【4,5歳おすすめ】ぎょうれつのできるパンやさん【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】
「ぎょうれつのできるパンやさん」は私が”目の前の人を笑顔にする良さを感じて欲しい””優しくするとそれらは返ってくる事を感じて欲しい”というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。
- 目の前の人を笑顔にする良さが分かる
- 自分の行った事は返ってくることを感じる
作品紹介
「ぎょうれつのできるパンやさん」はこんな絵本!
「ぎょうれつのできるパンやさん」ってどんな内容の絵本?
そんな疑問にお答えするために「ぎょうれつのできるパンやさん」を簡単にまとめてみました。
- 起承転結がしっかりとした楽しいストーリーで、優しく・温かい絵本
- 目の前の人や生き物、モノを大切にする良さが感じられる
- 優しさはいつか自分に返ってくる事が感じられる
まるわかりQ&A
あらすじ・ストーリー・内容
山奥のパン屋さんに起こった温かい物語。
ぐうぐう山に「ふっくらパンやさん」が開店しました。店長のふっくらおじさんは美味しいパンを皆に早く食べてもらいたいとワクワクしています。
しかし、お客さんは一人もやってきません。それもそのはず、山の奥にぽつんと建っているのですから。おじさんが悩んでいると「くんくんくんいいにおい」と誰かがやってきました。
外を見たおじさんはびっくり!なんと熊やリス、狸、もぐらなどお腹を空かせた動物たちがいっぱい集まってきていたのです!
おじさんのパンを食べた動物たちはそのお礼にと山の木の実をくれました。おじさんは早速もらったものでクマさんのメロンパンやキツネさんのとちのみパンなど新しいパンを作っていきました。
そんな噂を聞いた森中の動物たちがパン屋さんに駆け寄り、食べてはお礼のものを渡し、おじさんが新しいパンを作る…という繰り返しでパン屋さんは動物たちで大賑わい。
しかし、肝心のお金や小麦粉がなくなりそうになり、おじさんは店じまいを考えていました。ところが森の動物たちの噂は村のペットまで届くようになり、ついには村のペットまで山奥のパン屋さんに行くようになります。
その様子を見た飼い主はペットを連れ戻すため後を追いかけると、そこには「ふっくらパンやさん」があり、あっという間に村でも評判のパン屋になり、行列ができるようになりました。
美味しそうなパンも一緒に味わえる一冊です。
こんな方におすすめ
以下の項目に当てはまる方に「ぎょうれつのできるパンやさん」はぴったりの絵本です!購入を検討してみましょう。
- ストーリーを楽しむ中で人に優しくする良さを感じられる絵本を探している
- 子どもと大人で食べる真似をしながら気持ちを共有できる絵本を探している
絵本比較!あなたに合った絵本を探そう!
「ぎょうれつのできるパンやさん」は探している絵本とは違った…。そんなあなたにはこちらをおすすめ!
善悪の判断、知識の使い方が感じられる「パンどろぼう」
パンが大好きなパン泥棒があるパン屋さんとの出会いをきっかけに改心し、パン職人になるストーリー。ストーリーがとても面白いだけでなく、教訓あり、笑いあり、感動ありの中身がぎゅっと詰まった作品です。
子どもと共感しながら楽しめる一冊です。
親切にするすることで幸運が訪れる事が分かる「金のガチョウ」
森にいたお爺さんにお弁当を分け与えたお礼として幸せをもたらす金のガチョウをもらい、お爺さんに助けられながら幸せになるストーリー。
教訓が詰まっていながらも堅苦しくないグリム童話を基にした一冊です。
目的・ねらい
絵本はそれぞれ作者の願いや思いが込められています。その思いを汲み取り、絵本を読むときに目的やねらいを持つ事をおすすめします。以下の「目的・ねらい」はRyuが読み聞かせをするときに大切にしている事です。参考にしてみてください。
- 身の回りの人の事を考え、人が喜ぶことをしようとする
- 優しさは自分に返ってくる事を感じる
目的・ねらい1
自分の言動で人を笑顔に出来る事が感じられます。
ふっくらおじさんは純粋に美味しいパンを皆に食べさせたいと思ってパン屋さんを開き、動物たちにもパンを作っています。
動物たちにパンを作ってもお金にはなりませんが、動物たちが喜んだり、笑顔になったりする姿を見る事に喜びを感じているようにすら感じ取れます。
そんなおじさんの様子を見ていると周りの人・生き物を笑顔にする喜びに気付くきっかけにもなります。
その喜びを概念として理解するのは難しい事ですが、感覚としては4,5歳児でも十分に感じる事ができるでしょう。
目的・ねらい2
人にした事は自分に返ってくる。良い意味での因果応報が感じられます。
美味しいパンを味わってもらいたいというふっくらおじさんの言わば無償の優しさを受け取った動物たちは、何もお返しをしないという選択肢もありましたが、みんな何かしらのお返しをふっくらおじさんに渡しています。
そして、そのお返しで更に美味しいパンを作るふっくらおじさん。優しさがどんどん紡がれていくのがとても心地良く感じられます。
最後はその優しさが噂を呼び、町の人にも伝わり行列のできるパン屋さんに。
”返報性の法則”や”情け人の為ならず”といった言葉の意味がストーリーを通して心まで染み渡ります。
チェックポイント
現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。
年齢 | 幼児期、特に4歳児 |
季節 | 一年中 |
行事 | 劇、発表会など |
対象年齢
幼児期後半がおすすめです。
文字数やページ数、内容を考慮すると幼児期がいいでしょう。
他者の為を思って行動するのはとても難しく、心の十分な発達が求められます。なので、自分の心が十分に成長し、他者の事も考えられるようになる4歳児頃をおすすめします。
時期・季節・行事
友だちとごっこ遊びなどを十分に楽しめるようになってきた頃がいいでしょう。
友だちと世界観を共有し、ごっこ遊びができるようになると自然と友だちとの関わりも多く、また密接になっていきます。
ごっこ遊びの中でお互いの意見が食い違う事もあります。そうした時に「ぎょうれつのできるぱんやさん」の相手を思いやるという内容が心により響きやすくなります。
季節感は特になく、行事とも関連性はありません。しかし、おじさん役、動物役、村人役などで劇にしやすく、特徴的なパンも子どもたちの手作りにすると温かみのある劇にすることができるので、発表会などで演じても面白いです。
読み聞かせのポイント
「ぎょうれつのできるパンやさん」を読み聞かせをする中で意識しているポイントです。読み方を少し意識するだけで内容がぐっと伝わりやすくなります。読み聞かせをする中で自分なりのポイントも探してみるのも面白いですよ。
- 声色を変えたり、感情を込め、ストーリー性を持たせましょう
- 聞き手の様子をよく見ながら読みましょう
ポイント1
登場するキャラクターの感情が分かりやすいように!
ふっくらおじさんだけでなく、動物たちも数多く登場しますし、喜びや悲しみなどの感情なども表現されています。そんなストーリー性が楽しい作品も声色を変えず、感情を声で表現しないとどこか淡々と聞こえてしまう恐れがあります。
声色を変えたり、感情を込めることで聞き手をストーリーにぐっと引き込めるようになります。
大げさにする必要はありませんが、読み方を少し意識するだけで聞き手の集中度合いが大きく左右されるので、是非意識して読んでみましょう。
ポイント2
聞き手とのやり取りも必要に応じて挟むと最高です。
ストーリー性があるので幼児期の子であれば自然と集中して楽しむ事ができますが、中にはパンに視線を向けたり、動物に注目する子もいます。
なので子どもの様子を見て、もしパンや動物に興味がありそうなら途中で「パン美味しそう」「牛さんも来たね」などの言葉を挟むと、「自分の気持ちを分かってくれた」と子どもは感じる事ができるでしょう。
あまり長く話を逸らすと折角の素敵な物語から脱線してしまう可能性もあるので、適当な所で区切りをつけてまたストーリーを読むようにすることをおすすめします。
まとめ・Ryuの感想
温かい雰囲気で楽しめる優しいストーリーです。
起承転結がしっかりとあるストーリーが素敵で物語としても十分に楽しむ事ができますし、そこに教訓とまではいかないものの人と関わる上で大切になることのヒントが秘められている作品です。
子どもも「ぎょうれつのできるパンやさん」の温かい雰囲気を感じとる事ができるようで、聞いている時は微笑んでいるような顔になっています。また、読んだ後もどこか気持ちが落ち着いており、気持ちをリセットするような効果も秘められているように感じます。
また、美味しそうなパンに対しての反応も多く「なにこれ!」「美味しそう!」と言った反応がよく返ってくるので、読み手も読んでいて楽しい作品となっています。
思いやる気持ちや優しさは返ってくることを伝えたいときに是非読んでほしい一冊です。
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