【3歳,4歳おすすめ絵本】かちかちやま【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】
Ryu『かちかちやま』は、悪さをした狸にうさぎが仕返しをする、誰もが知る日本昔話を、いもとようこさんの優しい絵で描いた絵本です。対象年齢は3歳ごろから。悪いことをしたら何かしらの形で自分に返ってくることを感じてほしい相手の気持ちを考える力、共感力が豊かになってほしいという願いを持って読むことが多い一冊です。
| 対象年齢 | 3歳〜 |
| 季節 | 一年中 |
| 行事 | 劇、発表会など |
| 主なねらい | 悪いことをしたら自分にも返ってくることを感じる/登場人物に共感して相手の気持ちを想像する |
| ひとことで言うと | やったことは返ってくる、因果応報が分かる日本昔話の絵本 |
『かちかちやま』はどんな絵本?あらすじ


いもとようこさんが文と絵を手がける、「日本むかしばなし」シリーズの一冊です。金の星社から刊行されています。教養としても知っておきたい、有名な日本昔話の1つです。
あらすじ
おじいさんとおばあさんの畑を荒らす、悪い狸がいました。おじいさんに捕まった狸は、おばあさんを言葉巧みにだまして逃げ出すだけでなく、おばあさんに怪我まで負わせてしまいます。
通りかかった兎は、そんな話を聞いて怒り、狸に仕返しをすることにしました。火傷を負わせたり、傷口に唐辛子入りの味噌を塗り込んだり、船を沈めて頭をぶったりと、兎の仕返しは続いていきます。
おばあさんと同じ痛みを味わった狸は、それ以降、悪いことをしなくなりました。泥棒をしたり、おばあさんをだましたりする悪い狸への、うさぎによる仕返しが、柔らかい絵で描かれています。昔話の定番である「人生の教訓」を、物語を通して知ることができる一冊です。
書誌情報
| 作 | いもとようこさん |
| 絵 | いもとようこさん |
| 出版社 | 金の星社 |
| 発行日 | 2010年5月 |
| 値段 | ¥1,540(税込) |
| ページ数 | 32P |
保育士から見た『かちかちやま』の使いどころ


やったことは返ってくることを、物語を通して感じられる一冊です。
なぜこの年齢に響くか
登場人物の気持ちを考えることは、実はかなり高度なことです。自己と他者の違いがある程度理解できるようになる3歳頃から、おじいさん・おばあさん・狸・うさぎの気持ちを自分なりに想像しながら聞けるようになります。
教訓を読み取ることもとても難しいため、乳児には話の概要を理解するのは難しいでしょう。幼児期、特に4歳児は、「狸が悪いことをした」「だから仕返しされた」というつながりを、自分の言葉で話せるようになる時期です。
なぜ説教にならないか
「悪いことをしてはいけません」と語りかける場面はなく、狸の悪事と、うさぎの仕返しの結果がそのまま描かれます。教訓を言葉で押しつけないので、子どもは物語を通して自分で感じ取ることができます。
こうした昔話は、怖いタッチの絵で描かれていることが多いのですが、いもとようこさんが描く昔話シリーズは、絵のタッチがとても優しいのも魅力です。
向いていない場面
痛い場面や仕返しの場面が苦手な子どもが多いクラスや、就寝前の落ち着いた時間には不向きです。この絵本は、悪いことをした狸が痛い目にあう内容を含むので、気持ちに余裕があるときに読むのがおすすめです。


『かちかちやま』のねらい【指導案にそのまま使えます】


『かちかちやま』の主なねらいは、「悪いことをしたら自分にも返ってくることを感じること」と「登場人物に共感して、相手の気持ちを想像すること」の2つです。保育のねらいとして設定する場合の文例も、このあと掲載しています。
ねらい① 悪いことをしたら自分にも返ってくることを感じる
私たち大人も不変の真理として理解している「悪いことをしたら自分に返ってくる」ということを、ストレートに伝えている絵本です。子どもにも、それとなくその意味を理解してもらえるでしょう。
本当の意味で理解するのはとても難しいことなので、この年齢のときは「こんなことをしたら、こんなことが起こるんだ」くらいの感覚で十分です。
ねらい② 登場人物に共感して、相手の気持ちを想像する
登場するのは、おじいさん・おばあさん・狸・うさぎの4人のみ。それぞれの気持ちを考える余地が十分にあり、共感しやすい物語です。感じ方は人それぞれで、さまざまな考え方があります。
狸は確かに悪いことをしたけれど、それを仕返しするうさぎも悪いのかな。そんな思いを感じながら見ることで、他人への共感力も高まります。
指導案の文例(コピーしてお使いください)
- ねらい:昔話『かちかちやま』を通して、自分のしたことが返ってくることを感じ、登場人物の気持ちを想像する。
- 内容:悪さをした狸と、おばあさんのために仕返しをするうさぎの物語を聞き、それぞれの気持ちを考えながら楽しむ。
- 予想される子どもの姿:狸に怒ったり、おばあさんに同情したりしながら聞く。「狸が悪いね」「狸がかわいそう」「うさぎは強い」などの感想が出る。
- 保育者の援助:登場人物ごとに声色を変えて読む。子どもの感想を否定せず、保育者の感想を伝えずに受け止める。
『かちかちやま』は何歳から?対象年齢と読むタイミング


3〜5歳頃がおすすめです。自己と他者の違いが理解できるようになる3歳頃から、登場人物の気持ちを考えながら楽しめます。
| 3歳児 | 悪い狸に怒ったり、おばあさんに同情したりしながら物語を楽しむ時期 |
| 4歳児(最も響く年齢) | 「悪いことをしたから返ってきた」という原因と結果のつながりを理解し始める時期 |
| 5歳児 | 仕返しは正しいのかなど、登場人物の気持ちを考えて話し合える時期 |
読むタイミング
物事の因果関係がある程度理解できるようになってからがおすすめです。因果というと難しく聞こえますが、例えば「走ったから怪我をした」というような原因と結果が理解できるようになったら、十分に楽しめます。
季節とは関係のないストーリーなので、一年中いつでも読めます。起承転結がはっきりした作品なので、人数が少ない場合は、劇や発表会などの行事に取り入れるのも面白いです。


『かちかちやま』読み聞かせのポイント2つ


①登場人物になりきって読む
気持ちを込めて読むと、それは聞き手にも伝わります。文の構成は登場人物4人の会話が多いので、今誰が話しているのかが分かるように声色を変えながら読むと、子どもの理解も深まります。
悲しみ・怒り・喜びなど、感情を表した言葉も頻繁に出てくるので、登場人物の心情を読み手が考えながら読むことで、1つの劇のように絵本の内容を伝えられます。
②読み手がどう感じたのかを伝えない
絵本を読んだあとに、読み手がどう思ったのかを伝えないようにしましょう。絵本を読んでどう感じるかは、子どもそれぞれ違います。親や保育者が感想を伝えてしまうと、子どもも大人の感想が正しいと感じてしまう可能性があります。
私も実際に読んだあとには、特にこの絵本では、「狸悪いね」「狸がかわいそう」「うさぎ強い」など、さまざまな感想が出てきました。子どもがどう思ったのかを邪魔しないようにしましょう。
『かちかちやま』と似ている絵本・次に読むなら


おむすびころりん
山でおむすびを穴に落とす場面から始まる日本昔話です。欲のないお爺さんはねずみたちに迎えられますが、意地悪な爺さんは最後にもぐらになってしまいます。「かちかちやま」と同じく、因果応報を感じられます。


どうぞのいす
うさぎが作った椅子から始まる、優しさあふれる物語です。後から来る動物のことを考えて、代わりのものを置いていく姿が繰り返され、相手の気持ちを考えるきっかけになります。
『かちかちやま』のよくある質問
まとめ:子どものリクエストが絶えない、不思議な力を持つ昔話


- 「かちかちやま」は悪い狸への仕返しを描く3歳からの因果応報の昔話絵本
- やったことが返ってくる感覚と、登場人物への共感力が育まれる
- 声色を変えて読み、読み手の感想は伝えずに子どもの思いを大切にするのがおすすめ



これまで読んだ昔話の中で、一番反応が良かった絵本です。理由は本当によく分からないのですが、子どもから「これ読んで!」とリクエストをもらうことが多いです。私は教訓を伝えたり共感力を育んだりすることを目的としていますが、子どもは子どもなりに、いろいろなことを考えて面白いと感じているのだと思います。昔話を知る機会が減っている今、教養としてもぜひ読んでほしい一冊です。
この記事を書いた人
Ryu(保育士)
保育士歴10年以上。現在はインターナショナルスクール形式の保育園を運営し、今も毎日子どもたちに読み聞かせを行っています。年齢ごとの発達に合わせた絵本選びと、保育のねらいに基づいた読み聞かせを得意としています。当ブログでは、実際に現場で読んだ絵本だけを紹介しています。









