【3,4歳児おすすめ絵本】セミくん いよいよこんやです【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】
「セミくん いよいよこんやです」は私が”蝉の成長過程や夏の虫に興味を持って欲しい””成長や生きる喜びを感じて欲しい”というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。
- 蝉などの成長する過程に興味を持つ
- 夏に関連する虫などを知る
- 成長が喜ばしいことであることを感じる
作品紹介
作 | 工藤 ノリコ |
出版社 | 教育画劇 |
発行日 | 2004 | /6
値段 | ¥1320 |
大きさ・ページ数 | 19×24cm | /28P
「セミくん いよいよこんやです」はこんな絵本!
「セミくん いよいよこんやです」ってどんな内容の絵本?
そんな疑問にお答えするために「セミくん いよいよこんやです」を簡単にまとめてみました。
- 蝉の成長について知る事ができるストーリー
- 蝉だけでなく、夏に関連する虫を知り、夏に希望が持てる内容
- 成長することや生きる事が嬉しいと感じられる描写が魅力的
まるわかりQ&A
あらすじ・ストーリー・内容
蝉が羽化するまでの過程が楽しく描かれています。
ベッドで寝ている蝉の幼虫に「こんやです」と、一本の電話。木の上にいるカブトムシにも同じ電話。今度はカブトムシが蜂に「いよいよだって」、蜂は青虫に「今夜だって!」、鈴虫やホタルにも伝わっていきます。
蜂と青虫はご飯の準備、カブトムシはトレーニングを、鈴虫はバイオリン、ホタルは飛び方の確認をして、各々これから始まる何かに備えて大忙し。
蝉の幼虫は今まで過ごしたお家に別れを告げて、地面から地上に、地上から木の上に上って行きます。そして葉っぱに捕まりついに羽化!飛べるようになった蝉はとても嬉しそう。
外では準備をしていた虫たちがお祝いのショーを開いてくれます。美味しいご飯や演奏、そしてホタルの花火。翌朝からは木で「ミーンミーン。生きてるって嬉しいな」と、命一杯鳴き続けます。
蝉の発達だけでなく、成長する喜びが感じられる一冊です。
こんな方におすすめ
以下の項目に当てはまる方に「セミくん いよいよこんやです」はぴったりの絵本です!購入を検討してみましょう。
- 蝉や夏の虫に関連する絵本を探している
- 大きくなること、成長する事が楽しみになるような絵本を探している
絵本比較!あなたに合った絵本を探そう!
「セミくん いよいよこんやです」は探している絵本とは違った…。そんなあなたにはこちらをおすすめ!
大きくなる事への楽しみが広がる「くまのがっこう ジャッキーのゆめ」
ジャッキーと兄弟との温かな日常が描かれているくまのがっこうシリーズ。ジャッキーが将来の夢についてあれこれ考えますが、どこかへんてこな夢ばかり。そんなジャッキーのお兄ちゃんの夢はずっと皆で一緒にいること。
成長することでどんな事ができるのかを具体的に考えたい時にはこちらをおすすめ。
虫の視点で夏を楽しめる「じっちょりんのなつのいちにち」
小さな虫のようなじっちょりん。様々な植物の種を集めに夏の暑い中出掛けるお話し。虫の視点から描かれた世界観が楽しめるだけでなく、夏に関連する植物の名前や種類を知る事ができる作品。
虫や生き物だけでなく、植物からも夏らしさを感じたい時にはこちらをおすすめ。
目的・ねらい
絵本はそれぞれ作者の願いや思いが込められています。その思いを汲み取り、絵本を読むときに目的やねらいを持つ事をおすすめします。以下の「目的・ねらい」はRyuが読み聞かせをするときに大切にしている事です。参考にしてみてください。
- 蝉や夏に関連する生き物に興味を持つ
- 大きくなったり年を重ねる事に期待を抱く
目的・ねらい1
蝉だけじゃない!虫を通じて夏らしさが感じられます。
蝉は夏を代表する虫の1つですが、「セミくんいよいよこんやです」には蝉だけでなく、カブトムシやホタルといった夏を連想させる虫も登場します。
蝉に関しては幼虫から成虫になるまでの過程が丁寧に描かれており、どのように成長するのかに興味を持てるような内容になっています。
また、その他の虫も鈴虫は音を鳴らす、カブトムシは引っ張る力がある、ホタルは光るといった特徴が描かれているので蝉だけでなく夏に関する虫に対して疑問や興味を持てる描写があるのも本作の魅力の1つです。
目的・ねらい2
成長した事への喜びが分かりやすく描かれています。
「セミくんいよいよこんやです」は少し大げさかと思われるぐらいに成長に対しての嬉しさが表現されています。蝉自身だけでなく、既に地上にいる虫たちも一緒に蝉の羽化を喜び、お祝いするのは人間においても同じ。周りの人も成長を喜んでくれることが感じられます。
また、地上に出て自由に飛べる事や思い切り鳴けることにも喜んでいる姿を見ると大きくなる事への期待感や希望を自然と抱いてしまいます。
チェックポイント
現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。
年齢 | 幼児期、特に4歳児 |
季節 | 夏 |
行事 | 関係なく楽しめる |
対象年齢
幼児期以降がおすすめです。
文字量も多くなく、テンポよく話が進んでいくので読み易い作品ではあるものの、生きる喜びや成長することへの期待感といったことを感じて欲しい作品でもあるので、未来への見通しがしっかりと持てる4歳児頃がいいでしょう。
蝉や夏の生き物に触れることだけを目的とする場合には、2,3歳児でも十分楽しむことができます。
時期・季節・行事
「〇〇ができる」というような言葉を言うようになった頃がおすすめです。
成長していく中で自分がこれまで出来なかった事が出来るようになっている事に気付き、そのことを周囲の人へ見せて自信に繋げようとする時期が訪れます。
過去の自分と今の自分を比較して出来るようになったことを理解し、これからの成長も楽しみに出来るようになった頃に読むことで、蝉が成長する姿を見て、蝉と自身を重ねながら成長する期待感をより強める事ができるでしょう。
蝉や夏に関連する生き物が多く登場するので、季節は夏。行事との関連はありませんが、家で虫取りなどに行く機会がある時には、虫取りに合わせて読むのもおすすめです。
読み聞かせのポイント
「セミくん いよいよこんやです」を読み聞かせをする中で意識しているポイントです。読み方を少し意識するだけで内容がぐっと伝わりやすくなります。読み聞かせをする中で自分なりのポイントも探してみるのも面白いですよ。
- 場面によって読む速さを変えてみましょう
- 喜びの気持ちを声で表現しましょう
ポイント1
見せ場を作ることを意識する!
「セミくんいよいよこんやです」を大きく3つに分けると、虫たちがショーの準備をするシーン、蝉が羽化するシーン、ショーのシーンに分けられます。
ショーの準備をするシーンはどこか慌てているように少し速めに、羽化するシーンは本作の見せ場でもありますし実際の羽化のようにゆったりと、ショーのシーンは普通のペースで読むと場面ごとの臨場感がより伝わりやすくなります。
そこまで大げさに速さを変える必要はありませんが、羽化するシーンは出来る限りしっかりと見せたい所です。
ポイント2
生きていることが嬉しいことであることを感じられるように。
主人公である蝉が喜びを爆発させるシーンは、羽化した後に飛べるようになった場面と「ミーンミーン」と鳴けるようになった場面の2つ。
「とうとうやったよ、ミーン ミーン!」や「ミーン ミーン、うれしいな」という言葉がそれぞれのシーンで描かれているので、蝉の嬉しさを想像しながら喜びを声で表現すると、聞き手にも成長した事や生きている事に対しての喜びが伝わりやすくなります。
まとめ・Ryuの感想
虫だけじゃない!秘められたメッセージがひしひしと伝わる作品です。
「セミくんいよいよこんやです」というタイトルからも分かるように本作のメインは蝉の成長を知ったり、親しみを持つことです。しかし、ストーリーを楽しむ中で蝉だけではなく生きる上で大切な事も自然と感じる事ができるのが大きな魅力です。
本作を読む対象としては多くが子ども。その子どもと蝉が成長していく中で世の中に羽ばたいていく姿が重なり、大きくなること・成長する事に対しての希望を持つ事ができます。
なので、蝉が飛び立つシーンや鳴くシーンは「うれしいな」という分かりやすい言葉が書かれているように感じます。
実際に読み聞かせをすると登場する様々な虫に喜んだり、蝉が羽化する過程に「何してるの?」と疑問を持ったりと、作品を楽しむ中で虫が羽化することなどの不思議に触れる事ができます。
単純に虫を楽しむも良し、成長する事への喜びを感じるも良しの夏に読みたい一冊です。
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