【3,4歳児おすすめ絵本】ぼうしくんのクリスマスプレゼント【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】
「ぼうしくんのクリスマス」は私が”繰り返しの展開とクリスマスの雰囲気を楽しんでほしい””他者に優しくすることについて考えてほしい”というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。
- 先のことを想像する楽しさを感じる
- クリスマスの雰囲気を知り、楽しみにする
- 優しくすることについて考える
作品紹介
「ぼうしくんのクリスマスプレゼント」はこんな絵本!
「ぼうしくんのクリスマスプレゼント」ってどんな内容の絵本?
そんな疑問にお答えするために「ぼうしくんのクリスマスプレゼント」を簡単にまとめてみました。
- 繰り返しの展開で読みやすいクリスマス絵本
- 落ち着いたクリスマスの雰囲気が感じられる
- 優しくすることの良さや疑問を考えるきっかけになる
まるわかりQ&A
あらすじ・ストーリー・内容
優しい帽子の温かさ溢れる物語です。
森の雪道にポツンと置かれた帽子。あわてんぼうの誰かが落としてしまったみたい。
そこにうさぎさんがやってきました。「クリスマスなのにひとりぼっち。誰もプレゼントをくれない」と泣いています。そんな姿を見て帽子は自分についているボンボン飾りをプレゼントしました。ボンボン飾りはうさぎの尻尾につけて、うさぎさんも大喜び。
次にやってきたのはくまさん。くまさんもひとりぼっちで誰もプレゼントをくれないと泣いています。そこで帽子は自分の下についているふわふわ飾りをプレゼント。ふわふわ飾りをマフラーのようにつけてくまさんも喜んでいます。
狐もやってきて、ついに帽子そのものをプレゼントしてしまい残すは目のみ。最後にトナカイが来ますが、何もプレゼントできるものがなく、帽子は申し訳なくて泣いてしまいます。
そこにサンタさんがやってきて、その優しさに関心し、あっという間に帽子を元通りに戻してくれました。サンタさんの頭に戻った帽子はこれから沢山の子どもにプレゼントを渡しに行きます。
良い行いは誰かが見ている、そんなことが感じられる一冊です。
こんな方におすすめ
以下の項目に当てはまる方に「ぼうしくんのクリスマスプレゼント」はぴったりの絵本です!購入を検討してみましょう。
- 繰り返しの展開で読みやすい3歳児以降向けのクリスマス絵本を探している
- 優しさについて考えるきっかけになるクリスマス絵本を探している
絵本比較!あなたに合った絵本を探そう!
「ぼうしくんのクリスマスプレゼント」は探している絵本とは違った…。そんなあなたにはこちらをおすすめ!
周りの人を助ける行為について考えさせられる「つきのうさぎ」
自ら犠牲になってまで人を助ける意味、尊さ、疑問を感じられる絵本。月に兎がいる理由にも繋がっており、教養としての一面も大きいです。悲しいけれど、強いメッセージが込められた一冊。
人を助ける行為についてより深く考えたい時にはこちらをおすすめ。
共有する良さが感じられる絵本「そらまめくんのベッド」
そら豆くん自慢のベッドはふかふかで寝心地が最高。だけど、他の豆たちには絶対に貸しません。そんなある日ベッドが無くなったことをきっかけに共有する楽しさを理解するお話です。玩具の貸し借りで悩んでいる時に読みたい一冊。
ストーリーを楽しむ中で相手の思いに気付けるきっかけになる絵本を探している時にはこちらをおすすめ。
目的・ねらい
絵本はそれぞれ作者の願いや思いが込められています。その思いを汲み取り、絵本を読むときに目的やねらいを持つ事をおすすめします。以下の「目的・ねらい」はRyuが読み聞かせをするときに大切にしている事です。参考にしてみてください。
- 展開を予想しながら言葉のやり取りやストーリーを楽しむ
- 他者に優しくすることについて考える
目的・ねらい1
繰り返しの展開だからこそ予想しやすく、多くの子が楽しめます。
「ぼうしくんのクリスマス」は、“泣いている動物が来る→その動物に帽子の一部を分け与える→動物が喜ぶ”という一連の流れでストーリーが構成されています。
何が起こるのか予測しながら読むのも絵本の楽しみ方の1つ。繰り返しの展開だからこそ「次はこうなりそうだな」と考えながらストーリーを楽しむことができます。
また、言葉の動物と帽子の言葉のやり取りも文の構成が似ているものが続くので、会話の楽しさなども感じることができます。
目的・ねらい2
優しくするのは本当に良いことなのか考えるきっかけになります。
ひとりぼっちでプレゼントが何もないと泣いている動物たちに帽子が身を削ってまでプレゼントを与える内容の本作。他者に優しくするのは確かに良い事ではあるものの、果たして身を削ってまで優しくする必要はあるのか、疑問が感じられる描写でもあります。
子どもにとっては難しいテーマではありますが、安易に「優しくするのは良い事」と、大人が伝えることがないようにしたい考えさせられる一冊です。
チェックポイント
現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。
年齢 | 3,4歳児、特に4歳児 |
季節 | 冬 |
行事 | クリスマス |
対象年齢
3,4歳児頃がおすすめです。
同じパターンが繰り返される内容なので、とても読み易い作品ではあるものの優しさについて考えたい一面もある「ぼうしくんのクリスマスプレゼント」。
他者への優しさや共感が育まれてくる4歳児頃に合わせて読むことで本作の魅力が更に伝わるでしょう。
時期・季節・行事
他者の気持ちに共感するような姿が見えた頃がおすすめです。
友だちとの関わりの中で相手を思いやるような言動や絵本を読む中で「かわいそう」などの共感するような姿が見られた時に読むことで、優しさについても考えられるようになっている事が予想されます。
サンタやトナカイなども登場するので、季節は冬、行事はクリスマスに合わせて読みましょう。クリスマスを舞台にした作品ではあるものの、その他のメッセージも感じられる点が魅力的です。
読み聞かせのポイント
「ぼうしくんのクリスマスプレゼント」を読み聞かせをする中で意識しているポイントです。読み方を少し意識するだけで内容がぐっと伝わりやすくなります。読み聞かせをする中で自分なりのポイントも探してみるのも面白いですよ。
- 登場キャラクターの気持ちを少し表現しながら読みましょう
- 読み終えた後に優しさを強要することは止めましょう
ポイント1
大げさにならないように読む!
本作のキャラクターは喜びや悲しみが分かりやすく表現されています。少し感情を声で表現することでどのような感情になっているのかを伝えやすくなりますし、より活きた会話のように感じられます。
ただ、あまりやりすぎると作品全体の落ち着いた雰囲気を壊しかねないので大げさに表現することは避けることをおすすめします。
ポイント2
優しくする事を強要したり、美化する作品ではありません。
自分の事を顧みず動物たちに優しくする姿を称賛して、聞き手にも「優しくすることはいいことだ」と伝えてしまいたくなる内容ではありますが、どう感じるかは聞き手次第です。
自分を犠牲にしても優しくする事を良い事だと感じるのも、そこまでする必要はないと感じるのも両方間違いではありません。聞き手がありのまま感じた事を大切にできるように読み手は配慮するといいでしょう。
まとめ・Ryuの感想
楽しさと優しさだけじゃない。考えさせられる作品です。
落ち着いたクリスマスの雰囲気の中で繰り返される展開などが楽しめる「ぼうしくんのクリスマスプレゼント」ですが、本作の主題としては”優しさ”だと感じます。
自らを顧みず動物たちに優しくしていく帽子くんの姿を見て優しさを感じる事ができます。ただ、自己犠牲を伴っている優しさなので、本当にそれが優しいことなのか、自分に優しくなくていいのか、といったことを感じるきっかけにもなります。
実際に読み聞かせをすると繰り返しの展開に笑ったり、「帽子君優しいね」「帽子君可哀想」など様々な感想が返ってきます。
人によって感じ方が様々ある作品なので、読み手の感想や思いを伝えすぎたりせず、聞き手の感じ方を大切にしたい一冊です。
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