【3,4歳おすすめ絵本】金のガチョウ【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】
「金のガチョウ」は私が”他者への思いやりを伝えたい”というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。
作品紹介
原作 | グリム童話 |
絵 | バーナデット・ワッツ |
訳 | 福本 友美子 |
出版社 | BL出版 |
発行日 | 2008/10 |
値段 | ¥1650 |
大きさ/ページ数 | 22×27cm/30p |
「金のガチョウ」はこんな絵本!
「金のガチョウ」ってどんな内容の絵本?
そんな疑問にお答えするために「金のガチョウ」を簡単にまとめてみました。
- グリム童話の1つで、教訓が詰まっている
- 人に親切にする事の大切さが分かる
- クスっと笑える場面もあり、堅苦しくない
まるわかりQ&A
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あらすじ・ストーリー・内容
THE昔話!でも、クスっと笑えるお話しです。
三人の木こりの兄弟がいました。三人はそれぞれ森の中でお爺さんに出会い、お爺さんはお弁当を分けてくれないかとお願いをします。
お弁当を分けたのは末っ子だけ。そんな優しい末っ子にお爺さんは幸運が訪れるようにと金のガチョウをプレゼントします。
そんな金のガチョウを見た町の人達はガチョウの羽根を貰おうとガチョウに触りますが、なんと触ると手がくっついてしまいます!そして、触った人を触った人もまたくっついていきます。
そんな様子を見た一度も笑った事のないお姫様も思わず笑い、王様も大変気に入りましたが、末っ子がみすぼらしい姿だったので気に入りません。
王様は色々と末っ子に課題を貸しますが、末っ子はおじいさんに助けてもらいながら最後は無事にお姫様と結婚する事ができました。
楽しくも教訓が沢山詰まったグリム童話です。
こんな方におすすめ
- 人に優しくする事の大切さが感じられる絵本を探している
- 固すぎず笑えるような昔話・グリム童話を探している
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「金のガチョウ」は、探している絵本とは違うかも…。そんなあなたにはこちらをおすすめ!
友だちへの優しさが大切だと感じられる絵本「そらいろのたね」
もらったものを大切にし、友だちと分け合う主人公のゆうじは、動物たちに囲まれて幸せそう。ですが、独り占めしたり、わがままを言うキツネは結局最後には全てを失うストーリー。
シンプルな絵で読みやすく、教訓が感じられる一冊です。
遠足気分を楽しみながら優しさに触れられる「えんそくバス」
遅刻してしまう園長先生に子どもたちが少しずつお弁当を分け合う優しい描写が印象的。文字数も多くなく、面白い内容なので1,2歳児からでも楽しめます。
優しくする大切さを伝えつつも柔らかい雰囲気で、ワクワクしながら楽しめる一冊です。
目的・ねらい
- 人に親切する良さを感じ、優しくしようとする
- 人に頼って良い事を感じる
目的・ねらい1
優しくする事の良さがしっかりと描かれています。
お爺さんにお弁当をあげなかった長男・次男には悪い事が起き、お弁当をあげた末っ子には分かりやすく良いことが起こります。
大人が見るとどこかありきたり、親切にする事を強要しているように捉えてしまう可能性もありますが、子どもにとってはこの位分かりやすい方が響きます。
「人に優しく」「人に親切に」といったものは大人がよく子どもに伝える言葉の定番ですが、一方的に言われるよりも絵本などを通して子ども自身が「優しくする事って良い事なんだ」と感じる事で初めて心身に響き、行動に繋がります。
目的・ねらい2
辛い時、大変な時は頼っても大丈夫!
末っ子が王様に無理難題を突き付けられますが、末っ子はすぐにお爺さんい助けを求め、事態は好転し、最高の結末を迎えます。
大人であっても人に頼る事をどこか躊躇ってしまう事もありますが、子どもは親ではない人に頼って良い事を知らない場合もあるぐらいです。
「金のガチョウ」の末っ子の様子を見ると非常に分かりやすく”頼り方”も描写されているので、どのように頼っていいかを自然と理解する事ができ、子どもも「こうやって助けてもらっていいんだ」と感じる事ができるでしょう。
チェックポイント
現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。
年齢 | 3,4歳児、特に4歳児 |
季節 | 一年中 |
行事 | 発表会の劇など |
対象年齢
幼児期がおすすめです。
幼児期、特に人との関わりがより密接になってくる4歳児前後に読むことで、「金のガチョウ」の教訓である”人に優しくする大切さ””人に頼る良さ”が更に感じられるようになります。
ページ数や文字の量を考えても乳児期には難しいと言えます。
時期・季節・行事
友だち、人との関わりが深まってきた時期が良いでしょう。
「金のガチョウ」は、人との関わりに関する教訓やメッセージが多い絵本です。なので、人間関係が深まってきた頃に読むことで絵本から感じた事を実際の関わりの中でも感じる事ができるでしょう。
「人に優しくする」「人に頼る」はどちらも人との関わりが浅いと難しいものです。なので、ごっこ遊びができるようになった頃などに読む事をおすすめします。
季節に関する描写はないので、いつ読んでも楽しむ事ができます。行事としては、子どもが興味を持てば発表会の劇などで演じても楽しいでしょう。
読み聞かせのポイント
- キャラクターで声色を分けて演じましょう
- 押しつけがましくならないように配慮しましょう
ポイント1
最後まで集中できるように工夫が必要です。
いわゆる昔話に分類される話なので、ストーリーとしては長めです。また、ナレーション部分、会話部分なども比較的多く読み聞かせの時間も5分を超えるぐらいあるので、最後まで集中できない可能性もあります。
聞き手が最後まで飽きないような工夫が必要になるので、声色を明確に分けてストーリーの展開を分かりやすくするといったことをしてみましょう。
また、子どもが笑うであろう「おじいさん」という言葉やガチョウに皆がくっついてしまう部分をコミカルに読むことで、意識を引き付けることも可能です。
ポイント2
教訓は押し付けるものではなく感じるものです。
「金のガチョウ」には、”人に優しくすると良いことがある””辛い時には人に助けを求める””後先の事を考えすぎずまずはやってみる”といった様々な教訓が詰まっています。
大人が言葉で言う分には簡単ですが、子どもがこれらの教訓を理解するのはやはり心から感じた時であって、自分自身で感じる事でこの教訓が行動として現れるでしょう。
読み終えた後に「人に優しくした方が良いね」などの言葉は言わず、子ども自身が感じた事を大切にしましょう。
まとめ・Ryuの感想
堅苦しくない先人の知恵が詰まった一冊!
グリム童話・昔話と聞くと何だか堅苦しい絵本をイメージしてしまいますが、思っている以上に読みやすく、子どもにも親しみやすい内容になっています。
確かに今どきの絵本と比較するとキラキラしたような印象はありませんが、その分子どもたちに伝えたい人生で大切なメッセージが詰まっています。
実際に読み聞かせをすると、お爺さんがみんな大好き!お爺さんが出る度に笑っています。また、ガチョウにくっついてしまう場面でも「なにこれ!」と言ってクスクス笑う姿も見られ、昔話ながらも笑いを交えながら楽しく聞いている姿が印象的です。
現代にも通ずる人との関わりや生き方についてのメッセージ性がしっかりあり、読む価値のある絵本です。
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