【愛するとは何かを学べる】100万回生きたねこ【現役保育士がレビュー】

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【5歳児以上おすすめ絵本】100万回生きたねこ【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】

Ryu

「100万回生きたねこ」は私が”絵本を読んで感じた事と向き合って欲しい””愛する気持ちが何なのかを感じて欲しい”というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。

「100万回生きたねこ」を通じて目指す子どもの姿
  • 自分の感じている事に向き合う感覚を覚える
  • 愛とは何かを考えようとする
  • 登場するキャラクターの気持ちを感じる
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目次

作品紹介 

作・絵佐野 洋子
出版社講談社
発行日1977/10
値段¥1540
大きさ・ページ数25×25cm/31p

「100万回生きたねこ」はこんな絵本!

「100万回生きたねこ」ってどんな内容の絵本?

 そんな疑問にお答えするために「100万回生きたねこ」を簡単にまとめてみました。

  1. 発行部数220万部以上のベストセラーで1977年から読み継がれている名作
  2. 愛とはどういうものなのかを感じる事ができる
  3. 感じた事と向き合える絵本

まるわかりQ&A

「100万回生きたねこ」を一言で表すと?

深い深い深すぎる愛の絵本!

子どもの反応は?

集中して物語を聞き、疑問や様々な事を感じている!

ずばり何歳向け?

5歳児以上!大人も!

どんな人は買い?

読んだ後に自分なりの感想を持つことができる絵本を探している人!

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あらすじ・ストーリー・内容

100万回生きた愛を知らない猫の話。でも愛を知ったとき…。

 100万回も死なない猫がいました。100万回死んで、100万回生きた猫です。猫は色々な飼い主に愛されていましたが、その猫は1回も泣いたことがありませんでした。

 ある時は王様の猫、ある時は船乗り、またある時はサーカスの、泥棒の、おばあちゃんの、女の子の…。ある時猫は誰の猫でもない野良猫になりました。立派な猫だったので、モテモテでしたし、何より誰よりも自分が好きでした。

 しかし、そんな猫に見向きもしない美しい白猫がいました。興味を示さない白猫のそばに猫はいつまでもいました。そして、二匹の間に子どもが生まれました。やがて、子どもも大きくなり、猫と白猫はずっと一緒に過ごしていました。猫はいつまでも白猫と一緒に生きたいと思いました。

 ある日、白猫は猫の隣で動かなくなってしまいました。猫はいつまでも、100万回も泣きました。いつまでも泣き、ある日の昼、猫は静かに動かなくなりました。

 猫はもう決して生き返りませんでした。

 愛する喜び、悲しみが繊細に描かれた名作です。

こんな方におすすめ

以下の項目に当てはまる方に「100万回生きたねこ」はぴったりの絵本です!購入を検討してみましょう。

  1. 5歳児向けの読み応えのあるストーリー調の絵本を探している
  2. 愛について描かれた絵本を探している

絵本比較!あなたに合った絵本を探そう!

「100万回生きたねこ」は探している絵本とは違った…。そんなあなたにはこちらをおすすめ!

子どもと一緒に読んで欲しい親子愛の絵本「おかあさんだいすきだよ」

 子どもがいう事を聞かなかったりしたときについつい叱ってしまうお母さんの姿が描かれています。でも、本当は優しい言葉がけをして欲しいという子どもの思いとお母さんの思いが描かれた絵本。

 大人こそ読んで欲しい一冊です。

夢の大切さと兄弟愛が感じられる「ジャッキーのゆめ」

 くまのがっこうシリーズで、ジャッキーの夢について描かれた作品。ジャッキーの夢はいっぱいあるけれど、お兄ちゃんたちの夢はこれからもみんな一緒に過ごすこと。優しさで溢れた兄弟愛が感じられます。

 夢の大切さ、兄弟の大事さが感じられる一冊です。

目的・ねらい

絵本はそれぞれ作者の願いや思いが込められています。その思いを汲み取り、絵本を読むときに目的やねらいを持つ事をおすすめします。以下の「目的・ねらい」はRyuが読み聞かせをするときに大切にしている事です。参考にしてみてください。

  1. 集中し、様々な事を感じながら絵本を楽しむ
  2. 読んだ後に自分の思いと向き合う

目的・ねらい1 

言葉にできない思いを感じられるでしょう。

 子どもにとっては少し難しい内容の絵本ではあるものの、子どももこれまでの経験から感じるものがあるはずです。それを言葉にすることはまだ難しいのですが、心でしっかりと感じる事が出来ていたらそれでいいのです。

 「どうして猫は生き返らなくなってしまったのだろう」「どうして猫は白猫を好きになったのだろう」「どうして猫は何回も生き返ったのだろう」そんな疑問や思いを感じながら読むことで、物事を深く考える力も身に付くでしょう。

 また、文字も多く、長い絵本になっているので、話を理解しようとする中で集中力も自然と身に付きます。

目的・ねらい2  

読んだ後が最も大切な絵本!

 目的1で書いたように読みながら感じた事と向き合い、自分なりの答えを導き出すことが「100万回生きたねこ」においては重要です。

 「どうして猫は生き返らなくなってしまったのだろう」といった問いは正解がありません。読み手の経験や価値観によって猫が生き返らなくなった答えは違ってきます。その正解のない問いに自分なりの考えを持つ経験が非常に大切です。

 どんな感想でもいいのです。自分の思いに向き合う過程がこれからの人生に必ず活きてきます。

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チェックポイント

現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。

年齢5歳児、5歳児以上もおすすめ
季節一年中
行事関係なく読めます

対象年齢

5歳児がおすすめです。

 乳幼児期という期間に絞った際には最も年齢の高い5歳児がおすすめとなりますが、内容としては大人でも楽しめるものとなっています。

 ただ、5歳児でも十分に自分の思いと向き合い、考えを持つことができるので、読む価値はあります。

時期・季節・行事

物事に対して自分の思いを持てるようになった頃がいいでしょう。

 身の回りの事に対して自分の思いや考えを持つことは言語能力や論理的に考える力が十分に身についていないと難しい事です。

 例えば、身の回りで起こったことに対して「~についてどう思う?」などと質問をして、自分の思いを理由を説明できるようになったら、自分の思いを持てるようになっていると考えてもいいでしょう。

 季節に関する描写や行事に関連する内容ではないので、子どもの心の育ちに合わせて一年中楽しむことができます。

読み聞かせのポイント

「100万回生きたねこ」を読み聞かせをする中で意識しているポイントです。読み方を少し意識するだけで内容がぐっと伝わりやすくなります。読み聞かせをする中で自分なりのポイントも探してみるのも面白いですよ。

  1. 場面によって読み方を変えましょう
  2. 読んだ後に読み手の感想を伝えないようにしましょう

ポイント1  

淡々と穏やかに悲しく…場面によって読み方を変えましょう。

 「100万回生きたねこ」は大きく分けて3つのパートに分かれています。

 1,猫のこれまでの生涯を描いた部分

2,白い猫と出会う部分

 3,猫が死んでしまう部分

 猫の生涯を描いた部分は会話が殆どない回想のようなシーンになるので、淡々と説明するように。白い猫と出会うシーンは、これまで愛を知らなかった猫が愛を知り、穏やかな心になる様子を演出するために穏やかに。

 最後の白猫と猫が死んでしまう部分は、猫の気持ちを表現するように感情を込めて悲しく読みましょう。

 悲しくも温かい作品で、その雰囲気を十分に聞き手が感じられるように変に声色などは変えず、穏やかな雰囲気のもと読むことをお勧めします。

ポイント2

一人ひとりの思いを尊重しましょう。

 「100万回生きたねこ」はとても深い作品なので、大人からするとたくさん考察できてしまい読んだ後に「どうして猫は生き返らなくなったんだと思う?」なんて聞いてしまうこともあるかと思います。

 しかし、そのような事は聞かずに各々の感じたままを大切にしてください。人によって「猫が可哀想だった」「猫が生き返ってすごかった」「白猫と仲良くなって良かった」などの様々な感想が出てきます。

 何を感じたかではなくて、「100万回生きたねこ」を読んで自分の思いに向き合って1つの感想を持つこと自体が大切なのです。決して大人のエゴで「愛が何なのかを伝えたいから、そう思えるような質問をしよう」などとは考えないでください。

 読んだ後は「どうだった」などと聞かずにそのままでいいのです。

まとめ・Ryuの感想

悲しくもあり、嬉しくもある。愛が何のかを考えさせられる絵本。

 非常に深くて、子どもだけでなく、大人にも読んで欲しい絵本です。子どもと大人、また個人個人でも読んだ後の感想が大きく変わる作品なのかなと思います。

 個人的には「愛は人を弱くするけど、美しく、何にも代えがたいもの」というのが本作を読んだ感想です。

 愛を知らない猫は一切泣かずある意味強かった。しかし、白猫に出会い他を愛する素晴らしさを知ったが、同時にそのものをなくしてしまう怖さや悲しさも知った。あくまで大人の目線で考えるとこのような考えが思い浮かびます。

 子どもからすると愛だの何だのということは難しいのですが、猫の変化に気付いたり、猫が何故悲しんでいるのかを考えることが出来たら、それで十分です。

 私は3歳から5歳児の子に「100万回生きたねこ」を読んだことがあるのですが、やはり5歳児に一番響いているように感じました。

 5歳児になると、読んだ後に子どもたちがなんとも言えない、考え事をしているような雰囲気になります。その時間に自分の思いと向き合って、様々な事を考えているのだと、その様子を見ながら感じました。

 人生で一回は必ず読んで欲しい絵本です。

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