【1,2歳児おすすめ絵本】ぞうくんのさんぽ【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】
「ぞうくんのさんぽ」は私が”言葉のやり取りの楽しさを伝えたい””天候に関心を示して欲しい“というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。
作品紹介
作・絵 | なかの ひろたか |
出版社 | 福音館書店 |
発行日 | 1977/4 |
値段 | ¥990 |
大きさ・ページ数 | 27×20cm/28P |
「ぞうくんのさんぽ」はこんな絵本!
「ぞうくんのさんぽ」ってどんな内容の絵本?
そんな疑問にお答えするために「ぞうくんのさんぽ」を簡単にまとめてみました。
- 「ぞうくんのさんぽ」シリーズの第一作目の有名作
- ぞう、かば、わに、かめたちの言葉のやり取りが楽しめる
- 天気を意識し、雨が楽しみになる
まるわかりQ&A
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あらすじ・ストーリー・内容
のんびりとした雰囲気が心地良い雨の日に読みたい絵本。
ぞうくんは雨の日にお散歩。するとまずはかばくんに出会い、かばくんはぞうくんにどこに行くのか尋ねます。
ぞうくんは「さんぽだよ。いっしょにいこう」と誘いますが、かばくんは背中に乗せてくれるなら一緒に行くと言います。力持ちなぞうくんは受け入れます。
かばくんを背中に乗せながらお散歩するぞうくん。今度はわにくんに出会います。そしてまた同じやり取りをし、かばくんとわにくんを乗せながらお散歩します。
最後にかめさんに出会い、同じやり取りをして背中に乗せますが最後は…。
動物たちの会話が面白い名作です。
こんな方におすすめ
- 会話の楽しさに気付くことができる絵本を探している
- 天候や雨に関する絵本を探している
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落ち着いた雰囲気の中での会話が心地良い「かばくん」
動物園にいるかばくんと動物園に来たかめくんの会話のやり取りがゆったりとした展開の中楽しめます。
落ち着いて絵本を楽しみたい時に読みたい一冊です。
動物たちの言葉のやり取りが面白い「てぶくろ」
森の動物たちが落ちているてぶくろに入る為に言葉を交わしていきます。一定のやり取りが楽しく、何度も読みたくなります。
ウクライナ民謡から生まれた傑作本。一度は読みたい一冊です。
目的・ねらい
- 会話の流れを知り、会話が楽しいものだと認識する
- 天候に興味を持ち、自然現象に関心を示す
目的・ねらい1
繰り返される同じ会話。だからこそ身に付く。
ぞうくんが散歩をしている時に出会う3匹の生き物たち。多少の言葉の違いはありますが、殆ど同じ会話を繰り返してストーリーが展開していきます。
同じ会話の繰り返しは退屈を誘うものではなく、乳児向けの絵本にはとても大切な要素です。
「やあ、かばくん」「おや、ぞうくん」「どこいくの」「さんぽだよ。いっしょにいこう」「せなかにのせてくれるならいってもいいよ」「いいとも。いいとも」この一連の会話のやり取りが面白く、また実際の生活の中でも活かされていきます。
「かして」「いいよ・嫌だよ」、「ごめんね」「いいよ」、「一緒に遊ぼう」「いいよ」など、子どもたちの生活の中でも「ぞうくんのさんぽ」に出てくるような会話がたくさんやり取りされています。
そんな会話の楽しさに気付き、実際に言ってみる。会話のきっかけを作ってくれる絵本です。
目的・ねらい2
雨の日に散歩という意外性が面白い!
子どもの中でも”雨=散歩に行けない”という事実はそれとなく理解しているため、雨の日に散歩に出かけるぞうくんにぐっと心を掴まれます。
そしてぞうくんに心を掴まれたら「なんで雨の日はお外に行けないんだろう。そもそも雨って何だろう?」「お日様が見えるときもある」「風がすごい」など、自然現象への着目に繋がっていきます。
子どもにとって不思議て魅力的な様々な自然現象。「ぞうくんのさんぽ」を楽しむ中で自然と、これから生きて行くうえで必ず関わっていく現象を考えるきっかけになるでしょう。
また、「雨って楽しい」と雨の日に対する印象も変わる可能性も十分に秘めています。
チェックポイント
現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。
年齢 | 1,2歳児、特に2歳児 |
季節 | 一年中若しくは梅雨時期 |
行事 | 関係なく楽しめる |
対象年齢
1,2歳児頃がおすすめです。
ページ数や文字の量を考えると乳児に適した絵本といえます。
また、形式的な一定の会話のやり取りが少しずつできるようになる2歳児になると、より実生活に「ぞうくんのさんぽ」で出てきた会話の流れを落とし込めるので、ぴったりです。
3歳児以上でも最後のドキドキの展開などを楽しむ事はできますが、物足りなさを感じるでしょう。
時期・季節・行事
一定の会話のやり取りをし始めた頃がいいでしょう。
ねらい1に書いたような玩具の貸し借りや遊びの際のやり取りなど形式的なやり取りをし始めた頃、若しくはその少し前に読むことで会話がどのように展開していくのかを絵本を楽しみながら感じる事ができます。
行事と特に関連する描写などはありませんが、季節としては、雨は一年を通して降るものなので一年中楽しめる絵本ですが、雨の多い梅雨時期に天候に触れる機会を作るために読んでも良いでしょう。
読み聞かせのポイント
- 声を分けて会話を目立たせましょう
- 最後はドキドキできるように溜めを作りましょう
ポイント1
しっかりと演じてリアリティを感じられるように!
「ぞうくんのさんぽ」の楽しさの1つとして繰り返される会話が挙げられます。そして、その会話の楽しさに気付けるように工夫する事も読み手の大切な役割です。
演じずに淡々と読んでしまうとどこか味気ないやり取りになってしまいますが、ぞうくんはゆっくり低い声で、かめくんは小さく高めの声でといったようにしっかり声を分けることで会話がイキイキしたものになります。
自分が思うそれぞれのキャラクターに合った声を出して、誰が話しているのかを明確にすることで、子どもにも更に会話の楽しさが伝わるでしょう。
ポイント2
ドキドキする展開を作り、最後まで引き付けましょう。
ほのぼのとした雰囲気から一転終盤は背中に乗っていた動物たちが落っこちてしまう展開が待っています。
高く積みあがっている動物たちを見て聞き手もドキドキしている場面、特に動物たちが崩れる前のページを読み終えた後に次のページに行くまでに3秒ほど溜めを作り「どうなるんだろう」と思わせるように工夫しましょう。
また、崩れてしまって「うわーっ」と言っているページも少し大げさに読むことで次の展開が気になるようにすることができ、絵本の最後まで飽きさせません。
まとめ・Ryuの感想
まったり、ゆったり…子どもの気持ちも落ち着きます。
柔らかい雰囲気の動物たちのやり取りが心地良く、聞いている子どもも自然と心が落ち着いていくのが分かります。
目的やねらいを考えると会話の楽しさや天候に気付くという点が挙げられますが、そうしたねらい抜きでも起承転結がはっきりとしているので、展開が分かりやすくストーリー自体をどんな子でも楽しむ事ができます。
私も乳児、特に2歳児によく読むのですが、展開を知っていても最後の動物たちが崩れる所では子どもも一緒に「きゃー!」と言いながらみんなで盛り上がります!
また、「ぞうさんのさんぽ」は雨ですが、「ぞうくんのさんぽ」シリーズでは風がテーマだったり、かめくんが活躍するものもあるので、本作が気に入ったら合わせて読むことをおすすめします。
みんなが大好きな一冊です。
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