Ryu「この絵本のねらい、どう書けばいい?」と迷う保育士さん・実習生さんへ。年齢別の考え方と、指導案での書き方を保育士歴10年以上の私がまとめました。
指導案や月案で絵本の「ねらい」を書くとき、「この年齢に何をねらえばいいの?」「どんな言葉で書けば正解?」と迷うことはありませんか。ねらいは、ただの形式ではなく「その絵本を通して子どもにどう育ってほしいか」という保育の意図そのものです。
この記事では、絵本を年間150回以上読み聞かせてきた現役保育士の私が、絵本のねらいの「考え方」と「書き方」を、0歳から5歳まで年齢別に解説します。具体的な絵本の例(個別レビュー)にもリンクしているので、指導案づくりの参考にしてください。
- 絵本の「ねらい」とは何か・書き方の基本
- 年齢別(0〜5歳)のねらいの考え方と具体例
- ねらいに合った代表的な絵本(個別レビューへのリンク付き)
そもそも絵本の「ねらい」とは?


保育における「ねらい」とは、その活動を通して育ってほしい子どもの姿(心情・意欲・態度)を表したものです。絵本の読み聞かせも一つの活動なので、「この絵本で何を感じ、どう育ってほしいか」を言葉にしたものが絵本のねらいになります。
ねらいは、保育所保育指針・幼稚園教育要領に示された領域と結びつけて考えると整理しやすくなります。絵本に関わりが深いのは、主に「言葉」「表現」「人間関係」「環境」の領域です(0歳児は「健やかに伸び伸びと育つ」「身近な人と気持ちが通じ合う」「身近なものと関わり感性が育つ」の3つの視点)。
「ねらい」と「内容」の違い
混同しやすいのが「ねらい」と「内容」。ねらい=育ってほしい姿(ゴール)、内容=そのために経験すること(手段)です。たとえば「言葉の響きを楽しむ」がねらいなら、「保育者と一緒に繰り返しの言葉を声に出す」が内容にあたります。
絵本のねらいの書き方【3ステップ】


ねらいは、次の3ステップで考えると書きやすくなります。
- 子どもの発達を踏まえる…その年齢が「今できること・興味の方向」を押さえる
- 絵本の特性を捉える…その絵本ならではの魅力(言葉・展開・テーマ)は何かを考える
- 発達と絵本を領域で結ぶ…「この発達段階の子が、この絵本で、何を感じ育つか」を言葉にする
書き方のコツ:子どもを主語に、語尾をそろえる
ねらいは「子ども」を主語にして書くのが基本です。語尾は「〜を楽しむ」「〜に親しみを持つ」「〜しようとする」など、子どもの心情・意欲・態度を表す形にそろえましょう。「〜させる」は保育者が主語の指導になってしまうので避けます。
ありがちなNG例と改善例
| ありがちなNGねらい | 改善したねらい |
|---|---|
| 絵本を静かに聞かせる | 絵本の世界に親しみ、話の展開を楽しむ |
| 言葉を覚えさせる | 繰り返しの言葉の響きを楽しみ、声に出そうとする |
| 集中して見せる | 好きな場面に興味を持ち、自分から見ようとする |
左側は「保育者が何をするか(指導)」になっています。右側のように「子どもがどう育つか」に視点を移すと、ねらいらしい表現になります。
【年齢別】絵本のねらいの考え方とおすすめ絵本


ここからは、0歳から5歳まで、発達の特徴・ねらいの方向性・具体的なねらい例を紹介します。あわせて、その年齢にぴったりの絵本(個別レビュー)にもリンクしています。
0歳児:安心とふれあいを土台にしたねらい
発達の特徴:視覚・聴覚が育ち、特定の大人との愛着が深まる時期。表情や声に反応し、喃語が増えます。
ねらいの方向性:言葉や物語の理解より、身近な大人とのやり取りの中で安心感を味わい、色・音・言葉の響きに親しむことを中心にします。
- 身近な大人とのふれあいを通して、安心感や心地よさを味わう
- 色・音・繰り返しの言葉の響きを楽しむ
- 身近なものや生き物に興味を持つ
代表的な絵本:いないいないばあ/だるまさんが/くっついた/じゃあじゃあびりびり。ほかの0歳児向け絵本は0歳児カテゴリからどうぞ。
1歳児:言葉のリズムと「知っている」を楽しむねらい
発達の特徴:歩行が始まり、指差しや一語文が出てくる時期。模倣を好み、指先も器用になります。
ねらいの方向性:繰り返しの言葉や身近なものを「知っている」喜びを感じ、声や動きで表そうとすることを意識します。
- 言葉のリズムや繰り返しの楽しさを味わう
- 知っているものを指差したり、声に出そうとする
- しかけや動きを楽しみ、自分から絵本に関わろうとする
代表的な絵本:しましまぐるぐる/だるまさんと/カレーライス。発達から考える選び方は1歳児向けおすすめ絵本15選でも詳しく解説しています。
2歳児:身近な生活と簡単なやり取りを楽しむねらい
発達の特徴:二語文〜多語文へ。自我が芽生え(イヤイヤ期)、見立て・つもり遊びが盛んになります。
ねらいの方向性:登場人物に親しみを持ち、身近な生活の場面や簡単な言葉のやり取りを楽しむことを中心にします。
- 登場人物に親しみを持ち、簡単なやり取りを楽しむ
- 食事・着替えなど身近な生活の場面に関心を持つ
- 「自分でやってみたい」気持ちに共感する
代表的な絵本:どうぞのいす/カレーライス。ほかは2歳児カテゴリからどうぞ。
3歳児:物語の展開と言葉の面白さを楽しむねらい
発達の特徴:会話が成立し、ごっこ遊びや「なぜ?」が増える時期。友達への関心も高まります。
ねらいの方向性:起承転結のある物語の展開を楽しみ、登場人物の気持ちに気づいたり、言葉の面白さを感じたりすることへ広げます。
- 物語の展開を楽しみ、次を予想する面白さを味わう
- 登場人物の気持ちに気づく
- 言葉の響きや言い回しの面白さを感じる
代表的な絵本:パンどろぼう/そらまめくんのベッド/へんしんトンネル/くれよんのくろくん。ほかは3歳児向けおすすめ絵本もどうぞ。
4歳児:想像し、登場人物に共感するねらい
発達の特徴:想像・空想が豊かになり、感情も複雑に。葛藤を経験し、友達と一緒に遊ぶ楽しさが深まります。
ねらいの方向性:登場人物の気持ちを想像して共感し、物語の世界に入り込んで楽しむことを意識します。
- 登場人物の気持ちを想像し、共感する
- 物語の世界を思い描いて楽しむ
- 感じたことを言葉や表現で伝えようとする
代表的な絵本:めっきらもっきらどおんどん/チリとチリリ うみのおはなし。ほかは4歳児カテゴリからどうぞ。
5歳児:物語を通して考え、伝え合うねらい
発達の特徴:見通しを持って行動し、友達と協力する協同性が育つ時期。文字への関心も高まります。
ねらいの方向性:物語のテーマや登場人物の生き方に触れ、感じたことを友達と伝え合ったり、自分の経験と重ねたりすることへ深めます。
- 物語を通して感じたこと・考えたことを友達と伝え合う
- 登場人物の考えや生き方に触れ、自分の経験と重ねる
- 命・自然・多様性など、テーマに関心を持つ
代表的な絵本:すいかのたね/じっちょりんのなつのいちにち/だめだめすいか。ほかは5歳児カテゴリからどうぞ。
ねらいを立てるときのポイント【保育士の視点】


最後に、現場で意識している3つのコツをお伝えします。
- ねらいは2つ程度にしぼる…欲張ると焦点がぼやけます。その絵本で一番育てたい姿を中心に
- 「楽しむ」を恐れない…乳幼児期は「楽しい」「好き」という心情そのものが立派なねらいです
- 同じ絵本でも年齢でねらいは変わる…発達に合わせて、ねらう姿を調整しましょう
絵本のねらいに関するよくある質問
- ねらいはいくつ書けばいいですか?
-
絵本の読み聞かせだけを狙いとする場合1〜2個で十分です。
- 「楽しむ」だけでねらいになりますか?
-
「楽しむ」だけでは少し抽象的なので、「繰り返しの言葉を楽しむ」「登場人物のやり取りを楽しむ」など、具体性を持たせるとより良くなります。
- 同じ絵本を違う年齢で読むときは?
-
絵本自体を楽しむことをベースにし、仕掛け絵本などの年齢問わず楽しめるものをチョイスします。また、ねらいとしては
2歳:見る・聞く・楽しむ
3歳:理解する・まねる
4歳:考える・共感する
5歳:想像する・話し合う・生活につなげる
などのように年齢に応じて絵本を捉える角度を変えて考えるようにしています。
まとめ:ねらいは「育ってほしい姿」を言葉にすること


絵本のねらいは、「発達」と「絵本の特性」を結びつけ、子どもを主語にして書くのが基本です。年齢ごとの発達を押さえれば、ねらいは自然と言葉になります。この記事のねらい例や各絵本のレビューを、指導案づくりのヒントにしてもらえたら嬉しいです。



当ブログでは、絵本ごとに「ねらい」と「読み聞かせのポイント」を詳しく紹介しています。気になる絵本があれば、ぜひ各レビューものぞいてみてくださいね。











