【2,3歳児おすすめ】よるくま【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】
「よるくま」は私が”感情移入する感覚を味わって欲しい”“親の温かさを感じて欲しい”というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。
作品紹介
「よるくま」はこんな絵本!
「よるくま」ってどんな内容の絵本?
そんな疑問にお答えするために「よるくま」を簡単にまとめてみました。
- 多くの子に20年以上親しまれているロングセラー作品
- 世界観に入り込み、想像が豊かになる
- 親の温かさを感じられる
まるわかりQ&A
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あらすじ・ストーリー・内容
男の子とよるくま不思議な物語。
男の子が寝る前、お母さんに昨日の夜“よるくま”という黒い熊が来た事を話し始めます。よるくまは自分のお母さんを探しているみたい。
そして男の子もよるくまと一緒にお母さんを探しに行きます。よるくまの好きな蜂蜜屋さん、公園、よるくまのお家を隅々まで探してもお母さんはいません。
とうとうよるくまは泣き出してしまいました。よるくまの涙は夜みたいに真っ黒…辺り一面真っ黒になってしまいます。
「たすけて ながれぼし!」そう言うと1つの流れ星。それはお母さんの釣り竿についていた星でした。
お母さんはお魚釣りのお仕事をしていたのでした。今晩は大量に釣れたので余った分はお魚屋さんに売って、そのお金で電車に乗ったり、自転車買ったり、楽しみがいっぱい。
だから今日はもう「おやすみ」
少し怖い雰囲気だけど、世界観に入り込める名作です。
こんな方におすすめ
- 感情移入しやすい絵本を探している
- 想像力が豊かになる絵本を探している
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自分を絵本に投影できる「はじめてのおつかい」
230万部を超える名作。えりちゃんがおつかいを頼まれて、様々な困難を乗り越えていくお話。自己有能感、不安、葛藤など子どもが共感できる描写が盛りだくさんの絵本です。
グッと世界に引き込まれる一冊です。
没入感がすごい「いろんなでんしゃはっしゃしまーす」
家族で様々な電車に乗ってお出かけをする展開。ただ電車だけを描いた作品ではなく、子どもでも感じた事のある電車に乗る高揚感やドキドキを味わう事ができます。
旅行している気分になれる一冊です。
目的・ねらい
- 登場人物の気持ちを考え、絵本の世界に入り込む
- 不安を思い出しながらも親の温かさを感じ、安心する
目的・ねらい1
グッと入り込める世界観が魅力的!
「よるくま」を実際に読んでみると分かるのですが、子どもの入り込み方がすごいです。暗めの描写、落ち着いた雰囲気が終始ある作品なので子どもも絵本の内容に入り込みやすいのだと思います。
絵本の世界に入り込むと言うことは登場人物の気持ちなどを想像して、あたかも自分が絵本の世界にいるような感覚。
その感覚が相手の気持ちを考えるきっかけにもなり得ますし、想像力が豊かになる事にも繋がります。
目的・ねらい2
“親の温かさ”も本作の1つのキーワード。
少し怖い雰囲気すらある「よるくま」ですが、その怖さや不安から助けてくれるのは、男の子もよるくまもママ・お母さんという存在になっています。
寝る前に感じる子どもの不安、親に会えない事への心配・恐怖。その思いは子どもが誰しも抱えているものです。「よるくま」を読む中で、聞き手は男の子やよるくまに共感して同じような不安や恐怖を感じるはずです。
そこで助けてくれる親という存在が描かれている事で子どもも安心感を覚えると共に改めて親という存在の大きさを感じる事ができるでしょう。
「絵本の教育学的解釈」様が詳しい考察をされているので、参考にして下さい。
チェックポイント
現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。
年齢 | 2,3歳児、特に2歳児 |
季節 | 一年中 |
行事 | 関係なく楽しめる |
対象年齢
2歳児以降がおすすめです。
幅広い年齢で楽しむ事ができる内容ですが、文量などを考慮すると2歳児頃がいいでしょう。
全て夜の描写なので全体的に黒が多く使われている作品なので、子どもによっては「怖い」という印象を持ち、見るのを嫌がる可能性もあります。
年齢だけにとらわれず子どもの性格なども考慮することをおすすめします。
時期・季節・行事
暗い・黒いイメージに対して大きな恐怖心が見られなくなった頃がいいでしょう。
「よるくま」を心から楽しむ為には暗い雰囲気に少し慣れている必要があります。あまりに怖がってしまうと恐怖心が勝ってしまい折角の素晴らしい絵本の内容が入ってこない為です。
「ねないこだれだ」などの同じく暗いイメージを持つ絵本を楽しめるようになってから読むといいでしょう。
季節感は特になく、寝る前の親子の会話が描かれているので、寝る前に読むなど毎日の生活の中で楽しむことができます。
行事と関連する内容・描写もないので行事とも関係なく楽しめる作品です。
読み聞かせのポイント
- 語り口調で読みましょう
- 怖がらせないように工夫しましょう
ポイント1
男の子が聞き手に話しかけているイメージで!
「よるくま」の文構成の基本は男の子とそのママとの会話になっています。なので、実際に2人が会話しているような口調で読むと、臨場感が増し本当に2人の会話を側で聴いているような感覚で楽しむ事ができます。
落ち着いた雰囲気の絵本なので、声色を大きく変えると却って世界観を壊してしまう可能性があるので、声色は少し変えるぐらいが丁度良いでしょう。
ポイント2
読み方を間違えると怖いイメージを持ってしまいます。
作品を通して暗く、静かな雰囲気がありますし、よるくまが泣く場面では黒い涙を流して絵本が真っ黒になる描写もあり、子どもによっては怖さを敏感に感じてしまいます。
明るく読むと世界観を壊してしまう可能性もあり読み方が難しいのですが、終始温かく、落ち着いた声を出すように意識すると聞き手も安心して最後まで聞くことができるでしょう。
まとめ・Ryuの感想
子どもの気持ちに寄り添っている一冊。
「よるくま」の私のイメージは“とにかく子どもが絵本の世界に入り込みやすい絵本”です。
実際に読み聞かせをすると分かるのですが、物凄い集中して話を聴いている事が感じられます。少し怖い雰囲気すらある絵本なので、普通は見るのを嫌がる事が多いのですが、「よるくま」は不思議とその世界に引き込まれています。
私なりの考えでは、登場する男の子の寝る前の不安であったり、抱えている恐怖に子どもも共感しているため集中して聞くことが出来るのだと思います。また、親という安心できる存在も描かれている為、子どもも「そうだよね」と共感する部分が多いのでしょう。
子どもの気持ちを落ち着かせたい時、寝る前などに是非読みたい名作です。
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