【0,1歳児おすすめ絵本】くっついた【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】
「くっついた」は私が”温かさを感じて欲しい””表情を読み取る力が深まって欲しい”というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。
- 触れ合うことを通して感じる温かさを知る
- 表情から気持ちを考えようとする
- 絵本の楽しさを感じる
作品紹介
「くっついた」はこんな絵本!
「くっついた」ってどんな内容の絵本?
そんな疑問にお答えするために「くっついた」を簡単にまとめてみました。
- 発行部数100万部を超えるミリオンセラー作品
- 作品全体を通して温かさが感じられる作風が魅力的
- 登場する人物や生き物の表情に集中しやすい構成
まるわかりQ&A
あらすじ・ストーリー・内容
生き物、人間がどんどんくっつく温かい絵本。
離れている生き物や人間がくっつくシンプルな内容。「きんぎょさんときんぎょさんが」の文と離れた二匹の金魚。ページをめくると「くっついた」と書いてあり、金魚がくっついている絵が描かれています。
次はあひる。同じように「あひるさんとあひるさんが」「くっついた」その次はぞう、さる、おかあさん、おとうさん…。さると人間の顔が笑っているのも注目です。
ただただくっついているだけですが、そこには確かな温かさが感じられます。
こんな方におすすめ
- 生後半年から楽しめる絵本を探している
- 表情の変化が楽しめる絵本を探している
絵本比較!あなたに合った絵本を探そう!
「くっついた」は探している絵本とは違った…。そんなあなたにはこちらをおすすめ!
表情から相手の気持ちを想像できる「ノンタン にんにんにこにこ」
「ノンタン にんにん にこにこ、いいおかお」などの語呂の良い言葉とそれに合ったノンタンが描かれている作品。表情から感情を読み取る練習や感情を言葉で表現することに繋がります。
表情と共に言葉の響きも楽しみたい時にはこちらをおすすめ。
身近な人と触れ合いながら楽しめる「だるまさんと」
だるまさんシリーズ第三弾。いつものだるまさんだけでなく、いちご、ばなな、めろんと体を動かしながら楽しむ事ができます。触れ合う楽しさが感じられる展開が魅力的な一冊。
身近な人と体全体を使って触れ合う楽しさを感じたい時にはこちらをおすすめ。
目的・ねらい
絵本はそれぞれ作者の願いや思いが込められています。その思いを汲み取り、絵本を読むときに目的やねらいを持つ事をおすすめします。以下の「目的・ねらい」はRyuが読み聞かせをするときに大切にしている事です。参考にしてみてください。
- くっつく温かさや心地良さを感じる
- 生き物、人間の表情から感情を読み取ろうとする
目的・ねらい1
直接触れることは一番の愛情表現!
言葉が十分に話せなかったり、言葉の意味の理解が浅くなることがある乳幼児期の子にとって直接肌と肌で触れることは一番身近な愛情表現の1つです。
特に自分の気持ちを伝える手段が少なく、相手の気持ちを受け取る方法も視覚や触覚を介する事が主になる0歳の子にとっては、一番大切な愛情表現となり得ます。
「くっついた」の中では、様々な生き物、人間がそんな大切な愛情表現をたくさんしており、肯定的に捉えられるような描写が描かれています。
本作を見た子は、くっつくことに対して前向きなイメージや温かさ、心地良さを感じるでしょう。
目的・ねらい2
0歳児は表情をよく見ています。
赤ちゃんは生後二か月頃から既に大人の表情の変化が分かると言われています。「くっついた」では、きんぎょ、あひる、ぞうまでは、無表情でただくっついているだけですが、さると人間は口元が笑っているように描かれています。
笑っている=楽しいこと、という認識が赤ちゃんでもできることが予測されます。
じっくり集中して絵本を見ることで表情の変化に気付き、相手の気持ちを表情から読み取ろうとする力も豊かになっていくでしょう。
チェックポイント
現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。
年齢 | 0,1歳児、特に0歳児 |
季節 | 一年中 |
行事 | 関係なく楽しめる |
対象年齢
0歳児がおすすめです。
くっつくという人間の本質的な愛情表現が描かれている作品なので、人間の本質に近い0歳児に読むことで一番絵本の内容が響きます。
とてもシンプルな絵と文、適量なページ数から考えても0歳、最大でも1歳児までが適切な時期となるでしょう。
時期・季節・行事
絵本に一定時間集中を向けられるようになった頃がおすすめです。
大人の表情を読み取ることは早期にできるようになっても絵本を集中して見れるようになるのは、もう少し先の段階です。
簡単な絵本などに関心を示して、一定時間見つめるような仕草が見られたら「くっついた」も十分楽しむことができるようになった合図になるでしょう。
季節や行事との関連はなく、いつでも身近な人と一緒に楽しむことができる作品です。
読み聞かせのポイント
「くっついた」を読み聞かせをする中で意識しているポイントです。読み方を少し意識するだけで内容がぐっと伝わりやすくなります。読み聞かせをする中で自分なりのポイントも探してみるのも面白いですよ。
- 様々な読み方を試してみましょう
- 聞き手の反応をよく見ながら読みましょう
ポイント1
読み方は無限大!
内容はとってもシンプルですが、読み方は工夫し甲斐があります。例えば、「きんぎょさんときんぎょさんがー…くっついた!」と、溜めて読み、「くっついた」の部分だけ早く読む方法。
または、リズミカルに「ぞうさんとぞうさんがくっついた♪」と、特に溜めずに一定のリズムで読む方法。
「おさるさんと…おさるさんが…くっついた!」と、語り掛けるように読む方法など、シンプルな構成だからこそ読み手の表現の幅も広がります。
私は上記の3つの読み方で読みますが、この他にも自分の好きな読み方を試してしっくりくる読み方があれば試してみましょう。
ポイント2
読んでいる途中でも微調整!
絵本は一方的に読み聞かせるものではなくて、聞き手の反応を見ながら対話していく側面もあります。特に「くっついた」のように0歳児、乳児向けの絵本は子どもの反応を見ながら読み方を変えていくことも大切です。
毎回決まった読み方をしても楽しむことはできると思いますが、その時の聞き手の様子やその場の雰囲気にもよって響く読み方は変わっていくものです。
難しいように感じるかもしれませんが、聞き手が笑っていたり、絵本をしっかり見ている事が出来ていたらその読み方を続けて、反応があまりなかったら読み方を変えるという意識があるだけで、聞き手の楽しみ方が大きく変わってくるでしょう。
まとめ・Ryuの感想
この絵本を初めて読んだのは初めて認可園に勤めたときの1歳児クラスでした。初めて読んだ時は、特に読み方も気にせず淡々と読んだこともあって反応はいまいち。
しかし、何度か読んでいく中でポイントで書いたような読み方をすると子どもの反応が良い事に気付き、それ以降は様々なバリエーションで読むようになりました。
「くっついた」は”面白い!”と感じるような絵本ではなく、読むとその場が温かな雰囲気に包まれる絵本です。
そのような力を持っているのはやはり人間が本能で知っている触れる事の温かさ、触れる事で感じられる愛情を子どもも感じ取っているのだと思います。
「くっついた」を読んだ後に実際に子どもとくっつくと、きっと更に深い愛が生まれるでしょう。