【4,5歳おすすめ絵本】つきのうさぎ【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】
「つきのうさぎ」は私が”人の為に何かを行うことの大切さを伝える””月にうさぎがいる疑問に答える“というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。
作品紹介
「つきのうさぎ」はこんな絵本!
「つきのうさぎ」ってどんな内容の絵本?
そんな疑問にお答えするために「つきのうさぎ」を簡単にまとめてみました。
- 昔話・童話の「月へいったうさぎ」をいもとようこさんが柔らかい雰囲気にアレンジ
- うさぎが他者の為に犠牲になる少し重いテーマの作品
- 月にうさぎがいる事への答えに繋がる絵本
まるわかりQ&A
絵本ナビなら中面をチラ見できます!レビューもチェック!
あらすじ・ストーリー・内容
「どうして月にうさぎがいるの?」そんな疑問への答えが描かれています。
昔、うさぎときつねとさるが仲良く暮らしていました。ある日、三匹はおじいさんが倒れているのを見つけます。
三匹は毎日食べ物をおじいさんに持っていきました。さるは柿の実をきつねは魚を…しかし、うさぎは何も取る事ができませんでした。
ある日の事、うさぎは「今日は食べ物をきっと持ってくる」と言い出かけますが、結局その日も食べ物は取れませんでした。
「こんな私にもたった1つ出来る事があります」そう言うと、なんとうさぎは燃え盛る火の中に自ら入り、自分の体をおじいさんに与えました。
しかし、そのおじいさんは本当は神様で、自分を犠牲にしてまで人を助けようとしたうさぎに感銘を受け、うさぎが大好きだった月でずっと幸せに住めるように永遠の命を与えました。
月の見方が変わる一冊です。
こんな方におすすめ
- 相手を思う気持ちが育まれる絵本を探している
- 月にまつわる話の絵本を探している
絵本比較!あなたに合った絵本を探そう!
「つきのうさぎ」は探している絵本とは違った…。そんなあなたにはこちらをおすすめ!
人の為に行動する大切さが感じられる「すてきな三にんぐみ」
お金持ちから泥棒をする所謂”悪者”。ですが、ある女の子との出会いをきっかけに三人の気持ちが変化し、恵まれない子たちを助ける素敵な三人組になっていきます。
暗い雰囲気の絵本ですが、他者の為に行動する尊さが分かる一冊です。
親切にするすることで幸運が訪れる事が分かる「金のガチョウ」
森にいたお爺さんにお弁当を分け与えたお礼として幸せをもたらす金のガチョウをもらい、お爺さんに助けられながら幸せになるストーリー。
教訓が詰まっていながらも堅苦しくないグリム童話を基にした一冊です。
目的・ねらい
- うさぎの行動の意味を考え、思いやりが何なのか感じる
- 月に関連する話を知り、教養として身に着ける
目的・ねらい1
何故うさぎは飛び込んだのか。考える事が大切です。
うさぎが自ら自分の命を捨てる行動は非常にショッキングですし、子どもにとっては理解しがたい事です。
ですが、全ては「誰かを助けたい」という思いやりの心からくるものだと理解した時に、「他者を思いやる」とは何なのかを感じたり、本当に理解する事ができるでしょう。
難しいテーマではありますが、幼児期になると「友だちを思いやる」という気持ちが少しずつ芽生えてきます。なので、うさぎの行動の意味も少しずつ理解できるようになることが予測されます。
目的・ねらい2
知的好奇心も満たすことができます。
「つきのうさぎ」の対象である幼児期にもなると自然物や自然現象など身の回りに起こる様々な出来事に関心を示すなど、知的好奇心が沸き上がります。
地球や宇宙、月、太陽などの概念も少しずつ理解できるようになってくるので、月に関する知識として、また教養として読むのにぴったりな絵本でもあります。
また、月に関連する知識を身に着けておくことで、お月見などの行事により興味を持つきっかけにもなり得るでしょう。
チェックポイント
現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。
年齢 | 4,5歳児、特に5歳児 |
季節 | 秋、一年中でも可 |
行事 | お月見など |
対象年齢
3歳児以降がおすすめです。
他者を思いやる気持ちやうさぎの死という内容、月に関連する教養などテーマとしては難しい部類になります。
これらを理解するには言語的能力だけでなく、心の成長も必要となるので、言葉や心がしっかりと育っていることが予測される幼児期、特に5歳児に読むのがいいでしょう。
時期・季節・行事
他者の気持ちを考えられるようになった頃がおすすめです。
「つきのうさぎ」で描かれている”他者の為に何かをする”というのは人間関係という側面から考えると幼児期の1つのゴールとも言える非常に難しい事です。
自分の思いに気付く→相手にも気持ちがある事に気付く→相手の気持ちを想像する…という段階を踏んだ先にあるものなので、他者の気持ちを考えられるようになった様子が見られた時に読むことで「相手の為に行動するとはこういう事なんだ」と理解する事ができるでしょう。
月に関連する話なので、季節は秋、行事としてはお月見に合わせて読むのも良いと思いますが、他者への思いやりというテーマをメインとして読み聞かせをする場合は季節や行事に関係なく読むことができます。
読み聞かせのポイント
- キャラクターの心情を表現するように読みましょう
- 自分の気持ちを伝えたり、価値観を押し付けないようにしましょう
ポイント1
心の動きが分かるように読むのがおすすめです。
どうしてうさぎは自分を犠牲にして火に飛び込んだのか、どういう思いだったのか等が分かりやすくなるようにキャラクターの気持ちの理解した上で読むといいでしょう。
さるときつねの少しの苛立ち、うさぎの焦り・申し訳なさ、神様の悲しみなど感情の動く場面が度々描かれているので、声色を変えながら読むことで聞き手にその感情を分かりやすく伝えることができます。
場面場面でのそれぞれのキャラクターの気持ちが分かる事で、作品に更に引き込まれるだけでなく、うさぎが自己犠牲という選択をした理由も分かっていきます。
ポイント2
何を感じるかは一人一人違います。
私も「つきのうさぎ」を読むときには「思いやる大切さを感じてくれたらいいな」という思いを持って読むことが多いのですが、それはあくまで大人、読み手の都合です。
うさぎの行動を見て理由を理解できない子もいるでしょうし、命を捨てる事がいけない事だと感じる子もいるでしょう。様々な意見や思いがあっていいのです。
それぞれの感じた事を大切に出来るように、読み手の感想を伝えたり「うさぎはどうして火に飛び込んだんだろう?」と、大人から投げかけるのは止めましょう。
もし仮に聞き手から「どうして飛び込んだの?」と聞かれたら、最初に大人の考えを伝えずに「どうしてだと思う?」と聞き返す事をおすすめします。
まとめ・Ryuの感想
心の成長の為に読みたい絵本。
自己犠牲の是非は賛否の分かれる所で個人的にも「そこまでしなくても…」という思いはありますが、自分を犠牲にしてまで他者を助けたいと思う気持ちや姿勢は子どもに伝えたい所ではあります。
私が気を付けている点としては、うさぎの死というショックの大きい描写もあるので、親族が亡くなった子どもがおり、死という事に敏感な時期に読むのは控えています。
死が描かれている作品であり重いテーマではありますが、いもとようこさんの柔らかいタッチによって死の描写の重さが良い意味で和らいでいるので、「つきのうさぎ」の読み聞かせをする時にはいもとようこさんのを強くおすすめします。
子どもに読み聞かせをすると、うさぎの行動を見て「えー!なんでー!」「悲しい」と言ったり、「だから月にうさぎがいるんだね」などなど様々な反応や感想が返ってきます。
一回では理解できなくても何度か読む中でうさぎの行動の理由を理解できる事も多くありました。
重い内容ではあるものの私個人としては、幼児期に必ず一度は読みたい絵本の中の一冊です。
記事を書く励みになります。ポチっとお願いします!