【2,3歳児おすすめ絵本】せんろはつづく【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】
「せんろはつづく」は私が”アイデアを出す事や発想する楽しさを感じて欲しい””言葉のリズムの楽しさを感じながら展開も楽しんで欲しい”というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。
- アイデアを思い浮かべる楽しさを知る
- 言葉の楽しさを感じる
作品紹介
作 | 竹下 文子 |
絵 | 鈴木 まもる |
出版社 | 金の星社 |
発行日 | 2003 | /10
値段 | ¥1320 |
大きさ・ページ数 | 23.6×24.5cm | /32P
「せんろはつづく」はこんな絵本!
「せんろはつづく」ってどんな内容の絵本?
そんな疑問にお答えするために「せんろはつづく」を簡単にまとめてみました。
- ロングセラーの「せんろはつづく」シリーズの第一弾
- 子どもがアイデアを言いたくなる語り掛けるような文が魅力的
- 言葉のリズムが感じられる心地良い文構成
まるわかりQ&A
あらすじ・ストーリー・内容
子どもたちの線路づくり。色んな困難もアイデアで乗り越えます。
子どもたちが鉄の棒や木の板を持って何かを作っています。そう、線路です。
線路と線路を繋げてどんどん長くしていきます。もっともっと繋いでどんどんどんどん長くします。線路は続く、野原の真ん中も線路は続いていきます。
しかし、途中で大きな山がありました。どうする?穴を掘ってトンネルだ!トンネルを無事抜けると今度は川があります。どうすればいいでしょう。今度は橋を作って渡らせます。
お次は道、大きな池…様々な障害を乗り越えてどんどん長くなっていきます。線路と線路が繋がったので、皆で駅も作ります。
駅を作ると列車も到着!皆を乗せて列車が走ります。線路は続く、どんどん続く。
ワクワクしながらアイデアを思い浮かべるのが楽しくなる一冊です。
こんな方におすすめ
以下の項目に当てはまる方に「せんろはつづく」はぴったりの絵本です!購入を検討してみましょう。
- 発想が豊かになる絵本を探している
- 一定のリズムや文で言葉の楽しさが感じられる絵本を探している
絵本比較!あなたに合った絵本を探そう!
「せんろはつづく」は探している絵本とは違った…。そんなあなたにはこちらをおすすめ!
ぐりとぐらのアイデアが面白い「ぐりとぐらのおおそうじ」
掃除がテーマのぐりとぐらシリーズ。汚くなってしまった部屋をどう掃除するのか…二匹の発想がとても面白く、掃除や片付けが楽しく感じられるきっかけになり得ます。言葉の響きも楽しむことができる作品です。
しっかりとしたストーリーの中で発想を楽しみたい時におすすめの一冊。
笑いながら言葉の変化が楽しめる「へんしんトンネル」
へんしんシリーズの一作目。「かっぱかっぱ…」と言いながらトンネルに入ると出るときには「かっぱかっぱ…」と馬になっていたり、言葉を繰り返す事で変化する事に着目した言葉遊びの絵本です。
言葉のリズムや面白さを更に伝えたい時におすすめの一冊。
目的・ねらい
絵本はそれぞれ作者の願いや思いが込められています。その思いを汲み取り、絵本を読むときに目的やねらいを持つ事をおすすめします。以下の「目的・ねらい」はRyuが読み聞かせをするときに大切にしている事です。参考にしてみてください。
- アイデアを出す事や発想する楽しさを感じ、自分の思いついた事を伝える
- 言葉のリズムを感じ、楽しむ中で一緒に言葉を言おうとする
目的・ねらい1
自分の考えを言いたくなる文の構成が魅力的!
「せんろはつづく」は聞き手に質問をするような文の構成が特徴的です。線路を作る道中に山や川などがあり、その解決策を「どうする?」と聞き手に質問をする文が多く登場します。
ただでさえ線路をどんどん繋げていく展開が楽しいのに自分の考えを思い浮かべる余地もあるとなると、その楽しさは計り知れません。聞き手は自分だったらどうするかを考えて、自分なりのアイデアをどんどん思い浮かべます。
正解でなくても良いので、自由な発想をする中でアイデアを思い浮かべる楽しさやそれを伝える喜びなどを感じながら作品を楽しむ事ができる工夫がされています。
目的・ねらい2
線路を繋げているようなリズミカルな言葉が楽しめます。
「せんろはつづく」の大きな魅力の1つは言葉の楽しさが感じられること。同じ展開が繰り返される中で言葉も殆ど同じものが使われていて、言葉の繰り返しを楽しむ事ができます。
また、「せんろは つづく どんどん つづく のはらの まんなか せんろは つづく」といったような言葉もあり、どこかリズムが感じられ、言葉のリズムからも線路を繋げているような情景が思い浮かびます。
聞き手はただ聞いているだけでなく、同じ言葉の繰り返しやリズムの良い言葉を聞く中で読み手と一緒に声を揃えて言いたくなるような気持ちになるでしょう。
チェックポイント
現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。
年齢 | 乳幼児期、特に2歳児 |
季節 | 一年中 |
行事 | 関係なく楽しめる |
対象年齢
2歳児前後がおすすめです。
温かい雰囲気の中でどんどん続いていく線路、心地の良い言葉のリズム、絵本に参加しているような気分になれる楽しさ…「せんろはつづく」には、どんな年齢でも楽しむ事ができる様子がたくさん詰まっています。
しかし、文の量や内容などを考えると2歳児頃に読むことでアイデアを考えるのが1番楽しめるでしょう。1歳児でも最後まで集中して楽しめるので、幅広い年齢に愛される作品です。
時期・季節・行事
話す事や歌などを楽しむ姿が見られるようになった頃がおすすめです。
2歳児頃にもなると友だちや身近な大人との言葉のやり取りもできるようになってきます。また、日頃耳にする歌などに親しみを持ち、唄う姿も見られるようになってくるので、それに合わせて読むことで言葉の魅力に気付くきっかけになり得ます。
心地の良い言葉のリズムがある事を「せんろはつづく」を通して知る事ができるでしょう。
季節や行事との関連性はなく、一年中楽しむ事が出来る作品です。
読み聞かせのポイント
「せんろはつづく」を読み聞かせをする中で意識しているポイントです。読み方を少し意識するだけで内容がぐっと伝わりやすくなります。読み聞かせをする中で自分なりのポイントも探してみるのも面白いですよ。
- 聞き手の顔を見て実際に質問をするように読みましょう
- 言葉のリズムが感じられるように意識しましょう
ポイント1
読み聞かせるよりも“一緒に楽しむ”を意識する。
「せんろはつづく」の中で繰り返し使われる、線路を繋げる道中で何かしらの障害にぶつかる時の「どうする?」という言葉。聞き手に意見を求めるような文が書かれている絵本は少なく、非常に印象に残る言葉です。
この魅力的な言葉を最大限に活かすために「どうする?」と聞き手に本当に質問をするように聞く事で、聞き手の絵本に参加しているという気持ちをぐっと高める事ができます。
言葉だけでなく、目を見たり、表情を作る、首を傾げるなど仕草なども意識することをおすすめします。
ポイント2
心地良い言葉のリズムを事前に見つける!
「せんろがつづく」では、言葉のリズムが感じられたり、聞いていて心地よい言葉が登場します。その時にただ単に書いてある言葉を読むのではなく、リズムを意識して読む事で聞き手が言葉の楽しさを感じながら絵本を楽しむ事ができるようになります。
しかし、初見だと言葉のリズムがうまく掴めない可能性があるので、読み聞かせをする前に事前にどんな言葉が書かれているのか、どんなリズムで読んだら楽しいかなどを考えてから読み聞かせをする事を強くおすすめします。
まとめ・Ryuの感想
温かい雰囲気で楽しみながらも参加型のように盛り上がることができる名作。
温かさが感じられる絵のタッチやゆったりとした展開で心地良い雰囲気の中で楽しむ事ができます。しかし、一方で聞き手のアイデアを促すような言葉もあることでメリハリが生まれ、聞き手の心を最後まで離しません。
文もリズムが心地良い言葉が選ばれていて、言葉からも線路をゆったりと楽しく繋げている情景が浮かびます。言葉と絵がよく合っているからこそ聞き手を作品の一員として取り込めるような世界観を生み出せている作品です。
実際に読み聞かせをすると1、2歳児などの乳児期は「がたんごとん」と言った言葉を言いながら楽しみ、3歳児以降の幼児期はアイデアを思い浮かべる場面で積極的に自分の考えを発表する事を楽しむ姿が見られます。 年齢によっても違った楽しみがあり、それぞれの好みや個性に合った楽しみを提供してくれます。
大きな展開やドキドキするような場面はありませんが、最後まで聞き手の心を離すことなく、子どもと大人で気持ちを共有できるような優しい雰囲気で楽しむ事ができる一冊です。
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