【2,3歳児おすすめ絵本徹底レビュー】おつきみおばけ【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】
「おつきみおばけ」は私が”お月見という行事を知って欲しい””おばけに自分を重ねて、優しさとは何かを感じて欲しい”というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。
- お月見を知り、興味を抱く
- 優しさを感じる
- おばけに親しみを持つ
作品紹介
「おつきみおばけ」はこんな絵本!
「おつきみおばけ」ってどんな内容の絵本?
そんな疑問にお答えするために「おつきみおばけ」を簡単にまとめてみました。
- ミリオンセラー作家せなけいこさんのおばけ×お月見を描いた作品
- お月見に行う事や関連する物を知る事ができる
- 優しさについて考えられる
まるわかりQ&A
あらすじ・ストーリー・内容
お月見の夜におばけが泣いているうさぎを慰めようとしますが…。
小さなおばけがママと離れて泣いているうさぎを見つけます。
今日は十五夜。親切なおばけはお月見の準備をしてあげます。しかし、うさぎさんはお団子がないと嫌だと泣いてしまいます。
そこでおばけがお団子に化けてあげますが、うさぎは本物だと思ってガブリ!おばけが泣いているところにお団子を買ってきたお母さんが帰ってきました。最後はみんなで仲良くお月見をすることができました。
優しさとは何かを教えてくれる優しい絵本です。
こんな方におすすめ
以下の項目に当てはまる方に「おつきみおばけ」はぴったりの絵本です!購入を検討してみましょう。
- お月見に関する絵本を探している
- 優しさについて考えることができる絵本を探している
絵本比較!あなたに合った絵本を探そう!
「おつきみおばけ」は探している絵本とは違った…。そんなあなたにはこちらをおすすめ!
会話ややり取りを楽しみながら月に親しめる「つきよのキャベツくん」
キャベツくんシリーズの第5弾。キャベツくんが歩いているとブタヤマさんがやってきました。でも、よく見るとブタヤマさんではなく豚のような鼻がついているトンカツです。色々あって三日月がトンカツをパクリとしてしまいましたが、お月様はお腹いっぱいで満月になりました。
月の満ち欠けにも気付ける一冊です。
思いやりの心が育まれる「どうぞのいす」
「どうぞのいす」といううさぎが作った椅子から始まる優しさ溢れるストーリー。どうぞのいすに置いてあるものを動物たちは食べてしまいますが、後の動物の事を考えて代わりのものを置いていくのが繰り返されます。
優しさが紡がれていく名作です。
目的・ねらい
絵本はそれぞれ作者の願いや思いが込められています。その思いを汲み取り、絵本を読むときに目的やねらいを持つ事をおすすめします。以下の「目的・ねらい」はRyuが読み聞かせをするときに大切にしている事です。参考にしてみてください。
- お月見に何をするのかを知る
- おばけの行動を見て優しさを感じる
目的・ねらい1
お月見とは何なのか、どんなものを使うのかを知ることができます。
月が多く描かれているので月に関連することであることはすぐに理解できるようになっています。
また、おばけがうさぎと一緒に月にお供えをする場面では、お三宝やすすきなども丁寧に紹介されています。
最後にはみんなでお団子を食べることになるので、お団子を食べることも話の中で自然に理解することができるようになっています。
押しつけがましく何をするのかを伝えるのではなく、ストーリーの中でお月見を知ることができます。
目的・ねらい2
おばけの行動を見て優しさとは何かを感じるでしょう。
ちいさなおばけよりも少し小さいうさぎが泣いているのを見て、おばけはあやそうと試みます。
お月見をしようと誘ったり、お団子に化けてあげたり…。こうした姿を見て「相手に何かをしてあげようとする」ということが優しさであると感じることができるでしょう。
現実の世界でもお兄さんが小さい妹を慰めようと頑張っている姿に重ねることができます。こうした優しさとは何かを知ることによって、現実でもおばけと同じように他者に優しくしようとすることができるのです。
優しさもまずはやり方を知らなければ始まりません。
チェックポイント
現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。
年齢 | 乳幼児期、特に2歳児 |
季節 | 秋 |
行事 | お月見 |
対象年齢
2歳以降がおすすめです。
お月見という行事をそれとなく理解することができるのが2歳頃になるでしょう。たくさんの行事の由来などを理解している5歳児には少し物足りない量です。
しかし、お月見というものを伝えることが目的であれば、4,5歳児でも十分に楽しむことができます。
時期・季節・行事
十五夜が近づいてきた頃に読みましょう。
「おつきみおばけ」のメインは名前の通りお月見です。8月の終わりごろに読んでお月見を楽しみにする気持ちを持つことができるようにしましょう。
季節は勿論夏の終わりから秋。行事は、保育園であればお月見会などの時に読むのに適しています。
読み聞かせのポイント
「おつきみおばけ」を読み聞かせをする中で意識しているポイントです。読み方を少し意識するだけで内容がぐっと伝わりやすくなります。読み聞かせをする中で自分なりのポイントも探してみるのも面白いですよ。
- 感情豊かに読みましょう
- 怖がらせることなく読みましょう
ポイント1
読み方次第で感情移入しやすくなります。
「おつきみおばけ」では”悲しみ”と”喜び”の感情が描写されています。
泣いているおばけや喜んでいるうさぎの絵もあるので、視覚だけでも感情は読み取ることができますが、聴覚でも感情が理解できるように読むと、物語に入り込みやすくなります。
ただ、絵本全体を通して物静かな話になっているので、大げさにやってしまうと絵本の雰囲気を壊してしまう可能性もあります。
雰囲気を壊さない程度に気持ちを込めて読んでみましょう。
ポイント2
おばけは恐怖の象徴ではありません。
「おつきみおばけ」のメインキャラクターはおばけですが、決して怖い話ではありませんし、怖がらせるような目的で読む絵本でもありません。
ついつい恐怖の象徴として捉えられがちなおばけですが、この作品では寧ろ優しさの象徴のように描かれています。
特におばけがお団子に変身してあげるシーンはおばけならではです。
「いい子にしてないとお月見におばけが来るよ」「おばけにお団子食べられちゃうよ」などとは決して言わないよう気を付けましょう。
まとめ・Ryuの感想
お月見だけじゃない!優しさも伝えてくれる絵本です。
絵本のタイトル通りお月見がメインの話になっていますが、それと同じくらい優しさ・親切心についても描かれていると私は感じます。
自分より小さい子が泣いている姿を見て、それをあやそうとするお兄さん・お姉さんとしての優しい気持ちや欲しいものを自分が用意してあげる優しさ、お母さんがおばけの親切を認めてあげる優しさなど、様々な優しさが分かりやすく描かれています。
毎度のことながら、せなけいこさんの作品のあとがきは本当に素晴らしいことが書かれているので、この絵本を子どもに読む前に必ずあとがきを読んでみてください。
せなけいこさんの思いがしっかりと書かれていて、あとがきを読むことで、この絵本の読み方がガラッと変わります。
子どもに読み聞かせをしたときには、2歳児と3歳児で反応が大きく違ったことが印象的です。
まだ他者の心を想像するのが難しい2歳児は純粋に物語を楽しんだり、お月見のことを理解していました。
しかし、3歳児になり他者の気持ちが次第に想像できるようになると「おばけさん可哀想」「おばけ優しいね」といった感想が出てきていました。
作者の意図したように子どもが優しさについて感じることができているのだと、よく分かる反応でした。
お月見の時期に是非読みたい一冊です。
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