【4,5歳おすすめ絵本】モリくんのおいもカー【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】
「モリくんのおいもカー」は私が”共有する良さを感じてほしい”“秋を楽しみにして欲しい”というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。
作品紹介
「モリくんのおいもカー」はこんな絵本!
「モリくんのおいもカー」ってどんな内容の絵本?
そんな疑問にお答えするために「モリくんのおいもカー」を簡単にまとめてみました。
- 秋に読みたいモリくんシリーズ
- モノを分ける・共有する良さが感じられる
- 仲間たちと冒険する楽しいストーリーに入り込める
まるわかりQ&A
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あらすじ・ストーリー・内容
優しさが感じられる秋に読みたい冒険ストーリー!
モリくんはさつまいもを削っておいもカーを作りました。荷物を積んで早速出発!
「はしれはしれおいもカー、たったらたのしいおいもカー」と歌を唄いながら楽しくドライブをする中でお腹を空かせた動物たちと出会います。
ねずみの兄弟、かえる、きつねの他にもとんぼや青虫など小さな虫たちにおいもカーを削って食べさせていきます。おいもをあげた動物たちと楽しいドライブ!
怖い洞窟を抜けると「ぐらぐら がたがた…がっちゃーん!」ついにおいもカーが壊れてしまいました…。
みんなでしょんぼりしていると、きつねさんが良いアイデアを思いつき、おいもを使ってスイートポテト作りが始まります。協力して作った後はみんなで一緒に「いただきます!」
温かい雰囲気が心地良く、優しくなれそうな一冊です。
こんな方におすすめ
- 分け合う・共有する良さを感じられる絵本を探している
- 展開が楽しく秋を感じられる冒険ものの絵本を探している
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「モリくんのおいもカー」は探している絵本とは違った…。そんなあなたにはこちらをおすすめ!
助け合う良さ・大切さが感じられる「おおきなかぶ」
お爺さんがかぶの種を蒔いて育てると1つだけ大きなかぶが!家族、動物を呼んで協力しながらかぶを抜く世界で読まれている名作です。
一生に一度は読みたい一冊です。
笑いがたくさん詰まった秋に読みたい絵本「やきいもするぞ」
山の生き物たちが焼き芋を楽しむ絵本。焼き芋を楽しんでいましたが、途中からはおならパーティに。終始笑いながら盛り上がる事間違いなし!
秋が楽しく思える一冊です。
目的・ねらい
- モノを共有する事を肯定的に捉える
- 絵本の世界に入り込み、展開を想像したり、楽しむ
目的・ねらい1
「あげるって良さそう」そんなことを感じることができます。
「モリくんのおいもカー」の中では、モリくんが動物たちに自分が頑張って作ったおいもカーを削って分け与える姿がたくさん描かれています。
子どもにとって自分のモノを貸したり、分ける事はとても難しいこと。ですが、躊躇いもなく自分のものを分け与えるモリくんの姿を見ることで、貸す事や共有する事に対して少し前向きに捉える事ができるようになるでしょう。
モリくんが仲間に囲まれている姿を見ているとモノを共有した先に起こる素敵な事が想像しやすくなります。
目的・ねらい2
純粋にストーリーが楽しくて、世界に入り込めます。
モリくんシリーズ全てに言えることではありますが、起承転結で構成されていて子どもでも分かり易く、その世界観を存分に楽しめるストーリーが魅力的です。
本作「モリくんのおいもカー」も物語の展開が面白く、自然と集中しながら絵本の世界に入り込む事ができます。
集中している中で次の展開を予測したり想像する力、また、集中力が自然と身につくでしょう。
チェックポイント
現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。
年齢 | 3,4歳児、特に4歳児 |
季節 | 秋前後 |
行事 | 芋掘りなど |
対象年齢
3歳児以降がおすすめです。
ページ数、文字数やモノを共有する良さというメッセージ性を考えると3歳児以降に適した絵本と言えます。
人間関係で葛藤する事が多い3歳児を乗り越えた4歳児頃に読むことで、モリくんの気持ちにも共感しやすくなり、共有する良さをより感じる事ができるでしょう。
時期・季節・行事
ものの貸し借りが少しずつできるようになってきた時期がいいでしょう。
ものを貸すことはできるけど、心から納得はいっていない状況が見られた頃に読むことで共有したり、貸す事の理由・いい点が「モリくんのおいもカー」を通して見えてきます。
ものの貸し借りが難しい時期に読んでも内容があまり響かない可能性があるので、少しずつできるようになってきた頃がおすすめです。
お芋がメインで使われていたり、背景も色づいた木々が描かれているので季節としては秋。芋掘りなどがある場合は、その行事に合わせて読むと行事への期待感が膨らみます。
読み聞かせのポイント
- 抑揚をつけて見せ場を作るように読みましょう
- 言葉のリズムが感じられるように読みましょう
ポイント1
場面に応じて読み方を工夫!
せっかくの素晴らしい展開も淡々と読んでしまうと聞き手が退屈に感じてしまう可能性もあります。なので、楽しい展開を活かすように読み方を変えながら雰囲気を演出しましょう。
モリくんが車を作る場面や動物に食べ物をあげる場面では、落ち着いた雰囲気を演出できるようにゆったりと。洞窟に入る場面ではドキドキを感じられるように声を高く、緩急をつけて。最後のスイートポテトを作る場面ではもう一度ゆったりと。
これはあくまで私が実践している読み方なので、子どもたちの様子に合わせてその場に合った読み方を模索してみるのも面白いと思います。
ポイント2
言葉の面白さに気づく文構成が面白さを深めています。
「モリくんのおいもカー」では登場人物の気分が高揚している場面に合わせてリズムの良い言葉が書かれています。
「はしれはしれおいもカー たったらたのしいおいもカー」「ころころぽてぽておいもカー なんとおいしいおいもカー」といった文があるので、リズムに乗るように読んで登場人物の気分を表現すると共に言葉の面白さも伝えるように意識すると更に本作の面白さが伝わります。
まとめ・Ryuの感想
ストーリーを楽しむ中で自然と学べる事がたくさんあります。
モノを共有する良さ、友だちと過ごす楽しさ、協力する大切さ、言葉の面白さ…「モリくんのおいもカー」の中には沢山のメッセージや思いが込められています。
それを押し付けがましく伝えているのではく、物語の中で自然と感じる事ができるように配慮されている点が個人的にとても気に入っています。
子どもに読み聞かせをするときは、「メッセージを伝えよう」とは全く思っておらず「感じてくれたらいいな」と思いながら読む程度です。本作を通じて何を感じるかは子ども次第なので、押し付けることは避けましょう。
物語が非常に面白いので、読み聞かせの際も集中して見ている子がとても多い印象があります。ワクワク・ドキドキしながら聴いているのがその表情からうかがえる作品です。
物語の中にメッセージがある。そんな素敵な一冊です。
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