【4,5歳児おすすめ絵本】スイミー ちいさなかしこいさかなのはなし【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】

「スイミー」は私が”他人と違う所は良い所になり得る””勇気を持つ事の大切さを伝える”というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。
作品紹介
「スイミー」はこんな絵本!
「スイミー」ってどんな内容の絵本?
そんな疑問にお答えするために「スイミー」を簡単にまとめてみました。
- アメリカで描かれ、国語の教科書にも載った名作
- 人と違う事を肯定的に捉える事が出来る
- 勇気を持つ事の大切さが感じられる
まるわかりQ&A
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あらすじ・ストーリー・内容


個性的な一匹の魚。個性を生かすも殺すも自分次第。
広い海のどこかに魚の兄弟が暮らしていた。皆は赤いけど一匹だけ黒く、泳ぐのが速い魚がいた。名前はスイミー。
ところがある日大きなマグロが兄弟たちを一匹残らず食べてしまった。残ったのはスイミーだけ。
スイミーは広い海を寂しくさまよったが虹色のクラゲやブルドーザーのような伊勢海老、大きな魚、昆布、ウナギ、イソギンチャクと出会い外の世界を知った。
ある時岩陰に隠れているスイミーの兄弟たちに似た赤い魚を見つけた。外の世界に誘うが、皆怖がって外に出ない。
スイミーはみんなで1匹の巨大な魚になる事を提案し、指揮を執った。そして唯一黒い魚であるスイミーは目になった。
そして小さな魚の群れは大きなマグロを追い出すことができた。
現代の価値観を巧みに描いている世界の名作絵本です。


こんな方におすすめ


- 個性や多様性の大切さが分かる絵本を探している
- 勇気を持って外に踏み出す大切さが感じられる絵本を探している
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「スイミー」は探している絵本とは違った…。そんなあなたにはこちらをおすすめ!


お互いの違いを認め合う良さが分かる「くれよんのくろくん」
赤は花、青は空、緑は草木…それぞれの色にしか出せない個性があります。でも黒は…?ある事がきっかけで煙たがられていた黒にしか出来ない事を見つけます。
みんな違ってみんな良い、そんな事が感じられる一冊です。


個性を活かす素晴らしさが描かれた「赤はなのトナカイ ルドルフ」
童謡「赤鼻のトナカイ」の世界観が素敵なストーリーを通して楽しむ事ができます。皆とは違う事で感じる苦悩や葛藤が子どもにも分かりやすく描かれています。
歌と合わせて読みたい一冊です。
目的・ねらい


- 他者と違う所に気付き、違っても良いと感じる
- 勇気を持って行動するカッコよさを感じる
目的・ねらい1
自分の良さを考えるきっかけになります。
幼児になると他者は自分と同じ出ない事に明確に気付きます。見た目や考えていること、得意なことなど、良くも悪くも自分と他人を比較できるようになるのです。
比較した結果を肯定的に捉える事が出来ればいいのですが、子どもも大人と同様にマイナス面に目が行ってしまうこともあります。
他者と違っている事を良くない事だと感じてしまう時に「スイミー」を読むことで、その違いを前向きに捉える事が出来るでしょう。
また、自分の良い所や何が出来そうなのかを考えるきっかけにもなり得ます。
目的・ねらい2
行動しなければ何も変わらない事を伝えてくれます。
大きなマグロから逃げている他の魚とは違いスイミーは考えて行動する事で現状を打破する事を提案し、実際にやってのけます。
勇気を持って行動する事で現状を変えられる事、行動する事で新しい世界が見える事などを大人が読むと感じられますが、子どもにとってはやや難しいテーマではあります。
ですが、子どもでもスイミーの起こした行動は”かっこいい”と感じる事ができます。今はそれで十分です。
時として”かっこいい”というシンプルな思いは、自分の変え得る強い原動力になるでしょう。
チェックポイント


現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。
年齢 | 4,5歳児、特に5歳児 |
季節 | 一年中、若しくは夏 |
行事 | 発表会や劇、遠足など |
対象年齢
4,5歳児がおすすめです。
他者との違いに気付く事は、まずは自分の存在をハッキリと認識していないと出来ません。
自身がどのような存在なのかを認識している事が予想される幼児期、特に他者の存在、特徴なども理解できるようになる4歳児以降、特に5歳児にピッタリです。
時期・季節・行事
他者と自身を比較できるようになった時期が良いでしょう。
自分の良さ、違う所に気付くことが出来るのは周りの人と比較できるからこそ。
友だちとの関わりが深くなり、様々な違いを発見したり、比べる事ができるようになった頃に読むことで、「スイミー」の内容がより伝わりやすくなります。
内容は季節と関係はありませんが、海の中をテーマにしているので海と関連づけて夏に読むのも良いでしょう。
発表会で劇などがある場合は取り入れやすいストーリーですし、様々な海の生き物が出てくるので遠足で水族館に行く場合はその前後に読むのもアリです。


読み聞かせのポイント


- 読む速さや声の高さを変えて、展開を分かりやすくしましょう
- 絵をゆっくり見せ、世界観を楽しめるようにしましょう
ポイント1
読み方を工夫してストーリーの面白さを引き出しましょう。
「スイミー」はそのメッセージ性もさることながらストーリーも非常に面白く、最後まで飽きずに楽しむ事ができます。
しかし、その面白いストーリーも淡々と読んでしまうとどこか味気なくなってしまうので、展開に合わせて読むスピードや声の高さを変えて読むことで面白さを引き立てる事ができます。
例えば、暗い海の底を泳いでいるシーンは静かにゆっくりと、マグロに食べられてしまうシーンや追い払うシーンでは声を高く速く読むなどすると緊張感が生まれます。
大げさにやるとストーリーの邪魔をしてしまうので、意識して少し変えるぐらいがおすすめです。
ポイント2
魅力的な絵を存分に見せましょう。
「スイミー」は絵本では珍しい”モノタイプ”という技法を使って描かれています。しっかりした線とは違いどこか柔らかくも力強い不思議な魅力を持ち合わせているのが特徴的です。
1つとして同じものを描くことができないモノタイプの技法とスイミーの世界観がマッチしていて、「スイミー」の魅力をぐっと深めています。
そんな素晴らしい絵をじっくり楽しむ事ができるようにページをめくるまで2秒程でも時間を空けるなどの工夫をしてみましょう。
身近な物を使って描くことができるので、絵に興味を持ったら実際に描いてみるのも面白いです。


まとめ・Ryuの感想


大人にも読んで欲しい傑作絵本。
世界の価値観は没個性から多様性に重きを置く時代に移行しています。そんな今だからこそ子どもだけでなく、大人にも読んで欲しい一冊。
「スイミー」を見た子どもも「違ってもいいんだ」と思う事が出来ますし、子どもを育てる親や保育者も「周りと比べる必要はない」と思う事ができ、比較してしまう辛さから解放されます。
また、大人が比べなくなることで子どもも「周りと同じでなければいけない」というプレッシャーを感じなくなるでしょう。
子どもへの読み聞かせの時には純粋にストーリーを楽しんだり、最後のシーンでは「すごい!」と驚くような反応があり、子どもながらにスイミーの独自性を感じているようです。
深い教訓、メッセージが籠った絵本ですが、ストーリーも非常に楽しいので上記のような考えに固執せず純粋に絵本を楽しむ事ができる一冊です。



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