Ryuかみつきやお友だちとのトラブルは、子どもが成長する過程で自然に起こるものです。決して「悪い子」だからではなく、気持ちを言葉でうまく伝えられない発達段階にいるからこそ起きています。
この記事では、現役保育士の視点から、かみつきの背景にある気持ちの発達と、貸して・順番・けんかといったお友だちトラブルへの向き合い方を、絵本を通してサポートする方法をご紹介します。
- かみつきが起こる理由と、絵本を通した気持ちの受け止め方
- 「かして」「どうぞ」のやりとりを育てる絵本の選び方
- けんか・仲直りを通して友達の気持ちを想像する力の育て方
- 年齢・場面別におすすめの絵本8選
なぜかみつき・お友だちトラブルが起こるの?


0〜2歳頃のかみつきは、「気持ちはあるけれど言葉がまだ出てこない」という発達段階でよく見られます。噛むこと自体を強く責めるのではなく、「イヤだったんだね」「使いたかったんだね」と気持ちを代わりに言葉にしてあげることが大切です。
2歳を過ぎると、「かして」「まだ使ってる」といった言葉のやりとりが少しずつできるようになりますが、まだ気持ちのコントロールが未熟なため、けんかやトラブルは日常的に起こります。絵本は、こうした気持ちを子ども自身が「自分ごと」として理解する手助けをしてくれます。
目的1:かみつき・気持ちを言葉にする前の時期におすすめの絵本(0〜2歳)
『いいこってどんなこ?』


作:ジーン・モデシット/絵:ロビン・スポワート/訳:もきかずこ/冨山房
うさぎの子が、ミルクをこぼしたり、壁に落書きをしたり、こまったことをしてしまうたびに「それでもいいこ?」とお母さんに尋ねます。お母さんは「こまったことをしても、あなたはいいこよ」と、行動と存在を分けて何度も伝えてくれます。
『きれいなはこ』


作:せなけいこ/福音館書店
きれいな箱が落ちていて、動物たちが「ぼくのだ、ぼくのだ」と取り合いになってしまいます。箱を開けると、中からおばけが出てきて、けんかをしていた動物たちがおばけに変えられてしまう——という、せなけいこさんらしいユーモラスな結末の絵本です。


目的2:貸して・順番・分け合うことを学べる絵本(2〜4歳)
『そらまめくんのベッド』


作:なかやみわ/福音館書店
ふわふわのベッドが自慢のそらまめくんは、はじめは誰にもベッドを貸してあげません。しかし、いろいろな出会いを通して、少しずつ「貸してあげる」ことの心地よさに気づいていきます。


『えんそくバス』


作:三宮麻由子/絵:ふくだじゅんこ/福音館書店
遠足に出かける動物たちが、バスの中でお弁当やおやつを少しずつ分け合っていく様子が描かれます。誰かに分けてあげることで、遠足がもっと楽しくなっていく過程が温かく伝わります。


『どうぞのいす』


作:香山美子/絵:柿本幸造/ひさかたチャイルド
うさぎが作った「どうぞ」のいすに、次々と動物たちがやってきて、置かれた食べ物を少しずつ食べては新しいものを置いていく——優しさが自然に連鎖していく様子が描かれた名作です。


目的3:けんか・仲直り・友達の気持ちを考える絵本(4〜5歳)
『てぶくろ』


作:エウゲーニー・M・ラチョフ/訳:うちだりさこ/福音館書店
雪の中に落ちた手袋に、ねずみやうさぎ、きつねなど次々と動物たちが「入れて」とやってきて、みんなで仲良く暮らす様子を描いたロシア民話です。


『どんなきもち?』


絵:ミース・ファン・ハウト/訳:ほんまちひろ/西村書店(※同名の別著者版も存在するため出版社は要最終確認)
さまざまな場面での「きもち」が、やさしい言葉とイラストで紹介されていく絵本です。「嬉しい」「悲しい」だけでなく、けんかした時の複雑な気持ちにも触れられています。


『ともだちや』


作:内田麟太郎/絵:降矢なな/偕成社
きつねが「ともだちや」という商売を始め、1時間100円で友達になってあげる仕事をしていましたが、本当の友達との出会いを通して「友達はお金で買うものじゃない」と気づいていく物語です。


絵本と一緒に。保育士が実践するかみつき・トラブルへの関わり方


- かみついてしまった直後は、まず双方の気持ちを代弁する(「痛かったね」「使いたかったんだね」)
- 絵本は「起こった直後」ではなく、落ち着いたタイミングで一緒に読む
- 読んだ後にすぐ「もう噛まないでね」と結論づけず、まずは物語の感想を聞く
- 同じ絵本を繰り返し読み、少しずつ「自分ごと」として理解を深めていく
よくある質問


- かみつきはいつ頃おさまりますか?絵本だけで解決しますか?
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個人差はありますが、言葉で気持ちを伝えられるようになる2歳半〜3歳頃にかけて自然と減っていくことが多いです。絵本だけでかみつきそのものがすぐに止まるわけではありませんが、「気持ちを言葉にする」練習を積み重ねる助けになります。かみついてしまった直後の対応(気持ちの代弁・双方への配慮)と合わせて取り入れることが大切です。
- かみついた子・かみつかれた子、それぞれにどう対応すればいいですか?
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かみつかれた子には「痛かったね、大丈夫だよ」と気持ちに寄り添い、かみついた子には「イヤだったんだね」と気持ちを認めつつ「痛いことは伝えていいけど、噛むのは違うよ」と行動の区別を伝えます。どちらか一方を一方的に責めるのではなく、両方の気持ちを受け止めることが、絵本の内容ともつながる関わり方です。
- 家庭でも保育園と同じような対応をした方がいいですか?
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完全に同じ対応でなくても構いませんが、「気持ちを言葉にして受け止める」という基本の姿勢は家庭でも園でも共通していると、子どもは安心しやすくなります。今回ご紹介した絵本は、園だけでなくご家庭での読み聞かせにも活用いただけます。
- 何歳頃からこれらの絵本を読み聞かせても理解できますか?
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『いいこってどんなこ?』『きれいなはこ』は1歳半〜2歳頃から、『そらまめくんのベッド』『えんそくバス』『どうぞのいす』は2〜4歳頃から、『てぶくろ』『どんなきもち?』『ともだちや』は3〜5歳頃からを目安にすると読みやすいです。ただし、内容の理解度は個人差が大きいため、お子さんの反応を見ながら選んでみてください。
まとめ


かみつきやお友達とのトラブルは、子どもが「気持ちを持つこと」と「気持ちを伝える方法を身につけること」の間で揺れている、成長のサインでもあります。絵本を通して気持ちに名前をつけたり、「かして」「どうぞ」のやりとりを体験したりすることで、少しずつ自分の気持ちも相手の気持ちも大切にできるようになっていきます。
あわせて、保育士Ryuのおすすめ絵本紹介ブログでは年齢別・テーマ別に絵本を紹介しています。お子さんの今の様子に合わせて、ぴったりの一冊を見つけてみてください。



かみつきやけんかは、保育士としても悩みが尽きないテーマです。でも、その一つひとつが子どもの心の成長につながっています。今日ご紹介した絵本が、お子さんとの関わりのヒントになれば嬉しいです。









