【1歳,2歳おすすめ絵本】きれいなはこ【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】
Ryu『きれいなはこ』は、落ちていた箱を動物たちが「ぼくのだ」と取り合い、最後はおばけに変えられてしまう、せなけいこさんの絵本です。対象年齢は1歳から。物の取り合いが増える1〜2歳児に、説教ではなくユーモアで伝えられる一冊です。
| 対象年齢 | 1歳〜(おすすめは1〜2歳児) |
| 季節 | 通年 |
| 行事 | おもちゃ・物の取り合いがあった日に |
| 主なねらい | 取り合いの気持ちを笑いに変える/取り合いは誰にでも起こると知る |
| ひとことで言うと | 「ぼくのだ」の取り合いが、まさかのおばけオチで笑いに変わる絵本 |
『きれいなはこ』はどんな絵本?あらすじと結末


『きれいなはこ』は、拾った箱をめぐる動物たちの取り合いを、わずか24ページのテンポで描いた絵本です。1972年に福音館書店から刊行された「あーんあんの絵本」シリーズの1冊で、『ねないこだれだ』と同じせなけいこさんの作品です。
あらすじ(結末にはふれていません)
道にきれいな箱がひとつ落ちています。通りかかった動物たちは「ぼくのだ」「ぼくのだ」と口々に主張し、あっという間に取り合いが始まります。
誰も譲らないまま、箱はとうとう開けられることになりました。中に入っていたのは——。
結末(ネタバレあり)
ここから先は結末にふれます。読んでからのお楽しみにしたい方は、次の見出しまで読み飛ばしてください。
箱の中から出てきたのはおばけでした。取り合いをしていた動物たちは、そのままみんなおばけに変えられてしまいます。教訓を言葉で説明することは一切なく、「取り合っていたらこうなっちゃった」で終わる——それがこの絵本の潔さです。
書誌情報
| 作・絵 | せなけいこ |
| 出版社 | 福音館書店(あーんあんの絵本4) |
| 発行日 | 1972年12月 |
| 値段 | ¥880(税込) |
| ページ数 | 24P |
保育士から見た『きれいなはこ』の使いどころ


この絵本は「取り合いをしてはいけない」と教えるための本ではありません。取り合いが起きること自体を前提にして、その空気をゆるめるための本です。現場で使うときは、ここを取り違えないことがいちばん大事だと考えています。
なぜ1〜2歳児にいちばん響くのか
1〜2歳は、「自分のもの」という感覚が育ちはじめる一方で、「貸して」「どうぞ」の言葉がまだ出てこない時期です。取り合いが増えるのは発達の問題ではなく、気持ちと言葉のあいだに差があるからこそ起きます。
この絵本の動物たちは、まさにその状態そのものです。自分と同じことをしている登場人物がいるという安心感が、この年齢にいちばん効きます。
この絵本が「説教」にならない理由
取り合いを扱った絵本の多くは、最後に「仲直りできてよかったね」という着地を用意します。それに対してこの絵本は、因果を一切説明せずにおばけで終わります。
説明がないぶん、子どもは「怒られた」と受け取りません。だから叱ったあとでも、気まずさなしに開ける——これがこの絵本のいちばんの使いどころです。
逆に、向いていない場面
- トラブルのまっ最中・直後……「あてつけ」に受け取られます。落ち着いてから開きましょう。
- 寝かしつけ……おばけが出るため、眠る前には向きません。日中に読む絵本です。
- 「貸して・どうぞ」を教えたいとき……この絵本は方法を教えません。その目的なら『どうぞのいす』のほうが適しています。


『きれいなはこ』のねらい【指導案にそのまま使えます】


『きれいなはこ』の主なねらいは、「取り合いになった気持ちを笑いに変えて楽しむこと」と「物の取り合いは誰にでも起こることだと知ること」の2つです。保育のねらいとして設定する場合の文例も、このあと掲載しています。
ねらい① 取り合いになった気持ちを、笑いに変えて楽しむ
物の取り合いは、1〜2歳児の間で最も起こりやすいトラブルです。この絵本は説教をせず、おばけという予想外の展開で、取り合いの緊張をふっと笑いに変えてくれます。
「取り合いはいけないこと」と教え込むのではなく、「取り合っちゃうよね」という共感から入れるのが、この絵本をねらいに据える最大の利点です。
ねらい② 物の取り合いは誰にでも起こることだと知る
この絵本では、次々といろいろな動物が同じように箱を取り合います。「取り合ったのは自分だけじゃない」と感じられる構成になっているため、叱られた直後の子どもの自己否定感をやわらげる効果があります。
指導案の文例(コピーしてお使いください)
- ねらい:友だちと物の取り合いになる経験を、絵本を通して笑いとともに振り返り、気持ちを切り替えようとする。
- 内容:繰り返しのある短い物語を楽しみ、登場する動物の姿に自分を重ねながら聞く。
- 予想される子どもの姿:「ぼくのだ」の場面を一緒に口ずさむ。おばけが出る場面で驚き、繰り返し読むことを求める。
- 保育者の援助:取り合いの場面をテンポよく読み、結末を責める言葉でまとめない。怖がる子にはそばに寄り添い、読後に安心できる声をかける。
『きれいなはこ』は何歳から?対象年齢と読むタイミング


出版社が示す対象年齢は1歳からで、保育の現場でいちばん効果を感じるのは1〜2歳児です。言葉が短くページ数も24ページと少ないため、集中が続きにくい年齢でも最後まで聞けます。
年齢別の読み方
| 0〜1歳児 | 意味の理解より、「ぼくのだ」の繰り返しの音を楽しむ時期。おばけの場面は明るいトーンで。 |
| 1〜2歳児 | いちばんの読みごろ。実際の取り合い経験と結びつき、自分の姿として受け取れます。 |
| 3歳児〜 | オチの面白さそのものを楽しむ時期。「どうしておばけになったの?」と話し合う導入にも。 |
読むタイミング
季節を問わず、年間を通して読める絵本です。おもちゃの取り合いがあった日に読むと気持ちの切り替えのきっかけになりますが、トラブルの直後は避け、少し落ち着いてから開くのがおすすめです。直後に読むと「叱られている」と受け取られてしまうことがあります。
読み聞かせのポイント3つ


①「ぼくのだ、ぼくのだ」はテンポよく繰り返す
動物たちが次々に箱を取り合う場面は、テンポよく元気に読むことで、子どもも一緒にリズムを楽しめます。深刻な言い合いではなく、遊びの延長として読みましょう。子どもと声を合わせて言ってみるのもおすすめです。
② おばけの場面は一呼吸おいてから
箱を開けておばけが出る場面は、この絵本の見せ場です。ページをめくる前に一呼吸おくだけで、驚きと笑いが何倍にもなります。
③ 読み終わりに教訓をつけ足さない
つい「だから取り合いはやめようね」と言いたくなりますが、この絵本は説明しないからこそ届きます。まとめの言葉を足さず、笑ったまま閉じるのがいちばん効果的です。


『きれいなはこ』は怖い?こわがる子への配慮
おばけが出てきて動物たちがおばけに変わるため、こわいと感じる子はいます。ただし『ねないこだれだ』のように主人公が連れて行かれて終わるわけではなく、おばけの絵もユーモラスなので、こわさの度合いは比較的おだやかです。
- こわがりやすい子には、驚かせすぎず優しいトーンで読む
- 寝る前ではなく、日中の明るい時間に読む
- 読後に「おばけさん、面白い顔だったね」と笑いに戻す声かけを添える
- それでも苦手な子には、無理に読まず別の絵本に切り替える
『きれいなはこ』と似ている絵本・次に読むなら


同じせなけいこさんの代表作ならねないこだれだ
寝ない子がおばけにされてしまう一冊。同じ貼り絵とテンポを、生活リズムのテーマで味わいたい方に。こわさは『きれいなはこ』より強めです。


「取り合い」ではなく「分け合う」を伝えるならどうぞのいす
いすに置かれた食べ物を分け合っていく名作。ユーモアで笑わせるより、譲り合う優しさを正面から描きたい方に。
『きれいなはこ』のよくある質問
まとめ:取り合いを笑いに変えてくれる一冊


- 対象年齢は1歳から。24ページと短く、集中が続きにくい年齢でも最後まで聞ける
- 物の取り合いを、説教ではなくユーモアで受け止められる数少ない一冊
- おばけが出るため、こわがりやすい子には読み方の配慮を



毎日のように起こる「ぼくのだ」の取り合い。深刻に叱る前に、一度この絵本で一緒に笑ってみてください。空気がふっと軽くなります。
この記事を書いた人
Ryu(保育士)
保育士歴10年以上。現在はインターナショナルスクール形式の保育園を運営し、今も毎日子どもたちに読み聞かせを行っています。年齢ごとの発達に合わせた絵本選びと、保育のねらいに基づいた読み聞かせを得意としています。当ブログでは、実際に現場で読んだ絵本だけを紹介しています。









