【4,5歳おすすめ絵本】たなばたさま【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】
「たなばたさま」は私が”七夕の由来を知って欲しい””疎かにしてはいけないこともある事を知ってほしい”というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。
- 七夕の由来や背景を知る
- 七夕の訪れを楽しみにし、願い事を考える
- 疎かにしてはいけないこともあることを感じる
作品紹介
文・絵 | いもと ようこ |
出版社 | 金の星社 |
発行日 | 2015/5 |
値段 | ¥1540 |
大きさ・ページ数 | 28.6×22.6cm/32P |
「たなばたさま」はこんな絵本!
「たなばたさま」ってどんな内容の絵本?
そんな疑問にお答えするために「たなばたさま」を簡単にまとめてみました。
- 「七夕伝説」をいもとようこさんが子どもにも読みやすいように描いた作品。
- 七夕の由来が丁寧に描かれている。
- 大切な事を見失ってはいけないという教訓が学べる。
まるわかりQ&A
あらすじ・ストーリー・内容
七夕って何だろう?そんな疑問に答える絵本!
昔、神様の一人娘である織姫が天の川の西に住んでいました。織姫は大変勤勉でいつも機織りをせっせとしています。
そんな様子を見た神様はもっと幸せになってほしいと思い婿探しを始め、天の川の東に彦星という牛のお世話をしている真面目な男を見つけました。
織姫と彦星は結婚しましたが、結婚してからは二人で遊んでばかりで仕事をしなくなってしまいました。織姫が機織りをしなくなったので着物はボロボロに、彦星の飼っていた牛も病気でやせ細っていきます。
神様が何度注意しても二人は遊ぶのをやめないので、怒った神様はついに二人を引き離し、天の川の西と東に住まわせることに。
しかし、二人は泣いてばかりで益々仕事をしなくなってしまいました。そんな様子を見た神様は一年に一度、7月7日の夜だけは会う事を許すことにしました。
二人は会える事を楽しみにし仕事を真面目にするようになり、一年に一度、天の川を渡って二人は会う事ができたのです。
優しいタッチで描かれた読みやすい一冊です。
こんな方におすすめ
以下の項目に当てはまる方に「たなばたさま」はぴったりの絵本です!購入を検討してみましょう。
- 七夕の由来を理解できる絵本を探している
- 子どもにも読みやすい昔話を探している
絵本比較!あなたに合った絵本を探そう!
「たなばたさま」は探している絵本とは違った…。そんなあなたにはこちらをおすすめ!
楽しい雰囲気ながらしっかり由来を説明している「たなばたセブン」
たなばたセブンと子どもたちが織姫と彦星が会えるようにてるてる坊主などを作ります。たなばたセブンが七夕の由来も丁寧に説明してくれ、誰でも親しみを持つ事ができます。
ただのキャラクターものではない明るい雰囲気の一冊です。
乳児の七夕にぴったりな「たなばただいぼうけん」
乳児にとっては難しい七夕でも、仕掛けなどを通して楽しく触れる事が出来る絵本。短冊や織姫・彦星など、七夕に関連する言葉を知る事ができます。
誰でも親しめる易しい七夕関連の一冊です。
目的・ねらい
絵本はそれぞれ作者の願いや思いが込められています。その思いを汲み取り、絵本を読むときに目的やねらいを持つ事をおすすめします。以下の「目的・ねらい」はRyuが読み聞かせをするときに大切にしている事です。参考にしてみてください。
- 七夕の由来を知り、興味を持つ
- 自分の事ばかりしていてはいけない事を感じる
目的・ねらい1
七夕の捉え方が変わります。
”七夕は願い事を書く行事”という認識だけでも子どもは十分楽しむ事ができます。しかし、その裏にあるストーリーを知る事で七夕に対する考え方、思い入れが大きく変化します。
興味を持つ事で「どうしてお願い事を書くんだろう」「雨の日はどうなるんだろう」など、様々な疑問も浮かんできます。そうした七夕への関心が好奇心を豊かにする事にも繋がっていくでしょう。
日本の伝統行事である七夕。しっかりと由来を理解した上でこれから先も受け継いでいきたい行事ですよね。教養としても知っておきたい話です。
目的・ねらい2
教訓的な意味合いも含まれています。
子どもの頃は好きな事を沢山するべきです。しかし、好きな事ばかりをしていては良いのではなく、子どもの頃にもやらなければいけない事はあります。
仕事もせず二人で遊び、他の人の着物がボロボロになったり、牛まで死にそうになってしまう様子を見ることで、「自分の好きなことばっかりしていたら、良くないこともあるんだ」ということは子どもも感じる事ができるでしょう。
チェックポイント
現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。
年齢 | 幼児期、特に5歳児 |
季節 | 梅雨の終わりから初夏、七夕前後 |
行事 | 七夕会等 |
対象年齢
4,5歳児がおすすめです。
文字の量や、ページ数、行事の内容などを考えると幼児期、特にストーリーの理解が十分にできる事が予想される4歳児以降にぴったりです。しっかりと由来を理解するなら5歳児におすすめです。
3歳児でも話の流れは理解できますが、由来の理解などは難しいでしょう。
時期・季節・行事
様々な事への好奇心が湧いてきた頃がおすすめです。
短冊、天の川、織姫・彦星など七夕に関連する言葉を知っているだけでも十分楽しむ事ができますが、どうしてこれらが関連するのかが理解できる一冊なので、知的好奇心が見られた頃に読むことで七夕の深い理解に繋がります。
季節としては梅雨の終わりから初夏、七夕の前後に読むことで行事を楽しみにする気持ちが増します。
行事としては、家庭や保育園・幼稚園などで七夕に関する行事があればその際に読むのがいいでしょう。
読み聞かせのポイント
「たなばたさま」を読み聞かせをする中で意識しているポイントです。読み方を少し意識するだけで内容がぐっと伝わりやすくなります。読み聞かせをする中で自分なりのポイントも探してみるのも面白いですよ。
- メリハリをつけて読みましょう
- 教訓部分には触れずに聞き手の思いを大切にしましょう
ポイント1
淡々と読むと飽きられてしまう可能性があります。
「たなばたさま」は、文の殆どがナレーションで構成されていて、織姫のセリフが少しと神様のセリフしかありません。
なので、途中で飽きがこないように声色や声の大きさを変えて意識を引き付ける事を意識して読むと良いでしょう。
特に神様のセリフや怒っている時の言葉は特徴や感情も込めやすいので演じやすく、子どもの意識を引き付けるのにぴったり。読み聞かせの時に意識して読むことをおすすめします。
ポイント2
七夕の由来だけで必要十分です。
「疎かにしてはいけないことがある」「自分の好きな事ばかりしているのがダメな時もある」という教訓的な部分はあくまで副次的な位置づけで、「たなばたさま」のメインは七夕の由来を知る事にあります。
変に押しつけがましく教訓を伝えてしまうと折角の七夕のイメージも悪くなってしまう恐れがあるので、読み聞かせの時や読み聞かせ後には触れないようにしましょう。
教訓部分は読み手が伝えなくとも聞き手・子どもが各々感じ取っているはずです。
まとめ・Ryuの感想
七夕会でお世話になっている一冊です。
仕事で幼児の七夕会の担当になった時に最初の導入として読み聞かせに本作「たなばたさま」を選びました。
昔話と聞くとどこか小難しかったり、堅い描写を想像してしまいがちですが、いもとようこさんの絵がそんな堅苦しさを取っ払っていて、誰もが親しみを感じる事ができる読み易い絵本です。
子どもも由来をしっかり理解した様子で「会えなくて可哀想」「牛が可哀想!」「お願い事する!」などなど、様々な反応が返ってきました。
誰しもが短冊に願い事を書いたことがあるほど、有名な行事。由来を知っている事が一種の教養となっていると個人的に思います。
家庭でも園でも七夕の由来を伝えたい時におすすめできる絵本です。
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