【4,5歳児おすすめ絵本】すてきな三にんぐみ【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】

「すてきな三にんぐみ」は私が”善悪とは何か感じて欲しい””優しさとは何かを考えて欲しい”というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。
作品紹介
「すてきな三にんぐみ」はこんな絵本!
「すてきな三にんぐみ」ってどんな内容の絵本?
そんな疑問にお答えするために「すてきな三にんぐみ」を簡単にまとめてみました。
- 日本でミリオンセラーを達成している世界の名作
- 暗い雰囲気の中で展開される優しいストーリーが魅力的
- 善悪、優しさとは何か考えさせられる絵本
まるわかりQ&A
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あらすじ・ストーリー・内容


誰もが怖がる泥棒三人。そこから生まれる最高のストーリー。
泥棒の三人は夜になると山を下り獲物を見つけては金銀財宝を盗る泥棒。
しかし、ある日の夜お宝を盗ろうとした三人はティファニーという女の子と出会い、お宝の代わりに盗った。
泥棒たちの家に行き、宝の山を見たティファニーは「これ、どうするの?」と尋ねた。
これまで使い道を考えずに盗っていた泥棒たちは考えた。そして、泥棒たちはお城を買い捨て子や孤児を集め、赤い帽子に赤マントを着せてお城に住まわせることにした。
そしてそこに住んでいた子どもたちが結婚をし、子どもを産み、赤いマントの村はどんどん大きくなった。村人は彼らにそっくりな塔を建てた。”すてきな三にんぐみ”を忘れないように。
一度読んだら忘れない。珠玉の名作です。


こんな方におすすめ


- 善悪について考えられる絵本を探している
- 人の為に行動する大切さが感じられる絵本を探している
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「すてきな三にんぐみ」は探している絵本とは違った…。そんなあなたにはこちらをおすすめ!


優しさとは何か深く考えさせられる「つきのうさぎ」
自ら犠牲になってまで人を助ける意味、尊さ、疑問を感じられる絵本。月に兎がいる理由にも繋がっており、教養としての一面も大きいです。
悲しいけれど、強いメッセージが込められた一冊です。


善悪とは何か感じられる「かちかちやま」
泥棒をしたり、お婆さんに酷い事をする狸に兎が仕返しをしていくストーリー。一見狸だけが悪いように見えるものの仕返しをしてしまう兎はいいのか…何が善で何が悪なのかを考えさせられます。
日本人なら知っておきたい有名な日本昔話の1つです。
目的・ねらい


- 善悪とは何かを理解し、自分の思いを大切にする
- 人を助ける為に行動する大切さを感じる
目的・ねらい1
人によって思いは様々!自分の思いを大切にしましょう。
「すてきな三にんぐみ」は、一人一人感想や感じる事が変わる作品です。
「捨て子、孤児を助けたのはとても素敵な事、だけど人から盗む事はいけない」という一種の矛盾に気付き「三人は悪い人」と結論付けても良いですし、「みんなを助けたらいい人」という思いを持ってもいいのです。
どう結論付けても良く、自分の価値基準を持って善悪を判断したり、自分なりの感想を持つことが一番大切です。
難しい事ではありますが、そんな指標となり得る絵本です。
目的・ねらい2
人を助ける大切さが感じられるでしょう。
「すてきな三にんぐみ」には3つの優しさが散りばめられています。
1つは結果的にティファニーちゃんを助けて、ちゃんとした家に住まわせたこと。
2つ目は捨て子、孤児を集めてお城や着るものを与え、幸せにしたこと。
3つ目は村人が素敵な三人組を想って塔を建てたこと。
どれもが言葉だけでなく、行動を通して人に優しくしたり助けたりしており、行動する大切さ、人を助ける尊さを感じる事ができます。
「相手を想う」がたくさん詰まっているので優しさを理解するのにぴったりな絵本です。
チェックポイント


現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。
年齢 | 4,5歳児、特に5歳児 |
季節 | 一年中 |
行事 | 発表会など |
対象年齢
4歳児以降がおすすめです。
文の量やページ数などを考えると3歳児でも楽しむ事はできますが、ねらいの部分で挙げたような善悪の判断や優しさ・思いやりを理解する事を目的とするなら4歳児以降がいいでしょう。
1-3歳児頃に読むと「怖い」というイメージが強く出てしまう為おすすめできません。
時期・季節・行事
社会的な良し悪しが判断できるようになった時期がいいでしょう。
自分のこれまでの経験や社会のルールと照らし合わせて様々な感想を持つことが出来るので、ある程度一般的な決まり事などを理解した後に読むことをおすすめします。
季節とは関係なく一年中楽しむ事ができます。また、行事としては、興味を持てば発表会などで劇の題材としても面白いと思います。


読み聞かせのポイント


- 落ち着いた、少し暗い雰囲気で読みましょう
- 感想を伝えたり、求めたりしないようにしましょう
ポイント1
内容だけじゃない!雰囲気も楽しみましょう。
「すてきな三にんぐみ」は作品全体を通して怖いような、暗い雰囲気を持っています。寧ろ子どもには怖すぎるぐらいかもしれません。
しかし、その暗く、怖い雰囲気がある事によって三人組の意外性や良い行いが際立つようになっています。
内容を引き立てるだけでなく、絵本の世界にぐっと入り込めるように声を少し低くしたり、気持ちゆっくり読むことで雰囲気を作り、その空間を楽しめるように工夫してみましょう。
ポイント2
各々の気持ち、判断を大切に。
善悪の判断や三人組をどう思うかなどは人それぞれ。固定概念が薄い子どもは尚更感じる事がバラバラです。
大人はつい正解を子どもに押し付けてしまいがちですが、「すてきな三にんぐみ」の感想に正解はありません。聞き手がそれぞれ感じた事を大切にしましょう。
読み手の感想を伝えない事は勿論、読み終えた後に「どうだった?」などと感想も求めないようにしてください。
言葉で感想を伝えられる子もいれば、心の中で言葉にならない思いを噛みしめている子もいるので、自分の気持ちと向き合っている時間を大切にできるように配慮しましょう。


まとめ・Ryuの感想


内容、世界観、絵…全てが良い!
「すてきな三にんぐみ」私も子どもの頃に絵本で読んだり、ビデオで見た作品であり、強烈に印象に残っている作品です。
いかにも悪そうな泥棒が人との出会いを通して変わっていくストーリーや独特の世界観、それらを巧みに表現している絵など、個人的にかなり好きな絵本の1つです。
子どもへの読み聞かせた時の子どもの第一声は「怖い!」が最早定番ですが、読み進めていくと笑顔になったり、質問が出てきたりし、この「すてきな三にんぐみ」の世界にどんどん引き込まれていくのが感じられます。
感想も様々で「怖い!」「いい人だった!」「かっこいい!」などなど、どこに目を向けるかで大きく感想が変わる事が印象的な一冊だと感じます。
「悪い事をしてはいけない」「人助けは良い事」「悪い事をしたお金で人を助けるのは良いのか」「人は見た目で判断してはいけない」など、様々な教訓や深い考察も楽しむ事ができます。
人生で一度は読みたい傑作です。



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