している絵本とは違った…。そんなあなたにはこちらをおすすめ!
子どもと大人で笑って心も近くなる「おふくさん」
いつもにこやかなおふくさんたちと怖がらせようとする鬼との関わりを描いた作品。おふくさんの予想できない言動に振り回されている鬼やにらめっこの描写が面白く、笑いながら楽しめ、鬼にもどこか親しみが感じられる一冊です。
鬼に関連する絵本で笑って楽しみたい時にはこちらをおすすめ。
おばけという不思議な存在に楽しく触れられる「おふろにいれて」
男の子がお風呂に入っていると「トントントン」と窓の外から誰かが覗いています。ねこ、いぬ、うさぎが来て一緒にお風呂に入っているとおばけが…。優しいおばけと動物たちの温かいお風呂の絵本です。
鬼とは関連がない絵本で、見た目で判断しない大切さを伝えたい時にはこちらをおすすめ。
目的・ねらい
絵本はそれぞれ作者の願いや思いが込められています。その思いを汲み取り、絵本を読むときに目的やねらいを持つ事をおすすめします。以下の「目的・ねらい」はRyuが読み聞かせをするときに大切にしている事です。参考にしてみてください。
- 身近な人やモノを見た目等で判断しようとしない
- 節分と豆や鬼との関連を知り、節分に興味を持つ
目的・ねらい1
偏見のない温かさが感じられます。
「おにはうち!」は、見た目や属性によって人や物事を判断しない大切さが感じられる内容になっています。登場する”にお”は鬼ですが、園長は”にお”を鬼としてではなく”にお”として受け入れています。
子どもにとっては少し難しいメッセージかもしれませんが、「鬼にも良い鬼がいるんだ」と感じるだけでも名称や見た目で判断しない事に繋がっていくでしょう。
目的・ねらい2
節分の事もしっかりと触れられています。
本作のメインは、温かさの感じられるストーリーですが、展開の中で節分に何をするのか、鬼がどのように関連しているのかなど、節分についても詳しく触れられているパートがあります。
説明の部分は文量がただ多いだけでなく会話を中心としているので、説明を聞くのも苦ではなく、あくまでストーリーの一連の流れとして節分に何故鬼が関わっているのかなどの由来を知る事ができます。
チェックポイント
現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。
年齢 | 2,3歳児、特に3歳児 |
季節 | 冬 |
行事 | 節分 |
対象年齢
2,3歳児頃、若しくはそれ以降がおすすめです。
節分の説明のパートは文の量も少し多くなりますが、それ以外は文も短く読み易い作品。また、会話も多く取り入れられているので会話を楽しみながら最後まで聞きやすい絵本と言えます。
人間関係に深まりが見られる3歳児頃をおすすめしますが、絵や展開だけを楽しむなら2歳児でも十分に楽しむ事ができます。
季節・行事
節分の前に読むことをおすすめします。
節分に行う事や節分と豆・鬼の繋がりが自然と分かる内容となっているので、節分の前に読むことで関連するモノを理解しながら、より一層節分を楽しめるようになります。
また、本作を通じて怖い鬼だけではないことも感じられるので、鬼も過度に怖がることなく接する事ができるでしょう。
読み聞かせのポイント
「おにはうち!」を読み聞かせをする中で意識しているポイントです。読み方を少し意識するだけで内容がぐっと伝わりやすくなります。読み聞かせをする中で自分なりのポイントも探してみるのも面白いですよ。
- 会話部分は実際に会話をしているように意識して読みましょう
- ゆったりとした温かい雰囲気を作って読みましょう
ポイント1
言葉のやり取りも本作の魅力の1つ。
「おにはうち!」の文構成は少しの環境音以外は全て誰かの言葉や会話で成り立っています。淡々と読むのも勿論素敵ですが、少しだけでも人間同士での言葉のやり取りであることを意識して読むと会話や言葉がイキイキと聞こえてきます。
子どもに読む前に一度目を通してそれぞれの人物がどのような気持ちで、それぞれの言葉を発しているのかを理解すると気持ちの乗り方も大きく変わっていきます。
ポイント2
鬼がいるからと言って恐怖を感じる絵本では決してありません。
節分の絵本というと鬼が出てきて、激しい展開やどこか怖さをイメージしてしまいますが、本作は一切恐怖とは関係のない内容で、寧ろ落ち着いた雰囲気の中で楽しめる作品です。
読み手が恐怖を与えるような言動はせず、微笑みながら読んだり、温かみのある声で読むことで聞き手も鬼に対しての恐怖心や先入観を取り払うことができるでしょう。
まとめ・Ryuの感想
良い鬼もいるかもしれない。そんな気付きを与えてくれる一冊です。
鬼と言うとやはり怖いイメージや追い払うモノというイメージがつきものですが、「おにはうち!」では、そんな固定概念がなくなる内容となっています。
子どもたちは”にお”が鬼だという事に気付いていないかもしれませんが、どんな見た目であろうと関係なく、におを受け入れて接する姿が描かれています。
また、園長も鬼への偏見がなくなるような声かけを子どもたちにしているのが特徴で「良い鬼もいるかも」と感じる事ができます。そうした思いがやがて”見た目や名称だけで判断しない”事に繋がっていくでしょう。
読み聞かせをすると「にお、すごい!」「園長面白い!」といった反応があり、落ち着いた雰囲気の中でも笑いや驚きもあり、最後まで楽しむことができます。
節分を知るだけでなく人間関係を構築する上で大切なメッセージも感じる事ができる作品です。
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