【4,5歳児おすすめ絵本】おむすびころりん【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】
「おむすびころりん」は私が”人の嫌な事はしないと伝えたい””言葉のリズムを楽しんで欲しい”というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。
作品紹介
「おむすびころりん」はこんな絵本!
「おむすびころりん」ってどんな内容の絵本?
そんな疑問にお答えするために「おむすびころりん」を簡単にまとめてみました。
- 日本昔話の1つで様々な教訓が詰まった絵本
- 因果応報が子どもにも分かりやすく描かれている
- 時折入る歌が面白く、言葉のリズムも楽しめる
まるわかりQ&A
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あらすじ・ストーリー・内容
因果応報が楽しくも的確に描かれている絵本です。
昔、お爺さんが山で薪を拾った後おにぎりを食べる事に。しかし、手が滑ってしまいおにぎりはころころころころ転がって穴に入ってしまいました。
すると穴の中から「おむすびころりんすっとんとん もひとつたべたいすっとんとん♪」という声が聞こえてきます。
お爺さんは楽しくなって何個もおにぎりを落とし、しまいにはお爺さんが穴の中へ!すると中には沢山のねずみたちがいて、お爺さんを歓迎し、お別れの時には大判小判がいっぱい入ったつづらも渡してくれました。
それを聞いていた隣の爺さんも次の日山へ出かけていきました。そして優しいお爺さんと同じようにおにぎりを穴に落として、ねずみたちに歓迎されます。
ねずみたちが「ひゃくになっても にひゃくになっても にゃんこのこえは ききたくなーい よーい よい」と唄っているのを聞いた爺さんはお宝を全部取るために「にゃーん」と猫の鳴きまねをしてしまいます!
するとねずみたちは逃げていき辺りは真っ暗に。最後は土の中でモグラになってしまいましたとさ。
教訓がありながらもストーリーの展開が面白く最後まで飽きないお話しです。
こんな方におすすめ
- 因果応報が感じられる絵本を探している
- 物語の展開を楽しみながら教訓を学べる絵本を探している
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因果応報が感じられるもう1つの日本昔話「かちかちやま」
お婆さんを騙したり、叩くなどの行為をしていた狸がお婆さんを慕っていたうさぎに仕返しをされるお話し。「おむすびころりん」よりもシリアスな展開が魅力的です。
他者への関わり方を考えさせられる一冊です。
言葉の魅力が沢山詰まった「これはのみのぴこ」
「これはのみのぴこ」から始まり、そこから同じ言葉の繰り返しと共に話が展開していきます。まるで早口言葉のような文が聞いていて面白く、言葉の面白さが感じられます。
言葉のリズム、魅力がこれでもかと思う程詰まった一冊です。
目的・ねらい
- 相手にした事は自分に返ってくる事を感じる
- 言葉のリズムや歌の楽しさに気付き、言ってみる
目的・ねらい1
相手の嫌がる事をしたらどうなるのか想像させられます。
優しいお爺さんと意地悪なお爺さん、どうして一方は良い良いことが起こり、もう一方はモグラになってしまったのか。
そんな二人を比べた時に「意地悪な爺さんはネズミの嫌いな猫の声を出したから」と気付くことが出来るはずです。自分が行った事が返ってくる。この普遍的な事実を子どもも感じる事ができるでしょう。
また、お宝を全て取ろうとした結果モグラになってしまったので、”欲を出しすぎるのはいけない”という事も感じられます。
目的・ねらい2
子どもも一緒に唄ってしまう楽しい歌が印象的!
昔話はどこか淡々としていて怖いイメージもありますが、「おむすびころりん」は話の中で多くの歌が出てくるので、そんなイメージも払拭でき、ついつい唄ってしまいたくなる作品です。
殆ど同じ歌が登場する事もあり、子どもも覚えやすく、読み聞かせの中で歌を覚えて一緒に唄ったり、言葉を言ってみる事も楽しめます。
落ち着いた雰囲気のある話が展開する中での明るい歌なので、言葉のリズムや歌の楽しさもより一層感じられるようになっています。
チェックポイント
現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。
年齢 | 4,5歳児、特に5歳児 |
季節 | 一年中 |
行事 | 発表会、劇なども可 |
対象年齢
メッセージ性が理解できる幼児期が後期がおすすめです。
物語を楽しむという目的やねらいなら3歳児でも十分ですが、“因果応報”を感じる事をねらいとするなら、物事の理解が深まっている4・5歳児がいいでしょう。
特に「自分が行ったことは返ってくる」という意味が理解できる5歳児が最も適している年齢と言えます。
ストーリーも魅力的で昔話の中では聞きやすい内容なので、ねらいや子どもの状況に合わせて読む年齢を変えるのもいいでしょう。
時期・季節・行事
物事の因果関係が分かるようになった頃が良いでしょう。
「意地悪な爺さんが嫌な事をしたから、もぐらになった」という事が理屈としてぼんやり理解できるようになると、「おむすびころりん」のテーマの1つである”因果関係”もより理解できるようになります。
季節に関する描写はないので、一年中楽しむ事が出来ます。
行事に関しては、物語の展開も面白いですし、登場人物も多くいるので、劇にしやすく発表会などのテーマにするのも良いでしょう。
読み聞かせのポイント
- 歌のパートは明るく歌いましょう
- 教訓を押し付けないようにしましょう
ポイント1
歌の楽しさが伝わるように工夫しましょう。
「おむすびころりん」の特徴でもある歌の部分は、聞き手が「歌って楽しそう」と感じられるように明るく歌うように心がけましょう。
ねずみが歌っているイメージで声を高めに出したり、笑顔で歌うなどして表情にも気をつけることが出来ると歌の楽しさがより伝わるようになります。
恥ずかしがらずに歌うことで、聞き手も自然と同じ歌を口ずさむようになります。
ポイント2
教訓を教える必要は全くありません。
読み聞かせの最中や終わった後に「相手の嫌な事をすると嫌なことが起こるね」といった事を伝えるのはやめましょう。
聞き手の感じることは様々で全く違う事を感じている子もいることが予想されます。無理に教訓を押し付けるようにしてしまうと、その子の思いを否定する事になりかねません。
教訓を伝えたい気持ちも分かりますが、読み手は何も言わずに子どもがそれぞれ感じた事を大切にしましょう。
まとめ・Ryuの感想
普遍の真理が子どもにも伝わるように描かれています。
“相手にした事は自分にも返ってくる“ということはこの世の一種の真理ですよね。
子どもに向けて真理や因果応報と言っても伝わりませんが、「おむすびころりん」を見ることでそれとなく「自分のした事は自分に返ってくる」「バチが当たる」という事は感じる事ができます。
実際に読み聞かせをすると「意地悪なことしたからもぐらになっちゃった!」と、なぜモグラになったのかを理解しているような反応がよく返ってきます。
また、度々登場するねずみの歌が良いアクセントになり、最後まで飽きずに子どもも聴くことができますし、リズムに合わせて子どもも歌っていることもよくあります。
昔話と聞くとどこか堅苦しいイメージがありますが、そんなイメージを払拭するほど、楽しい内容になっています。
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