【1,2歳児おすすめ絵本】くだもの【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】
「くだもの」は私が”果物を知り、興味を示してほしい””身近な人と気持ちを通わせる温かさを感じてほしい”というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。
作品紹介
作 | 平山 和子 |
出版社 | 福音館書店 |
発行日 | 1981 | /10
値段 | ¥990 |
大きさ・ページ数 | 22×21cm/24P |
「くだもの」はこんな絵本!
「くだもの」ってどんな内容の絵本?
そんな疑問にお答えするために「くだもの」を簡単にまとめてみました。
- 発行部数180万部を超えるミリオンセラー作品。
- 本物の様に描かれた美味しそうな果物が楽しめる。
- 果物を切った時の中身も分かり、身近な人と美味しさを共有できる。
まるわかりQ&A
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あらすじ・ストーリー・内容
リアルで美味しそうな果物を一緒に味わえます。
「すいか」の文字とまん丸の美味しそうなスイカの絵が描かれています。ページをめくると切られてお皿に置かれた真っ赤な美味しそうなスイカと「さあ どうぞ」の文字。
次は左のページにみずみずしそうな桃と右のページには切られた美味しそうな桃の絵。「さあ どうぞ」
次はブドウとマスカット、なし、りんご、栗、柿、みかん、いちご…。どれもみずみずしくておいしそうです。
最後はバナナ。でもバナナはそのまま。バナナの皮むけるかな?
上手に剥けていただきます。
子どもと大人で”美味しい”が共有できる一冊です。
こんな方におすすめ
- 果物が丁寧に描かれていて、中身まで分かる絵本を探している
- 身近な人と同じ気持ちになり安心感を得られる絵本を探している
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「くだもの」は探している絵本とは違った…。そんなあなたにはこちらをおすすめ!
果物の名前が楽しく分かる仕掛け絵本「くだものさん」
多くの果物が仕掛けと共に登場する楽しい絵本。毎ページに「くだものさん くだものさん だあれ」と一定の言葉が書かれているので、何度も読んでいる中で子どもも自然と言葉を覚えて、大人と一緒に読む楽しさが味わえます。
仕掛けと共に楽しく果物に親しみが持ちたい時に読みたい一冊です。
子どもと言葉のやり取りが楽しめる「おべんんとうバス」
お弁当の具材が次々にバスに乗り込み、最後は「いただきます」を皆で楽しめる絵本。食べ物の名前を読むとついつい子どもが「はーい」と返事をしてしまい子どもとのやり取りが楽しめます。
食べ物にも関心が持てる一冊です。
目的・ねらい
- 果物に興味を持ち、食べてみようとする
- 身近な人と同じ気持ちを共有し、安心して絵本を楽しむ
目的・ねらい1
食べてみたくなるような魅力的な果物がいっぱい!
「くだもの」の最大の特徴であり、最大の魅力であるのがまるで本物のように描かれた美味しそうな果物たち。そして、その果物の外見だけでなく切った時の絵もどれもみずみずしそうに描かれています。
子どもだからと言ってデフォルメされた果物が良い訳ではありません。寧ろ言葉よりも絵による情報の方が入りやすい子どもにとって食べ物は本物に近づけて描いた方が想像が広がる事も大いに考えられます。
思わず絵に手を伸ばして食べてしまいたくなる果物が沢山あり、果物の名前や見た目を知るだけでなく、本物を見た時には「これ知ってる」と思い、どこか親しみを感じながら食べる事が出来るでしょう。
目的・ねらい2
「美味しいね」が一緒に楽しめる。
美味しそうな切られた果物の絵と共に「さあ どうぞ」という言葉が添えられていて食べない子はいません。
子どもが味わっている側で読んでいる大人も一緒に果物を味わう事で「美味しいね」という気持ちを自然と共有する事ができます。
子どもは身近な人に気持ちを理解してもらえる事は非常に嬉しいこと。気持ちを理解してもらえる事が安心感や自己肯定感に繋がっていくとされています。
「くだもの」を通して同じ気持ちを共有し、「この人は私の気持ちを理解してくれている」という安心感を抱きながら絵本を楽しむ時間を過ごすことが出来ます。
チェックポイント
現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。
年齢 | 乳児期、特に1歳児 |
季節 | 一年中 |
行事 | 関係なく楽しめる |
対象年齢
乳児期にぴったりの絵本です。
果物とその果物が切られた絵。文字は果物の名前と「さあ どうぞ」のみの非常にシンプルな構成になっています。
シンプルが故に果物そのものに集中できる構成となっていて、乳児期の子であっても最後まで集中を切らさずに楽しむ事ができます。
0歳からも問題なく楽しむ事が出来ますし、果物の存在を認識し、名前と見た目の一致もできてくる1,2歳児にもピッタリな作品です。
時期・季節・行事
果物の存在を認識し始めた頃がおすすめです。
食事の時に果物を好んで食べるようになったり、果物を見て指差しして喜ぶような姿が見られるようになった頃に読むことで興味を示しながら本作の魅力を存分に楽しむ事ができるでしょう。
果物の旬などはありますが、今では一年中食べられる果物が殆どなので、季節や行事とは関係なく読む事ができます。
読み聞かせのポイント
- 絵をじっくり見せて食べる時間を作りましょう
- 落ち着いた温かい空間を作ってから読みましょう
ポイント1
淡々と読んでしまうと面白さ半減です。
文字の読み聞かせも勿論大切ではありますが、「くだもの」は聞き手と読み手が果物を食べて、気持ちを共有するまでが一連のセットのような作品であり、文字だけを読んで次々とページをめくってしまうのはあまりにも勿体ない読み方です。
文字を読む、絵を見せる、聞き手が食べる、読み手も食べる、「美味しいね」を共有する…という流れの時間を十分に確保しながら読むことで聞き手も果物を十分に味わい、安心感を得ながら絵本を楽しむ事ができるでしょう。
ポイント2
盛り上げるよりもゆったりと楽しめるように。
果物を味わうと共に読み手と聞き手の繋がりも一緒に味わいたい作品なので、盛り上げてバクバクと食べるというよりは落ち着いた雰囲気の元、一人一人がゆっくりと食べ物を味わい「美味しいね」を身近な人と共有できるような環境作りを意識すると良いでしょう。
ただ、聞き手がそういう気分ではない時もあるので聞き手の気分に合わせて早めに食べるように読んでも大丈夫です。
基本的にはゆったりと読みますが、大事なのは読み手のその時の様子に合わせて読み方も変える事です。
まとめ・Ryuの感想
単なる食べ物の絵本ではありません。
私が初めて「くだもの」を読んだ時には正直、単に果物を紹介しているだけの絵本だと思っていました。
しかし、実際に子どもたちに読み聞かせをする中で子どもたちの反応を見ていると果物を認識する絵本というよりも読み手や周りにいる友だちとのやり取りを楽しんでいる事が多いのに気づきました。
文の中に「さあ どうぞ」という一言が添えられているだけで、聞き手も本作の一部になれるような素敵な工夫がなされているのです。
同作者が描き、本作「くだもの」と同じような構成で野菜が楽しめる作品もあるので野菜に前向きなイメージを持って欲しいと思っている方はそちらも合わせて読むことをお勧めします。
果物だけでなく、身近な人との繋がりも感じられる温かい傑作です。
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