【3,4歳児おすすめ絵本】きもだめし【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】
「きもだめし」は私が”展開を想像したり、ドキドキする経験を楽しんで欲しい””妖怪やおばけの種類を知り、興味や親しみを持って欲しい”というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。
- 想像する楽しさを感じる
- ドキドキする楽しさを知る
- おばけに興味や関心を示す
作品紹介
作 | 新井 洋行 |
出版社 | 講談社 |
発行日 | 2016 | /6
値段 | ¥1210 |
大きさ・ページ数 | 19.8×19.8cm | /30P
「きもだめし」はこんな絵本!
「きもだめし」ってどんな内容の絵本?
そんな疑問にお答えするために「きもだめし」を簡単にまとめてみました。
- 11種類のおばけに触れられるおばけいっぱいの絵本
- 仕掛けを通して楽しみながら想像力が豊かになる
- 適度に恐怖を感じながらもドキドキする楽しさが味わえる
まるわかりQ&A
あらすじ・ストーリー・内容
ドキドキと想像が楽しめる。ちょっぴり怖いおばけの仕掛け絵本!
「きもだめしを始めるよ。でも…泣く子はこの先読んじゃだめ!」と、日本人形が目を見開いて忠告します。
ページをめくると「しくしくしくしく お願いがあるの」と、井戸の上から少し手と頭が見えます。仕掛けをめくると「こっちにおいで うらめしや~」と女性のおばけ!
次は「ぼくと一緒に遊んでくれる?」と帽子を深くかぶった子ども。仕掛けをめくると一つ目小僧!今度はお墓。白い手と頭が見えます。仕掛けを開くとガイコツが出てきました!
その後もろくろ首やのっぺらぼうなど、日本に昔から伝わるおばけたちが出てきます。そして最後は鬼や河童にちょうちんおばけにからかさおばけ!
ちょっぴり怖いけど先がついつい気になるおばけいっぱいの作品です。
こんな方におすすめ
以下の項目に当てはまる方に「きもだめし」はぴったりの絵本です!購入を検討してみましょう。
- 幼児向けのおばけや妖怪が登場する絵本を探している
- 怖さもありつつ、仕掛けで楽しく絵本に触れられるものを探している
絵本比較!あなたに合った絵本を探そう!
「きもだめし」は探している絵本とは違った…。そんなあなたにはこちらをおすすめ!
多くの妖怪に触れ、親しみが感じられる「妖怪横丁」
お使いを頼まれた男の子が妖怪横丁へ行き、50種類以上の妖怪と出会うお話し。妖怪だらけではありますが、怖い雰囲気はなく楽し気な妖怪の世界が楽しめる作品です。
多くの妖怪に触れたい時や怖さのない妖怪に関する絵本を探している時にはこちらをおすすめ。
愉快な妖怪が登場する名作物語「めっきらもっきらどおんどん」
主人公が不思議な世界に迷い込み、3人の妖怪と楽しくも奇妙な時間を過ごすストーリー。その独特で不思議な世界観に子どもたちもみるみる引き込まれていきます。暗く奇妙ながらも魅力が詰まった名作。
ストーリーと共に妖怪に触れたい時にはこちらをおすすめ。
目的・ねらい
絵本はそれぞれ作者の願いや思いが込められています。その思いを汲み取り、絵本を読むときに目的やねらいを持つ事をおすすめします。以下の「目的・ねらい」はRyuが読み聞かせをするときに大切にしている事です。参考にしてみてください。
- 展開を予測する楽しさやドキドキする楽しさを感じる
- おばけや妖怪の存在を知り、興味や親しみを持つ
目的・ねらい1
シンプルな仕掛けが想像やドキドキを引き立ててくれます。
「きもだめし」の仕掛けは、折り畳んであるページを開くだけのとてもシンプルな仕掛け。ただ、仕掛けがシンプルであるが故に展開の想像に集中しやすいですし、ドキドキするポイントが明確なので誰でも楽しみやすい構成が魅力的です。
”仕掛け×おばけ”という日常では出くわさないシチュエーションだからこそ、日頃の生活の中でする想像よりもずっと広がりのある想像を楽しむことができます。また、丁度良い怖さがドキドキの楽しさも伝えてくれます。
目的・ねらい2
不思議な魅力が詰まった妖怪やおばけへの興味を深めるのにぴったりな作品です。
妖怪やおばけは恐怖の対象としてのみ捉われてしまうこともありますが、実際は想像を豊かにしてくれたり、日常では中々味わえない感情や気持ちを引き出してくれるとっても大切な存在。
そんな妖怪やおばけを仕掛けと共に楽しく触れる事ができる「きもだめし」は興味や親しみを持つのにぴったりな作品です。
対象年齢である3歳児以降に読む場合は既にいくつか妖怪やおばけを知っていることが予想されるので、興味を持つだけでなく、深める事にも一役買ってくれます。
チェックポイント
現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。
年齢 | 幼児期、特に4歳児 |
季節 | 夏 |
行事 | 関係なく楽しめる |
対象年齢
3歳児以降がおすすめです。
「きもだめし」は仕掛けがあり楽しく読める作品ではあるものの、全体の雰囲気としては暗く怖い印象が残る作品。乳児期の子にはただ怖さを煽るだけになってしまいかねません。
また、3歳児以降でもおばけや妖怪に慣れていない子や恐怖に敏感な子にいきなり読む事はおすすめできません。子どもの日頃の様子をよく見て、妖怪やおばけを楽しめる、フィクションだと理解できるような姿が見られたら読むことをおすすめします。
時期・季節・行事
妖怪やおばけに慣れてきた頃が時期がおすすめです。
子どもも大人と同じように妖怪やおばけなどの恐怖を感じる対象に敏感な子とそうでない子がいます。
いくら5歳児であっても敏感な子は恐怖を感じやすいので、本作の妖怪が絵本の中の空想の1つであることが理解できるようになってから読みましょう。そうした意味では読む時期をよく考えなければいけない作品です。
妖怪やおばけの直接的な季節はありませんが、一般的に夏の風物詩として妖怪やおばけが取り上げられる事が多いので、そうした風習を感じるために夏に読むことをおすすめします。また、行事との関連は特にないので夏を通して楽しめます。
読み聞かせのポイント
「きもだめし」を読み聞かせをする中で意識しているポイントです。読み方を少し意識するだけで内容がぐっと伝わりやすくなります。読み聞かせをする中で自分なりのポイントも探してみるのも面白いですよ。
- 聞き手の様子を見て読み方を考えましょう
- 怖がらせることが目的にならないように意識しましょう
ポイント1
子どもの表情をよく見て読む!
「きもだめし」は怖い雰囲気が表紙から出ていて、怖いものが苦手な子は表情や反応を見ればすぐに分かります。その表情や反応によって読み方を臨機応変に変える事をおすすめします。
特に怖いものなどが大丈夫そうだったら少し声を低くしたり、仕掛けをめくる時に溜めを作るなどして怖さを演出してもいいでしょう。
おばけや妖怪が苦手そうな場合には、声も明るめにして、仕掛けをめくってもらう参加型のような形にするのも雰囲気が明るくなるのでおすすめです。
ポイント2
目的は楽しむ事!恐怖だけの読み聞かせは何も生みません。
本作は確かに怖さが感じられる作品ですが、恐怖を与える事が目的にはなり得ません。楽しさよりも怖さが勝ってしまっては本作が持つドキドキを楽しむ魅力やおばけ・妖怪の魅力などは伝わらなくなってしまいます。
その場の雰囲気の作り方や演出によっては幾らでも怖くすることは可能ですが、本来の目的を忘れず、楽しさが土台にある読み聞かせの時間を作る事を意識することを強くおすすめします。
まとめ・Ryuの感想
怖さと楽しさが丁度良く入り交ざった作品です。
「きもだめし」は怖すぎず、だけど確かな怖さもある。そんな言葉がぴったりな絵本。雰囲気は確かに怖いのですが、さすがは乳児用の明るい絵本を数々生み出しているさん。丁度良い怖さで描かれています。 新井 洋行
私も最初見た時は少し怖すぎるのではないかと思ったのですが、読んでみたら思いのほか怖がる姿は見られず、寧ろ本作を通して感じるドキドキを楽しんでいる子が多くいました。
また、知っている妖怪やおばけなどがいたら「このおばけ知ってる!」「ろくろ首だ!」などの反応もあり、妖怪たちに興味を持って喜ぶ姿すら見られたぐらいです。
ただ、怖さの度合いは個人差もあるので、目の前の子の様子をよく考えながら読むかどうかを決めて下さい。怖く読む事だけを意識せず、仕掛けに注目して楽しく読むのも1つの手段です。
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