【3,4歳おすすめ絵本】もったいないばあさん【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】
「もったいないばあさん」は私が”もったいないという言葉の意味を知ってほしい””昔ながらの行儀、知恵に触れてほしい”というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。
- 「もったいない」の言葉の意味を感じる
- 昔からある知恵の存在を知る
作品紹介
作 | 真珠 まりこ |
出版社 | 講談社 |
発行日 | 2004/10 |
値段 | ¥1650 |
大きさ・ページ数 | 21.6×30.4cm/34p |
「もったいないばあさん」はこんな絵本!
「もったいないばあさん」ってどんな内容の絵本?
そんな疑問にお答えするために「もったいないばあさん」を簡単にまとめてみました。
- アニメ化もされている「もったいないばあさんシリーズ」の第一作目
- 「もったいない」の言葉の意味が感じられる
- お行儀や昔からの知恵が学べる
まるわかりQ&A
あらすじ・ストーリー・内容
「もったいない」の意味が分かります。
ご飯の食べ残しをしている男の子の所にもったいないばあさんがきます。もったいないばあさんは、ご飯粒の食べ残し、口の周りについた食べ物を「もったいなーい」と言って食べたり、舐めまわします。
お水の出しっぱなしも勿体ない。紙も勿体ない。小さくなった色鉛筆を捨てるのも勿体ない。みかんの皮も捨てるのは勿体ない。しかし、もったいないばあさんは、知恵も教えてくれます。
紙は塗れば好きなものに変身できるスーツになる事、色鉛筆はテープでつなぎ合わせると虹を一回で描ける魔法の鉛筆になる事、みかんの皮は干してからお風呂に入れるとみかん風呂になる事…。
夜に電気をつけるのも勿体ない!夜になったら眠るだけ…。
周りのものを大事に使う大切さを絵で分かりやすく教えてくれます。
こんな方におすすめ
- 身の回りをものを大切に思える絵本を探している
- 「もったいない」「リサイクル」の概念を学べる絵本を探している
絵本比較!あなたに合った絵本を探そう!
「もったいないばあさん」は探している絵本とは違った…。そんなあなたにはこちらをおすすめ!
人生の教訓が楽しく学べる「おむすびころりん」
お爺さんがおむすびを穴に落としてしまうと中から楽しい声が…。穴の中でねずみたちと出会いお宝までもらいましたが、意地悪なお爺さんはねずみたちに酷い事をしてしまい最後はモグラに。
因果応報が感じられる一冊です。
海外の昔ながらの知恵・教訓が分かる「金のガチョウ」
森にいたお爺さんにお弁当を分け与えたお礼として幸せをもたらす金のガチョウをもらい、お爺さんに助けられながら幸せになるストーリー。
教訓が詰まっていながらも堅苦しくないグリム童話を基にした一冊です。
目的・ねらい
絵本はそれぞれ作者の願いや思いが込められています。その思いを汲み取り、絵本を読むときに目的やねらいを持つ事をおすすめします。以下の「目的・ねらい」はRyuが読み聞かせをするときに大切にしている事です。参考にしてみてください。
- 「もったいない」の意味を知る
- 様々なものを使って新しいものを作ろうとする
目的・ねらい1
視覚的に言葉の意味を理解できます。
「もったいない」という言葉は誰しもが一度は子どもに言ったことがあると思います。しかし、子どもにとって「もったいない」という言葉だけでは、その感覚を掴むことは難しいものです。
そこで、「もったいないばあさん」を読むことで、視覚的にどういった事が勿体ない事なのかを理解する事ができます。
繰り返しになりますが、子どもは大人が思っている以上に言葉だけで概念などを理解する事は難しいので、子どものためにも絵本と一緒に伝えた方がいいでしょう。
目的・ねらい2
ものを再利用する大切さも教えてくれます。
「もったいないばあさん」では、ただ無駄遣いを勿体ないと伝えるだけでなく、普段いらないと思っているものでも楽しいものになったり、素敵な使い方がある事も伝えてくれます。
あらすじで書いたようなリサイクルする方法も丁寧に描かれているので、「もったいないばあさん」を読むことで身の回りのものが様々なものに変えられる事を感じる事ができます。
今後の社会で必要とされる”何もない所から何かを作り出す力”が絵本を通して身につくでしょう。
チェックポイント
現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。
年齢 | 3,4歳児、特に3歳児 |
季節 | 一年中 |
行事 | 関係なく楽しめる |
対象年齢
3歳児以降がおすすめです。
”勿体ない”という概念を理解するのは3歳児でも難しいことですが、言葉の意味などはそれとなく理解する事ができるようになるでしょう。
また、子どもの目にはもったいないばあさんが怖く映る場合もあるようで、泣いてしまう場合もあるので、そうしたことを考慮しても幼児期に読むことをおすすめします。
時期・季節・行事
物事の適量や使い方がある程度分かるようになった頃がいいでしょう。
最初はどんな物事もその適量が分からないものです。 例えば、糊を適量使うことも乳児期の子にとってはとても難しい事ですが、様々な経験を経て少しずつその適量が分かるようになってきます。
”勿体ない”という概念もまずは物事の適量や使い方が分かってから生まれるものなので、読むのはそれらが分かるようになってからがいいでしょう。
”勿体ない”がテーマなので、季節や季節関係なく一年中楽しむ事ができます。
読み聞かせのポイント
- 優しいおばあちゃんを演じましょう
- 感情を表現しましょう
ポイント1
淡々と読むと結構怖いです!
どこからともなくやってきて「もったいない」と口酸っぱく言ってきますし、急に顔を舐めたり、怒るおばあさん…ちょっと怖いですよね。
声色を変えず読むと聞き手が泣いてしまう可能性も十分にあります。なので、優しい声で、少しゆっくり読むことで優しい雰囲気を作りましょう。
優しいお婆さんを演じることで、怖さを感じる事も可能性もぐっと減らすことができ、内容に集中することができます。
ポイント2
喜怒哀楽を表現しましょう。
一見あまり表情がないように見えるおばあさんですが、よくよく見て見ると喜怒哀楽が表現されています。
顔を舐めるシーンでは喜び、水を止めるシーンは怒り、子どもが泣いているシーンは哀しみ、スーツを作ったり虹を描くシーンは楽。
人間味あふれるおばあさんが描かれているので、その感情を聞き手が感じられるように声で感情を表現しましょう。
子どもにとって他人の感情に触れる機会は貴重です。大げさにやる必要はありませんが、相手の声、表情から感情を読み取る練習にもなるので、意識して読んでみてください。
まとめ・Ryuの感想
「勿体ない」という精神は日本人をよく表している言葉ですよね。
私は、外国籍の方とこれまで一緒に働いてきましたが、1つのものを大切にしようとする日本人の”勿体ない精神”は一種のアイデンティティのように感じます。そんな日本人の心を分かりやすく伝えているのが、本作「もったいないばあさん」です。
子どもにとって「勿体ない」という概念を理解するのは難しい事ですが、それとなく意味は理解できますし、言葉自体を知っておく事は大切だと思います。
また、読み方が難しい本でもあると個人的には感じています。最初に読み聞かせをしたときには、読み方が怖かったのか数名の子どもたちを泣かせてしまいました。
なので、試行錯誤を繰り返し、ポイントで書いたような事を実践することで、恐怖ではなく、内容をしっかり伝えられるようになりました。
”勿体ない”という言葉の意味を子どもに伝えたいときに是非読みたい一冊です。
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