【2,3歳児おすすめ絵本】おもちのきもち【ねらい・読み聞かせのポイント教えます】
「おもちのきもち」は私が”お正月のお餅の存在を知り、親しみを感じて欲し””キャラクターの表情や言葉から気持ちを想像する体験をして欲しい”というねらい・想いを持って読むことが多い一冊です。
保育士歴10年以上のRyuが日本一詳しいレビューをお届けします。
- お餅の存在を知り、親しみを感じられる
- 表情や言葉から他者の気持ちを想像できる
- ストーリーの流れを理解し、展開を楽しめる
作品紹介
「おもちのきもち」はこんな絵本!
「おもちのきもち」ってどんな内容の絵本?
そんな疑問にお答えするために「おもちのきもち」を簡単にまとめてみました。
まるわかりQ&A
あらすじ・ストーリー・内容
イキイキしているお餅に魅力がいっぱい!笑って楽しめるお餅ストーリー。
たごさくさんちのお餅が主人公。気が付くとペッタン、ペッタン、ペッタンと何度も頭を叩かれています。兄弟たちはのし棒で伸ばされたり、ちぎって小さくされたり散々です。
ちぎられたお餅はあんこやきなこ、ひどい時には納豆に混ぜられ最後は人間に食べられて、それはもう大変。しかし、主人公のお餅は鏡餅。今は飾られて大切にされています。でも、いつ食べられてしまうことか…。そこで鏡餅は足を伸ばして逃げ出す事にしました!
家から逃げ出し遠くまで行き一安心。いっぱい走ったのでお腹も空いてきました。そこで人間がお餅を美味しそうに食べているのを思い出し、ちょっと自分を味見してみました。おや、美味しい。
一度食べ出したら止まらない。どんどん食べて、しまいには丸まって自分のお尻をグルリン カポッ。ところが何だか体が硬くなってきました。
そして数日後丸くなり固まったたごさくさんちの鏡餅が道端で発見されました。
お餅の表情、展開の楽しさ…お正月に読みたいワクワクが詰まっている作品です。
こんな方におすすめ
以下の項目に当てはまる方に「おもちのきもち」はぴったりの絵本です!購入を検討してみましょう。
- 展開や描写が面白いお正月に関連する絵本を探している
- 相手の気持ちを想像したり、理解する事に繋がる絵本を探している
絵本比較!あなたに合った絵本を探そう!
「おもちのきもち」は探している絵本とは違った…。そんなあなたにはこちらをおすすめ!
落ち着いた温かいお正月が楽しめる「14ひきのもちつき」
「14ひきの」シリーズのお正月編。ねずみの家族たちのゆったりとした餅つきが温かい雰囲気に包まれながら楽しめます。丁寧に描かれた描写が美しく、何が描かれているのかを探す楽しさも味わえます。
お正月独特の静けさやゆったりとした雰囲気を楽しみたい場合におすすめの一冊。
思わず一緒に声に出したくなる「おしくら・まんじゅう」
同作者かがくい ひろしさんの作品。「おしくら○○おされて ぎゅー」という言葉が繰り返し使われ、言葉の響きが楽しい絵本です。覚えやすい言葉、一定の流れがあるので内容を覚えやすく、何回か読めば子どもも一緒に読むことができます。表情豊かなキャラクターたちも魅力的です。
面白い展開で笑いながら楽しめ、季節を選ばない一冊。
目的・ねらい
絵本はそれぞれ作者の願いや思いが込められています。その思いを汲み取り、絵本を読むときに目的やねらいを持つ事をおすすめします。
以下の「目的・ねらい」はRyuが読み聞かせをするときに大切にしている事です。参考にしてみてください。
- 言葉や展開を楽しみながら、鏡餅やお正月の存在に気付く
- キャラクターの表情をよく見てキャラクターの気持ちを想像する
目的・ねらい1
楽しさの中に文化に触れるきっかけが散りばめられています。
「おもちのきもち」は作品を通してストーリー性があり、分かりやすく動きもあるので分かりやすく展開が楽しめます。また、本作は擬音が多様されていて「ペッタンペッタン」「ビロンビロン」「フンゴフンゴ」「ゴックン」などなど言葉の響きも楽しむ事ができます。
展開や言葉の面白さが土台にある中で鏡餅や餅つきといったお正月に関連するモノが登場しているため、お正月に楽しいイメージを持ちながら親しみを感じたり、興味を持つきっかけになる構成となっています。
目的・ねらい2
表情や表現豊かな鏡餅の気持ちをついつい想像したくなります。
「おもちのきもち」のメインキャラクターである鏡餅の表情や感情の表現が豊かで非常に魅力的に描かれています。そんな鏡餅を見ていると「嬉しそうだな」「怒っていそう」「幸せそう」など、どのような気持ちでいるのかを想像してしまいます。
表情も感情がよく表れていて読み取り易いですし、言葉も相まって相手の気持ちを考えるきっかけになり得ます。面白くお正月に触れられるだけでなく、”相手の気持ちを考える”という高度な行為の土台ともなる内容になっています。
チェックポイント
現場で毎日読み聞かせを行う現役保育士が、実際に何度も読み聞かせをしたことで分かった大切なポイントを見ていきましょう。
年齢 | 乳幼児期、特に2歳児 |
季節 | 冬 |
行事 | お正月 |
対象年齢
2,3歳頃がおすすめです。
文字も多くなく、分かりやすいシンプルな話の展開、お餅の表情の豊かさなど、年齢問わず惹きつけられる要素がたくさんあります。
鏡餅やお正月といった行事の雰囲気も併せて感じることを目的とすると2歳児以降に読むことでお正月を知るきっかけにも繋がります。お餅の表情など、絵を楽しむことを目的とした場合は1歳児でも十分に楽しめる内容となっています。
時期・季節・行事
短いストーリーの絵本を楽しめるようになった頃がおすすめです。
「おもちのきもち」は作品全体を通して1つの話が続いていく作品です。面白い絵や響きが楽しい言葉など、場面場面で楽しめる要素もありますが、やはり作品全体の展開も楽しみたいところ。
有名な作品で言うと「どうぞのいす」や「はけたよはけた」などの絵本が最後まで集中して楽しめるようになった頃に読むと本作も十分楽しむ事ができるでしょう。
餅つきや鏡餅といった言葉が出てくるので、関連するお正月、季節は冬に読みたい作品です。
読み聞かせのポイント
「おもちのきもち」を読み聞かせをする中で意識しているポイントです。読み方を少し意識するだけで内容がぐっと伝わりやすくなります。
読み聞かせをする中で自分なりのポイントも探してみるのも面白いですよ。
- 言葉の強弱やリズムを意識して読みましょう
- 鏡餅が語り掛けているような口調で読みましょう
ポイント1
言葉の響きや面白さが伝わるように。
「おもちのきもち」の魅力の1つでもあるのが、言葉遊びをしているような言葉の響きや面白いワードセンス。この面白い言葉の響きを聞き手に伝えるために場面によって読み方を工夫しながら読むことで面白さが深まります。
例えば鏡餅が逃げ出す場面での「ぺったんぺったんぺったん」という言葉は鏡餅が急いでいる雰囲気を出すために少し早く・高い声で読むと急いでいる感じや響きもより楽しくなりますし、鏡餅が自分自身を食べている時には実際に口にものを含んでいるように読むと言葉だけでも情景を浮かべる事ができ、楽しさがぐっと広がります。
少しの意識・工夫でも聞こえ方が変わってくるので是非様々な読み方を試してみましょう。
ポイント2
聞き手に話しかけるような意識で読む。
「おもちのきもち」の文の構成は主人公である鏡餅が話しているような形になっています。
元々言葉の響きなどが楽しい作品なので特に意識しなくても十分に楽しむ事ができるのですが、読み手が実際に鏡餅になりきり読む事で、聞き手が実際に話しかけられているような気分になります。
気持ちを込めるだけでも聞き手の引き込まれ方が変わってくるので、鏡餅の気持ちを想像しながら読む事をおすすめします。
まとめ・Ryuの感想
表情・言葉・描写の楽しさ満載のお正月に読みたい一冊。
分かりやすい展開で雰囲気も明るく笑いながら楽しめるので、幅広い年齢で長く愛される作品です。
実際に読み聞かせをすると子どもも表情に着目する事が多く、「お餅怒ってる!」「お餅嬉しそうだね」といった声がよく聞かれます。表情から相手の気持ちを汲み取ろうとするのは人間関係を構築していくうえでとても大切なスキルの1つとなります。
「おもちのきもち」は内容が面白い事は勿論、気持ちを汲み取る練習にもなり得ますし、言葉の響きも楽しいので子どもも自然と読み手の真似をするなど、一体感も味わう事ができます。
絵本の楽しさに気付ける、お正月に触れられる、言葉の面白さが味わえる、表情を読み取る練習にもなる…様々な要素が詰まった素敵な一冊です。
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