【2歳,3歳おすすめ絵本】いいこってどんなこ?【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】
Ryu『いいこってどんなこ?』は、困ったことをしてしまうたびに「それでもいいこ?」と尋ねるうさぎの子に、お母さんが変わらぬ愛情で答え続ける絵本です。行動を叱ることと、存在を否定することは別だと伝えてくれる一冊で、対象年齢は3歳から(保育の現場では1〜2歳児にも活用できます)。
| 対象年齢 | 3歳〜(出版社表記/保育の現場では1〜2歳児からの読み聞かせにも活用可) |
| 季節 | 通年 |
| 行事 | いたずら・かみつきなどを叱った日に |
| 主なねらい | 困ったことをしても愛されていると感じる/行動と自分の存在は別のものだと知る |
| ひとことで言うと | 「それでもいいこ?」と何度尋ねても、答えは変わらないと伝えてくれる絵本 |
『いいこってどんなこ?』はどんな絵本?あらすじ


『いいこってどんなこ?』は、アメリカの絵本作家ジーン・モデシットさんによる、32ページのシンプルな繰り返しの絵本です。1994年に冨山房から刊行され、ロビン・スポワートさんの柔らかい絵とともに、世界中で長く読み継がれています。
あらすじ
うさぎの子は、ミルクをこぼしたり、壁に落書きをしたり、困ったことをしてしまうたびに、お母さんに尋ねます。「それでも、ぼくはいいこ?」
お母さんうさぎは、そのたびに変わらない答えを返します。「こまったことをしても、あなたはいいこよ」——行動を正しながらも、存在そのものへの愛情は揺らがないという姿勢が、最後まで繰り返されます。
書誌情報
| 作 | ジーン・モデシット |
| 絵 | ロビン・スポワート |
| 訳 | もきかずこ |
| 出版社 | 冨山房 |
| 発行日 | 1994年 |
| 値段 | ¥1,540(税込) |
| 大きさ・ページ数 | 20.8×20.8cm/32P |
保育士から見た『いいこってどんなこ?』の使いどころ


この絵本は「叱らなくていい」と教えるための本ではありません。行動は正しながらも、存在への愛情は変えないという、大人にとってもハードルの高い姿勢を、シンプルな繰り返しで見せてくれる本です。
なぜ叱ったあとに効くのか
叱られた直後の子どもは、「もう嫌われたかもしれない」という不安を抱えることがあります。この絵本は、どんな失敗をしても変わらずに「あなたはいいこ」と答え続けるお母さんうさぎの姿を通して、その不安にまっすぐ答えてくれます。
「叱られる」ことと「愛されていないこと」は違う——この一冊で何度も繰り返される問いと答えが、それを体で覚えさせてくれます。
「甘やかし」にはならない理由
この絵本のお母さんうさぎは、「いいこよ」と答える前に、必ず「こまったことをしても」と行動には触れています。行動を容認しているわけではなく、行動と存在を分けて伝えているだけなので、しつけを諦めているわけでも、甘やかしているわけでもありません。
むしろ「ダメなことをした」と「ダメな子」を混同しないための絵本だと捉えると、叱ることと両立させやすくなります。
逆に、向いていない場面
- 危険な行為を止めさせたい瞬間……この絵本は行動の是正そのものを教える本ではありません。まずは行動を止め、落ち着いてから開きましょう。
- 「かして・どうぞ」など具体的な方法を教えたいとき……この絵本は方法を教えません。その目的なら『どうぞのいす』のほうが適しています。
- 叱っている最中……問答無用で読むと「もう許された」と受け取られることがあります。叱ったあと、少し時間を置いてから開くのがおすすめです。


『いいこってどんなこ?』のねらい【指導案にそのまま使えます】


『いいこってどんなこ?』の主なねらいは、「困ったことをしても愛されていると感じること」と「行動と自分の存在は別のものだと知ること」の2つです。保育のねらいとして設定する場合の文例も、このあと掲載しています。
ねらい① 困ったことをしても、ちゃんと愛されていると感じる
この絵本では、「それでもいいこ?」という問いに、お母さんうさぎが一度も答えを変えません。何度失敗しても変わらない答えを繰り返し聞くことで、子どもは安心してその言葉を受け取れるようになります。
「叱られる」ことと「愛されていないこと」は違うと、シンプルな繰り返しの中で伝えられる貴重な一冊です。
ねらい② 行動と自分の存在は別のものだと知る
子どもを叱るとき、大人はつい行動そのものではなく、子どもの人格を否定するような言葉を使ってしまうことがあります。この絵本は「行動」と「存在の価値」を分けて伝えることの大切さを、読み手である大人にも思い出させてくれます。
指導案の文例(コピーしてお使いください)
- ねらい:困ったことをしてしまった経験を絵本と重ね、行動を正されても自分の存在は否定されていないと感じる。
- 内容:繰り返しのある短い問いと答えのやりとりを楽しみ、うさぎの子の気持ちに自分を重ねながら聞く。
- 予想される子どもの姿:「それでもいいこ?」の場面で自分の経験を思い出す。お母さんうさぎの答えに、ほっとした表情を見せる。
- 保育者の援助:問いかけと答えの声のトーンを変えて読み、読後に「大好きだよ」など安心できる言葉を添える。
『いいこってどんなこ?』は何歳から?対象年齢と読むタイミング


出版社が示す対象年齢は3歳からですが、繰り返しのシンプルな構成のため、保育の現場では1〜2歳児から読んでも十分に楽しめます。叱られる経験が増えてくる年齢ほど、内容が自分ごととして響きます。
年齢別の読み方
| 1〜2歳児 | 言葉の意味より、問いと答えの繰り返しのリズムを楽しむ時期。いたずらが増え始める年齢でもあります。 |
| 3〜4歳児 | いちばんの読みごろ。叱られた経験と結びつき、自分の姿として受け取れます。 |
| 5歳児〜 | 「行動」と「存在」を分けて考える視点そのものを理解できる時期。話し合いの導入にも。 |
読むタイミング
季節を問わず、年間を通して読める絵本です。いたずらやかみつきを叱ったあとに読むことで、子どもの不安な気持ちに寄り添うきっかけになります。叱った直後よりも、少し気持ちが落ち着いてから開くのがおすすめです。


読み聞かせのポイント3つ


①「それでもいいこ?」は少し不安そうな声で読む
うさぎの子がおそるおそる尋ねる場面は、少し不安そうな、小さな声で読んであげると、子ども自身が抱える不安な気持ちと重なりやすくなります。
② お母さんうさぎの答えは、ゆっくり優しい声で読む
「こまったことをしても、あなたはいいこよ」という答えは、この絵本のいちばん大切な言葉です。ゆっくりとしたテンポで、温かさが伝わるように読んであげましょう。
③ 読み終えたあとに、言葉を重ねる
読み終えたあとに「〇〇も、いいこだよ」と実際に伝えてあげるだけで、絵本の中の安心感が現実の言葉として子どもに届きます。特別なことをしなくても、抱きしめるだけでも十分です。
『いいこってどんなこ?』と似ている絵本・次に読むなら


言葉でまっすぐ安心感を伝えたいならだいじょうぶだいじょうぶ
おじいちゃんの言葉に包まれる一冊。問いかけと答えの繰り返しより、静かな語りかけで安心させたい方に。


さまざまな感情そのものに触れたいならどんなきもち?
嬉しい・悲しいなど幅広い気持ちを紹介する一冊。愛情の伝え方より、気持ちの種類を知ることを重視したい方に。
『いいこってどんなこ?』のよくある質問
まとめ:「それでも、いいこ」と伝えてくれる一冊


- 対象年齢は3歳から。1〜2歳児からの読み聞かせにも活用できるシンプルな繰り返し絵本
- 「行動」と「存在」を分けて伝える、叱ることと両立できる数少ない一冊
- 甘やかしではなく、愛情の伝え方を教えてくれる絵本



叱ったあとの気まずさを感じている大人にこそ、読んでほしい一冊です。「それでも、いいこ」——この言葉を、ぜひ実際にも伝えてあげてください。
この記事を書いた人
Ryu(保育士)
保育士歴10年以上。現在はインターナショナルスクール形式の保育園を運営し、今も毎日子どもたちに読み聞かせを行っています。年齢ごとの発達に合わせた絵本選びと、保育のねらいに基づいた読み聞かせを得意としています。当ブログでは、実際に現場で読んだ絵本だけを紹介しています。









