【2,3歳児おすすめ絵本】たんぽぽはたんぽぽ【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】
「たんぽぽはたんぽぽ」は私が”優しく温かい雰囲気の春を感じて欲しい””ありのままの自分で良いと感じ、自己肯定感が育まれて欲しい”というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。
- 春の訪れを感じ、親しみを持つ
- 言葉の響きの楽しさを知り、言おうとする
- 自分は自分で良い事を感じる
作品紹介
作 | おくはら ゆめ |
出版社 | 大日本図書 |
発行日 | 2015 | /4
値段 | ¥1430 |
大きさ・ページ数 | 25.7×21cm | /32P
「たんぽぽはたんぽぽ」はこんな絵本!
「たんぽぽはたんぽぽ」ってどんな内容の絵本?
そんな疑問にお答えするために「たんぽぽはたんぽぽ」を簡単にまとめてみました。
- 温かい雰囲気で、心までポカポカになれる絵本
- 言葉の繰り返しが多く、言葉の響きが楽しめる
- ありのままの自分が素敵であることを認識できる内容が魅力的
まるわかりQ&A
あらすじ・ストーリー・内容
「自分は自分で良い」そんな事が感じられる心の温まる作品です。
たろうくんが遊んでいると雀が集まり何か言っています。耳を澄まして聞いてみると「たんぽぽはたんぽぽ たんぽぽはたんぽぽ」と繰り返しています。そうするとタンポポの花びらがぴん、ぴん、ぴーんと伸びてきました。
今度はタンポポが「ありんこはありんこ ありんこはありんこ」と言っています。すると近くにいた蟻はど~ん、で~ん、じゃ~んと小石を力強く運び始めました。
今度は蟻が「ねこはねこ ねこはねこ」、そして猫が「たろうはたろう たろうはたろう」と言うとたろうは恥ずかしそうにウィンクをしました。しかし、皆は残念そうに首をかしげます。
その後もみんなが「たろうはたろう たろうはたろう」と言うのでウィンクをしながらでんぐり返しをすると皆も笑顔に。そしてたろうくんも「すずめはすずめ すずめはすずめ」と言うと、雀は空ででんぐり返し。タンポポも猫もでんぐり返し!
最後は皆で横になって空を見上げます。
温かい雰囲気で春の訪れが感じられる優しい作品です。
こんな方におすすめ
以下の項目に当てはまる方に「たんぽぽはたんぽぽ」はぴったりの絵本です!購入を検討してみましょう。
- 温もりのあるタッチの絵と共に春が感じられる絵本を探している
- ありのままの自分を受け入れる心地良さが感じられる絵本を探している
絵本比較!あなたに合った絵本を探そう!
「たんぽぽはたんぽぽ」は探している絵本とは違った…。そんなあなたにはこちらをおすすめ!
春のような温かさと言葉の面白さが楽しめる「ぐりとぐら」
ぐりとぐらシリーズの第一弾。森で見つけた大きな卵が何なのか、またどのような料理をするのか、二匹のアイデアや言葉のやり取りが楽しく、ぐっと絵本の世界に引き込まれる名作です。言葉のリズムも感じられる一冊。
アイデアや発想の面白さも感じたい時や名作を読みたい時にはこちらをおすすめ。
家族の温かさを感じ、自己肯定感が育まれる「ピヨピヨスーパーマーケット」
お母さんとヒヨコの子どもたちとのドタバタストーリー。スーパーマーケットに着くとヒヨコたちはかくれんぼしたり、好きなお菓子を買おうとしたりやりたい放題…。でも、家に帰ると夕飯は大好きなスパゲッティ!何気ない日常の良さを感じながら家族に愛されている感覚を覚える作品です。
家族の愛から生まれる自己肯定感を得られる作品やモノを探す楽しさなども楽しみたい時におすすめの一冊。
目的・ねらい
絵本はそれぞれ作者の願いや思いが込められています。その思いを汲み取り、絵本を読むときに目的やねらいを持つ事をおすすめします。以下の「目的・ねらい」はRyuが読み聞かせをするときに大切にしている事です。参考にしてみてください。
- 春をイメージし、春の訪れを楽しみにしたり春を感じる
- 自分は自分で良い事を感じ、自信を持つ
目的・ねらい1
春のモノだけでなく、雰囲気もまさに春の作品です。
タンポポや蟻、蝶々などの春と言ったらすぐに思い浮かぶものが登場するだけでも春らしさを感じる事が出来ますが、「たんぽぽはたんぽぽ」では、春らしさが感じられる温かい雰囲気も大きな魅力の1つです。
単に春に関連するモノの見た目と名前を覚えても結局それはただの知識の1つに過ぎません。本作のように春に関連するモノを知りながら春の温かい雰囲気も感じる事でモノとイメージをセットで覚えることができます。そうすることで、たんぽぽをイメージした時に春の温かい雰囲気も一緒に思い返せるようになります。
雰囲気もイメージできるようになることで春の訪れを楽しみにしたり、春の心地良さを感じる事に繋がります。
目的・ねらい2
ありのままの自分が好きになれます。
「たんぽぽはたんぽぽ」の特徴の1つとして言葉の響きの面白さがあげられます。そしてその中でも特に印象に残るのが「ありんこはありんこ」や「たろうはたろう」といった繰り返される言葉。
繰り返される言葉の響きが面白く、ついつい聞いている方も言いたくなってしまうような言葉です。
また、何気ない言葉ではありますが「たんぽぽはたんぽぽの良さがある」「たろうはたろうのありのままでいいんだよ」といったようなメッセージが込められているようにも感じられます。
言葉の響きを楽しむ中で自然とありのままの自分を認める気持ちや自己肯定感が得られる作品です。
チェックポイント
現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。
年齢 | 幼児期、特に3歳児 |
季節 | 春など |
行事 | 関係なく楽しめる |
対象年齢
3歳児前後がおすすめです。
ストーリーや文も長くなく、難しい言葉もないため幅広い年齢、多くの子が楽しめる内容となっています。
言葉の面白さを感じるだけなら2歳児でも十分に楽しめますが、春という季節の雰囲気を感じたり、自己肯定感を得ることを目的とした場合は季節性に気付いたり自分という存在をしっかりと認識できるようになる3歳児頃に読む事をおすすめします。
時期・季節・行事
他人と比べる様子が見られるようになった頃がおすすめです。
自分という存在を認識した後にあるのは他者との比較。他者と比較した際に自分はどのような存在なのかを考える時期があります。他者と比べた時に自信を感じたり、時には劣等感も感じる敏感な時期でもあります。
そんな時期に合わせて「たんぽぽはたんぽぽ」を読む事で、”ありのままの自分でいいんだよ”というメッセージを感じられるでしょう。ありのままの自分で良い事を理解するのはもう少し先の話になるかもしれません。しかし、その大切な考えに気付く土台になります。
たんぽぽ、あり、ダンゴムシなど春の訪れと共に現れる植物や虫が出てくるので春に合わせて読むことをおすすめします。行事との関連性は特になく、春の期間を通して楽しめる作品です。
読み聞かせのポイント
「たんぽぽはたんぽぽ」を読み聞かせをする中で意識しているポイントです。読み方を少し意識するだけで内容がぐっと伝わりやすくなります。読み聞かせをする中で自分なりのポイントも探してみるのも面白いですよ。
- 優しく、温かい雰囲気を作って読みましょう
- 言葉の響きが感じられるように読みましょう
ポイント1
読み手がまずは雰囲気を大切に!
「たんぽぽはたんぽぽ」はその温かみのある描写や優しさが感じられる内容だけでも気持ちが温まるような感覚を覚えますが、出来る限り読み手からもそのような温かさが感じられるように配慮する事をおすすめします。
難しい事はなく、柔らかく読むように意識したり、少しゆったりとしたテンポで読む、表情も笑顔を作る等のすぐに出来ることをするだけでも読むときの雰囲気がガラッと変わります。
聞き手は作品の内容だけでなく、聞き手の表情や空気感もしっかりと読み取るもの。読み手が意識することで、作品に更に深みが増します。
ポイント2
面白く、気持ちの良い言葉の響きを全面に!
「たんぽぽはたんぽぽ たんぽぽはたんぽぽ たんぽぽはたんぽぽ」と冒頭から言葉の繰り返しがあり、言葉の響きや楽しさが味わえる本作。
特徴的な言葉の繰り返しの他にも「ど~ん、で~ん、じゃ~ん」「バリ、バリ、シャキーン」「ごろ、ごろ、ごろーん!」など勢いのある面白い言葉が多く登場します。
特に抑揚をつけなくても作品自体は楽しむ事は出来ますが、折角面白い言葉が書かれているので言葉の勢いを表すように強く読んでみたり、リズムを強調して読むと言葉の魅力が更に伝わりやすくなるでしょう。
まとめ・Ryuの感想
不思議と力や自信が湧いてくる作品です。
「たろうはたろう」という言葉からは、ありのままの自分で良いと感じられる温かさや自己肯定感。初めは恥ずかしがっていたたろうくんも思い切ってでんぐり返ししたことで周りの生き物たちと喜び合う描写からは自信など。
作品を読む中で春の訪れだけでなく、生きて行く上で大切な気持ちの支えになる事も多く感じ取る事ができます。
また、言葉の響きも面白く、読み聞かせをすると言葉の繰り返しや言い回しに笑ったりしながら楽しむ様子が見られますし、読んだ後にお散歩に行くと絵本に出てきた鳥やたんぽぽ、ありなどにもいつも以上に興味を示す様子がうかがえます。
描かれているモノから春が感じられる事は勿論、読む中で気持ちがポカポカとするので心から春の訪れが感じられる作品となっています。
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