【3,4歳児おすすめ絵本】たなばたバス【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】

「たなばたバス」は私が”七夕について知り、七夕を楽しいものだと認識してほしい””周りの人を助ける良さを感じて欲しい”というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。
- 七夕に関連するモノを知り、興味を持つ
- ストーリーを楽しむ中で、七夕の訪れを楽しみにする
- 人を助ける事を前向きに感じる
作品紹介
「たなばたバス」はこんな絵本!
「たなばたバス」ってどんな内容の絵本?
そんな疑問にお答えするために「たなばたバス」を簡単にまとめてみました。
- ストーリーと共に行事に触れられる「いただきバス」シリーズの七夕編
- 七夕に関連するモノの名前や雰囲気を楽しい展開と共に感じられるのが魅力的
- 人助けが当たり前のように描かれていて、人を助けた先の素晴らしさも描かれている
まるわかりQ&A
あらすじ・ストーリー・内容


人助けをする良さが根底にある七夕色満載のストーリーです。
「おはようございバス」と七夕飾りをつけたバス”たなばたバス”がやってきました。今夜は七夕!でも天気予報は大雨。しかも、「雨だと彦星様に会えません。どうか晴れますように」という織姫様が書いた短冊が空から降ってきました。
そうと知って会えなかったら可哀想だと思い、ねずみたちは織姫様を助けにバスに乗って空まで出発!バスに乗りながら腕を広げてぐるぐる回り、雨雲を吹き飛ばそうと試みますが雨雲がいっぱいで吹き飛びません。
そこで「良い事思いついた!」と言って、ねずみくんが七夕飾りをバスの鼻にこちょこちょすると…「ぶはっくしょん!」とバスがくしゃみをして、あまりの勢いに雲も吹き飛んでしまいました。
綺麗な星空が見えると織姫様と彦星様はカササギの橋を渡りながら会うことができました。会うことが出来たお礼にと天の川に冷やしてあるあるものくれると言います。天の川に釣竿を入れて引っ張ると…100人分はある大きなスイカ!
ねずみくんたちだけでなく、織姫様と彦星様も一緒に大きなスイカを食べる事ができました。
笑いながら七夕に触れられる楽しい作品です。


こんな方におすすめ


以下の項目に当てはまる方に「たなばたバス」はぴったりの絵本です!購入を検討してみましょう。
- 七夕に関連するモノを楽しみながら知る事が出来る絵本を探している
- 人を助けた先にどのような良い事が待っているのかを感じられる絵本を探している
絵本比較!あなたに合った絵本を探そう!
「たなばたバス」は探している絵本とは違った…。そんなあなたにはこちらをおすすめ!


周りの人を助ける行為について考えさせられる「つきのうさぎ」
自ら犠牲になってまで人を助ける意味、尊さ、疑問を感じられる絵本。月に兎がいる理由にも繋がっており、教養としての一面も大きいです。悲しいけれど、強いメッセージが込められた一冊。
人を助ける行為についてより深く考えたい時にはこちらをおすすめ。


七夕伝説について深く知ることができる「たなばたさま」
七夕の夜に何故、織姫と彦星が会う事ができるのか、どうして一年に一度しか会えなくなってしまったのかが分かりやすく描かれています。好きな事ばかりをしていてはいけない事もあるという教訓的な側面も描かれています。
七夕の由来をしっかり伝えたい時にはこちらをおすすめ。
目的・ねらい


絵本はそれぞれ作者の願いや思いが込められています。その思いを汲み取り、絵本を読むときに目的やねらいを持つ事をおすすめします。以下の「目的・ねらい」はRyuが読み聞かせをするときに大切にしている事です。参考にしてみてください。
- 七夕の存在や関連するモノを知り、七夕に興味を持つ
- 周りの人を手伝ったり助けようとする
目的・ねらい1
楽しいストーリーと共に自然と七夕に触れることができます。
「たなばたバス」は、ねずみたちとバスとの楽しいやり取りをベースにそこへ七夕の要素がうまく絡んでいるため、”ストーリーを楽しんでいたら七夕の事をいつの間にか知っていた”という状況を作り出すことができます。
それぞれの由来などの説明はありませんが短冊、七夕飾り、織姫と彦星、そしてカササギなど七夕に関連するモノがしっかりと押さえられており、七夕に興味を持つきっかけとしては十分な情報がストーリーを通して描かれています。
知識を詰め込む訳でなく、あくまで楽しみながら七夕に触れられる工夫が感じられます。
目的・ねらい2
困っている人がいたら助けるという感覚、その結果を知ることができます。
物語の冒頭で「雨だと彦星に会えない」と織姫が書いた短冊が出てきます。それを見たねずみたちは困っている人がいるから助けるという利害関係など一切ない状況ではありますが、空まで行って一生懸命織姫の困りごとを解決しようとします。
そんな見返りを求めず人を助ける姿を見ると人を助ける行為がとても素晴らしい事、また気持ちの良い事であることが感じられます。そして、最後には自分たちのやったことが繋がり大きなスイカを得ることが出来ました。
見返りを求めず人を助け、その結果何かしらの形で自分たちに何かが返ってくるという実際の生活の中でも目にする光景を見る事で、子どもの頃は難しいかもしれませんが、大きくなった時にも心の片隅にこうした感覚が残っているでしょう。
チェックポイント


現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。
年齢 | 幼児期、特に3歳児 |
季節 | 夏 |
行事 | 七夕 |
対象年齢
幼児期以降がおすすめです。
七夕に興味や親しみを感じることができる作品なので、行事のことなどが少しずつ理解できるようになる3歳児頃に読む事で面白いストーリーを楽しみながら七夕について知る事ができます。
堅苦しくなく明るい雰囲気で読めるので、行事に興味を持てない子などにも純粋なストーリー物の絵本として楽しむことができます。
時期・季節・行事
友だちとの関わりやお手伝いをすることが増えてきた頃がおすすめです。
日頃の生活の中で友だちとの関わりが増え、人間関係が構築されてきた頃や手伝いなどを自らする事で人に喜ばれる感覚がどのようなものなのかを感じ始めた頃に合わせて読むことで本作のテーマの1つである人助けが実生活に繋がっていきます。
他者を助ける描写を見る中で、他者の為になる喜びや自分の行ったことが返ってくることを感じる事ができるでしょう。
七夕がメインの話なので、季節は夏、行事は七夕に合わせて読むことで季節感や七夕を楽しみにする気持ちを育みながら「たなばたバス」に触れる事ができます。
読み聞かせのポイント


「たなばたバス」を読み聞かせをする中で意識しているポイントです。読み方を少し意識するだけで内容がぐっと伝わりやすくなります。読み聞かせをする中で自分なりのポイントも探してみるのも面白いですよ。
- 楽しい雰囲気や声を作って読みましょう
- 人助けを強要しないように配慮しましょう
ポイント1
明るく読んで七夕にも楽しい印象を!
展開が面白いので特に意識をしなくても聞き手は楽しみながら聞いてくれます。しかし、盛り上げる所を意識して作る事で聞き手はより絵本の世界に入り込み集中して聞くことが予想されます。
例えば、バスが空に出発する場面での「5,4,3,2,1…」のカウントダウンをする所を聞き手も巻き込みながら一緒に読んで盛り上げたり、バスがぐるぐる回ったり、くしゃみをする場面では声を意識的に高くして面白可笑しく読んだりと、様々な工夫をすることができます。
折角なら七夕に前向きな印象を持って欲しいので、ちょっとだけでも意識することをおすすめします。
ポイント2
メッセージを伝えたい思いをぐっと堪えて!
「たなばたバス」には裏表紙にも作者の人助けに対しての思いが書かれており、七夕に関してだけでなく人助けに関する事も伝えたい作品となっています。
しかしながら人助けに関するメッセージを伝えたいがあまり読んだ後に「人を助けるのは良い事だね」「みんなも助けよう」と言ってしまっては折角の楽しい内容が薄れてしまいかねません。
人助けに関するメッセージが伝わればラッキー程度に思っておいて、まずは作品の面白さがしっかりと伝わるように読むことを意識しましょう。


まとめ・Ryuの感想


笑いながら七夕に親しみが持て、人助けについても考えさせられる一石二鳥の作品です。
「たなばたバス」のみならず「いただきバス」シリーズ全部に言えることですが、まずストーリーが面白い!笑える要素があるということは子どもにとって”面白い”と感じる1つの大きな要因なので、どんな子にも親しまれる読み易い絵本です。
そんな読み易いストーリーの中に七夕の要素が自然と入っているので、ストーリーを楽しみながらも七夕の存在に気付き、モノの名前や見た目も知る事が出来る素敵な構成になっています。
また、人を助ける事に関してもねずみくんたちの姿勢から考えさせられますし、助けた先にある喜びなども描かれていることから、助ける事に対しても前向きに捉えられる工夫が感じられます。
実際に読むとやはり展開に笑って楽しんでいる子が多く、「うわー!」「スイカでかい!」など声を出しながら楽しんでいる姿が印象的です。
七夕の事をこれから知る子に対しておすすめしたい一冊です。



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