【4,5歳児おすすめ絵本】じぶんだけのいろ【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】
「じぶんだけのいろ」は私が”豊かな色彩を美しい・綺麗だと感じて欲しい””自分がどんな存在なのか考えるきっかけとなって欲しい”というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。
- 色の美しさに気付き自分で表現しようとする
- 自分の好きなものや好きな事を考え、自分がどんな人間か考えようとする
- 友だちの大切さに気付く
作品紹介
「じぶんだけのいろ」はこんな絵本!
「じぶんだけのいろ」ってどんな内容の絵本?
そんな疑問にお答えするために「じぶんだけのいろ」を簡単にまとめてみました。
- 「スイミー」などの著者「レオ・レオ二」の代表作の1つ
- 内容と共に色彩豊かな色が楽しめる
- 自分の持っているもの、今あるものを考えるきっかけになる
まるわかりQ&A
あらすじ・ストーリー・内容
自分の色を探し続けたカメレオンの寂しくも温かい、美しい作品。
オウムは緑、金魚は赤、象は灰色、ブタは桃色、みんなはそれぞれ自分の色があるけれど、カメレオンは別。レモンの上では黄色、ヒースの茂みでは紫。行く先々で色が変わる。
ある日カメレオンは思いつきます。「ずっと緑の葉っぱの上にいればずっと緑でいられる、自分の色が持てる」と。緑にはなったが、秋が来ると葉っぱの色と共に黄色、赤になり、そして冬になり葉が落ちると真っ黒になった。
春がくると緑の草の中にもう一匹のカメレオンを見つけた。二匹は自分の色を持てない悲しみを話した。そして、もう一匹のカメレオンが「一緒にいてみないか」「行く先々で色は変わるけど君と僕はいつも同じ」と提案した。
そして二匹は一緒に暮らした。緑、紫、黄色、キノコの上では赤に白の水玉模様に一緒になった。二匹は微笑み合っている。
子どもだけでなく、大人にも深く届くレオ・レオニの傑作です。
こんな方におすすめ
以下の項目に当てはまる方に「じぶんだけのいろ」はぴったりの絵本です!購入を検討してみましょう。
- 色使いが美しく、視覚的に楽しめる絵本を探している
- 自分のことを考えるきっかけになる絵本を探している
絵本比較!あなたに合った絵本を探そう!
「じぶんだけのいろ」は探している絵本とは違った…。そんなあなたにはこちらをおすすめ!
絵本で絵の具遊びが楽しめる?「いろいろいろのほん」
絵の具によって描かれた絵本。それぞれの色が紹介されたり、混ぜたら何色になるのかなどの実験的な遊びが子どもの好奇心をくすぐります。色の種類や名前を知りながら楽しめる一冊です。
聞き手も参加しながら色に親しみを持てる絵本を探している時にはこちらをおすすめ。
お互いの違いを認め合う良さが分かる「くれよんのくろくん」
赤は花、青は空、緑は草木…それぞれの色にしか出せない個性があります。でも黒は…?ある事がきっかけで煙たがられていた黒にしか出来ない事を見つけます。みんな違ってみんな良い、そんな事が感じられる一冊です。
楽しい展開と共に自分の良さや強みに気付いて欲しい時にはこちらをおすすめ。
目的・ねらい
絵本はそれぞれ作者の願いや思いが込められています。その思いを汲み取り、絵本を読むときに目的やねらいを持つ事をおすすめします。以下の「目的・ねらい」はRyuが読み聞かせをするときに大切にしている事です。参考にしてみてください。
- 様々な色に気付き、色を美しいと感じる
- 自分について考えてみようとする
目的・ねらい1
色の多さ、美しさに気付くことができます。
「じぶんだけのいろ」は自分の持っているものや自分とは何なのか、という哲学的なメッセージも感じられる深い作品です。しかし、一方で深く考えずとも視覚的に楽しめる色が豊かに描かれています。
また、色と主人公であるカメレオンの相性が良く、ストーリーを楽しむ中でカメレオンに自然と意識が行くので場面によって色が変わっていく様を存分に楽しむ事ができます。
背景が白でそれぞれの色がよく目立っていて、且つ鮮やかすぎない優しい色使いも読んでいて心地良く感じられ色の魅力が伝わってきます。
目的・ねらい2
自分の色は何なのか。自分のことを知るきっかけになります。
行った先々で色が変わってしまうカメレオンは自分の色を探し求めます。本作で言う色は“性格”などの言葉に置き換えられ、人間にとって「自分が何者であるのか」を考えさせられます。
子どもにとっては「自分がどのような人物か」を考えることは難しいことかもしれません。しかし、「じぶんだけのいろ」を通じて「私は◯◯が好き」「僕は優しいかもしれない」といった自分自身のことについて考えるきっかけになり得るでしょう。
成長して行く中で本作の内容がより深く理解できるようになるので、幼児期以降も楽しめる作品となっています。
チェックポイント
現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。
年齢 | 幼児期、特に4歳児 |
季節 | 一年中 |
行事 | 関係なく楽しめる |
対象年齢
4、5歳児頃がおすすめです。
自分がどのような人であるのか、自分を理解してくれる人の重要性など、幼児期の子にも理解するのが難しいと思われるようなメッセージが含まれています。
しかし、そんな難しいメッセージを親しみやすい内容で、楽しみながら感じる事ができる作品となっています。4歳児頃になると少しずつ本作のメッセージも感じられるようになるでしょう。
文字量はとても少なく色使いも綺麗で親しみやすいので、色だけを楽しむなら2歳児頃からでも楽しむ事ができます。
時期・季節・行事
自分自身の事を少しずつ考えられるようになってきた頃がおすすめです。
周りの友だち等と比べた時に自分がどのようなものが好きで、どのような事が得意か、またどのような事が苦手なのかなどを感じ「私って〇〇」と、自分がどのような人物なのかを考えられるようになってきます。
そのような時期に合わせて読む事で、色彩を楽しむだけでなく本作のメッセージを感じ、自分と向き合うきっかけになったり、友だちの存在について考えるきっかけになるでしょう。
季節や行事に関する描写はないので、一年中読むことができ、子どもの様子に合わせて楽しむ事ができます。
読み聞かせのポイント
「じぶんだけのいろ」を読み聞かせをする中で意識しているポイントです。読み方を少し意識するだけで内容がぐっと伝わりやすくなります。読み聞かせをする中で自分なりのポイントも探してみるのも面白いですよ。
- ゆったりと落ち着いた雰囲気で読みましょう
- メッセージは伝えず、聞き手の感想を大切にしましょう
ポイント1
作品の持つ雰囲気を大切に読みたい一冊です。
「じぶんだけのいろ」は作品全体を通して落ち着いた雰囲気のある作品です。ゆったりとした声色やゆっくり読むことを意識して読むと聞き手に作品の雰囲気を伝えやすくなります。
カメレオンの言葉もありますが、あまり感情を込めずに淡々と読んだ方が作品のメッセージ性なども伝えやすくなるのでおすすめです。
ポイント2
何を感じるかは聞き手次第!
本作を通じて自分の事について考えるきっかけになったり、気心が合う存在の大切さに気付くなど大人からすると感じて欲しいものは沢山あります。
しかし、大人が考える感じて欲しいメッセージ性を無理やり押し付けないように気を付けましょう。聞き手が「じぶんだけのいろ」を通じて何を感じるかは聞き手の自由です。
もしかしたら自身の事を考えるきっかけになるかもしれませんが、「色が綺麗だった」「カメレオンが可愛かった」などの感想も素敵な感想の1つとして受け止め、まずは作品自体を好きだと感じてもらいましょう。
まとめ・Ryuの感想
美しい色と美しいメッセージが詰まった作品です。
「じぶんだけのいろ」の魅力は何といってもパッと見た時の色彩の豊かさ。鮮やかすぎない色が落ち着きを感じさせてくれ、ぐっと作品の世界観に引き込んでくれます。
そしてもう1つの魅力は哲学的とも言える深い内容。「自分がどんな人間なのか」「自分の個性とは何か」「自分を理解してくれる人の大切さ」など、大人でも悩むような内容が作品の中に自然と描かれています。
実際に読み聞かせをすると自身のことを考えたりするような様子はあまり見られず、色が度々変わるカメレオンに興味深々です。しかし、それでいいのです。恐らく心のどこかで本作のメッセージを感じ取っているはずです。
難しいことが易しく丁寧に描かれた作品。誰しもに一度は読んで欲しい名作です。
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