【4,5歳児おすすめ絵本】じめんのうえとじめんのした【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】

「じめんのうえとじめんのした」は私が”身の回りの事を疑問に感じ、深く知ろうとして欲しい””植物やその働きなどに興味を持って欲しい”というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。
作品紹介
「じめんのうえとじめんのした」はこんな絵本!
「じめんのうえとじめんのした」ってどんな内容の絵本?
そんな疑問にお答えするために「じめんのうえとじめんのした」を簡単にまとめてみました。
- 土の中とその上で起こっている事が分かる科学的な好奇心が満たせる絵本
- 根っこの生え方など普段目に見えない所が描かれている
- 植物の働きが分かり、植物への興味・関心が増す
まるわかりQ&A
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あらすじ・ストーリー・内容


地面の下に目を向ける事が出来る珍しい絵本。
地面の上に住む動物もいれば地面の下に住む動物もいるし、地面に穴を掘って両方で暮らす生き物もいる。
植物はどうだろう。植物は地面の上と下どちらにも伸びていく。
地面の上はまっすぐ伸びて、地面の下は横に伸びる植物もいれば、人参のように上は葉っぱで下は食べ物になっているものもある。
土も良く調べると小さな岩や空気、水が入っている。そこから植物は栄養を蓄える。
そんな空気と土から栄養を蓄えた植物を食べて動物たちは生きているのです。
植物の有難みも感じる事が出来る価値観の広がる一冊です。


こんな方におすすめ


- 想像力・思考力が身につく絵本を探している
- 植物の役割を考えられる絵本を探している
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「じめんのうえとじめんのした」は探している絵本とは違った…。そんなあなたにはこちらをおすすめ!


月に関しての知識が深まる「つきのうさぎ」
自ら犠牲になってまで人を助ける意味、尊さ、疑問を感じられる絵本。月に兎がいる理由にも繋がっており、教養としての一面も大きいです。悲しいけれど、強いメッセージが込められた一冊です。
優しさとは何かを考えさせられます。


寒冷地の生き物の楽しいストーリー「ペンギンホテル」
寒冷地を舞台にしたペンギンのホテルの一日が描かれた作品。広い海のどこか遠くにあるペンギンホテルは、世界中から様々なお客様がやってきます。ライオン、キツネ、白鳥、白熊、泳ぎ疲れたクジラまで…。バタバタ忙しいですが、みんな満足して帰っていきます。
知的好奇心も満たされる一冊です。
目的・ねらい


- 身の回りの物事に対して想像したり、深く考えようとする
- 植物についての理解を深め、興味・関心を持つ
目的・ねらい1
意識しないと知らない世界がたくさんある事を伝えてくれます。
普段、子どもも大人も生活している中では見る事は殆どない地面の下がテーマの「じめんのうえとじめんのした」
存在はしているけれど、知らない世界が身の回りには溢れている事を教えてくれます。
子どもにも身近な木や人参、じゃがいもなどの地面での姿の描写もあり、子どもでも想像しやすく、テーマは難しいものの親しみを持って絵本を楽しむ事ができます。
「表面に見えるモノだけが全てではない」という深いメッセージを感じる事ができるでしょう。
目的・ねらい2
意外と知らない植物の世界の入り口になります。
「じめんのうえとじめんのした」では地面の上と下に住む生き物についても触れられていますが、メインは植物になります。
生き物は子どもにとって身近な存在であり、幼児にもなるとある程度も知識もついてきますが、同様に身近な存在であるはずの植物についての知識がある子はあまりいません。
「じめんのうえとじめんのした」は根っこという面白い観点から植物について深掘りされており、その面白い形から子どもでも楽しみながら植物についての知識を得る事ができるよう工夫されています。
本作を読んだ後では、散歩や外遊びの際に植物を見た時にはそれまでと植物の見方が変わっているでしょう。
チェックポイント


現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。
年齢 | 4,5歳児、特に5歳児 |
季節 | 一年中 |
行事 | 関係なく楽しめる |
対象年齢
5歳児がおすすめです。
知的好奇心をくすぐる面白さ満点の「じめんのうえとじめんのした」ですが、パッと見て面白さを感じる絵本とは異なります。
深く考えて、ある程度の知識がある事で初めてその面白さを感じる事が出来る内容となっているので、早くても4歳児、十分に考える力がついている5歳児がいいでしょう。
時期・季節・行事
「知る」事を楽しいと感じる事が出来てからがいいでしょう。
知識を得る喜びが薄いとされる乳児期の子にしてしまえば「ふーん。そうなんだ」の一言で片づけられてしまう内容かもしれませんが、知る事の楽しさを理解し始めた幼児期になって初めて「すごい!面白い!」と感じる事ができます。
どんな事であっても「もっと色んなことを知りたい」という姿が見られた頃に読むと更に面白く感じる事ができるでしょう。
季節感はないので、一年中いつ読んでも楽しむ事ができます。季節ごとの植物の違いを楽しむのもいいでしょう。
植物や生き物がテーマなので、行事とは関係なく読むことができます。


読み聞かせのポイント


- 聞き手の疑問に答えながら読みましょう
- 最後まで飽きさせないように工夫して読みましょう
ポイント1
「なんで?」「どうして?」は成長の大チャンス!
「じめんのうえとじめんのした」は動植物の生態という難しいテーマで描かれているので、聞き手から疑問が出てくるのも当然です。
読んでいる時に色々と聞かれると読み聞かせを続けたい思いと疑問に耳を傾けたい思いで葛藤があり、判断に困ると思いますが、ここは思い切って疑問に答える事を優先しましょう。
疑問が出るという事はそれだけ真剣に聞いている証拠です。疑問を解消することで、理解も深まっていくので聞き手の疑問には丁寧に答えてから、絵本を読むことをおすすめします。
ポイント2
好奇心をくすぐりながら読みましょう。
知的に非常の面白い「じめんのうえとじめんのした」ですが、大きな展開があるわけではなくどこか淡々と動植物などについての説明が続いているので、聞き手の意識を絵本に向けられるように読み方を工夫するといいでしょう。
賛否は分かれると思いますが、私は植物の根っこの部分を隠して見せて「下はどうなっているでしょうか」と聞き手に質問をするクイズの形式で読むことが多いです。
子どもはクイズが大好きなので、例え動植物の話に関心を持てなくてもクイズの部分は楽しんで参加する事ができるので、興味を持つきっかけを作りやすくなります。
聞き手の集中が切れているようだったら、是非試してみてください。


まとめ・Ryuの感想


物語だけじゃない!知的に楽しい絵本もある!
絵本と聞くとストーリーがあるものを想像してしまいがちですが、「じめんのうえとじめんのした」は自然や科学に目を向け、まるで理科の学習をしているような感覚になる絵本です。
「じめんのうえとじめんのした」を楽しめるようになるには、絵本が好きであること、理解力、思考力などが十分に身についている事などの条件はありますが、これらが身についている事が予想される幼児にとっては知的好奇心をくすぐられる非常に楽しい一冊になっています。
実際に読み聞かせをすると興味を持つ子とそうでない子の差が激しい絵本であることを感じました。
そこで思考錯誤し、ポイントで書いたようなクイズ形式にすることで、より多くの子どもが楽しめる事に気が付き、読み聞かせの時には実践しています。
難しい絵本ではありますが、植物・自然・環境などについても考えるきっかけになる素晴らしい絵本です。



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